京都市東山区、祇園付近にある八坂通りは、大和大路から東大路を経由して八坂の塔に至る参道です。石畳が敷かれたゆるやかな坂道で、周囲には風情ある町屋が立ち並んでいます。テレビなどに紹介されることも多く、観光スポットとしても人気の場所です。
この記事では、八坂通りの歴史や見どころ・アクセス方法などをご紹介しましょう。
風情ある
八坂通りの歴史
八坂通りは、大正時代になってから東大路の開通と共に整備された道です。元々この辺り一帯は平安時代より以前から法観寺の境内で、参拝客相手の茶屋などが立ち並んでいました。
江戸時代初期頃になると法観寺は徐々に衰退し、境内も小さくなっていきます。それに伴い、江戸幕府によって町の整備が行われ、八坂の塔周辺は祇園と同じように女性が歌舞音曲で男性を楽しませる花街になっていきました。戦前までは洛東有数の歓楽街だったといわれています。
昭和の後期になると、八坂通り周辺は景観整備が進み、男性相手のお店はほとんど姿を消しました。今では八坂通りを含む周辺の町一帯が祇園町南歴史的景観保全修景地区に指定されています。現在の八坂通りは、京都らしい昔ながらの風景を見ることができると人気の観光地です。
五重の塔が目の前
八坂通りの魅力
八坂通りは、京都を紹介するテレビ番組や雑誌などにもよく登場する場所です。この項では、八坂通りの魅力をご紹介しましょう。
京都らしい風景を満喫できる場所
八坂通りに足を踏み入れると、すぐ目前に八坂の塔を臨むことができます。町屋の間から見える五重塔は、まさに京都ならではの風景です。通りの入り口と真ん中あたりでは五重塔の見え方も違います。道を歩きながら写真撮影をするのもおすすめです。
毎年3月上旬には、京都花灯路というライトアップイベントが開かれます。八坂通りにそって置かれた露地行灯(ろじあんどん)や、ライトアップされた八坂の塔など、幻想的な風景が楽しめるイベントです。
周辺と併せて散策を楽しめる場所
八坂通りの近くにある二寧坂・産寧坂・ねねの道には、お土産屋さんや和雑貨店など京都らしいお店がたくさん並んでいます。二寧坂・三寧坂を通って八坂通りを訪れれば、ついでに買い物も楽しめるのでおすすめです。
東大路から八坂通りを法観寺の方へ向かい、左手の道を進めばねねの道へと出ます。ねねの道は八坂神社方面へと通じているので、観光がてらの散策には最適です。
八坂通り周辺の
見どころ
八坂通り周辺には、寺社仏閣も点在しています。この項では、八坂通り周辺の一押し見どころをご紹介しましょう。
京都最古の禅寺 建仁寺
建仁寺は京都最古の禅寺として知られる臨済宗の大本山です。臨済宗の開祖、栄西禅師によって開山されました。
風神雷神図屏風や双龍図などの寺宝をたくさん所蔵しており、大雄苑(だいゆうえん)をはじめとする三つの庭も見事です。寺院の境内は広大で、紅葉の名所としても知られています。
六道珍皇寺
六道珍皇寺は、小野篁の冥界伝説が残る寺院です。小野篁は平安時代の貴族で、昼は内裏(天皇のお住まい)で公務につき、夜は冥界で閻魔大王の助手をしていたといわれています。
境内には小野篁が冥府への出入り口として使っていたとされる井戸や閻魔大王像などがあり、お盆を前に先祖を迎える六道参りも有名です。
金剛寺(八坂庚申堂)
金剛寺(八坂庚申堂)は、日本最古の庚申堂として有名な寺院です。庚申とは、年に6日ある干支の庚申(かのえさる)の日を指します。
古代中国では、この日の夜に人間の体から三尸(さんし)という虫がはい出ると考えられていました。はい出た三尸は道教の最高神である天帝の元へ人間の悪行を報告に行き、この報告に基づいて天帝が人間の寿命を決めると信じられていたのです。
そこで、庚申の日は三尸が外へ出て行かないように一晩中起きていて、色々な行事をするという風習が生まれます。これが庚申信仰です。中国で生まれたこの信仰は、平安時代初期に日本へ伝わりました。庚申堂とは、三尸が外に出て行かないように一晩中かけて色々な行事を行う場所です。
金剛寺(八坂庚申堂)の本尊は青面金剛(せいめんこうごう)で、この仏様は体から出てきた三尸を食べると言われています。寺院の境内にたくさん奉納されているカラフルなお守りは、くくり猿です。くくり猿は欲望のままに行動しないようにと戒めを込めて奉納されるお守りで、猿は庚申の御使いともいわれています。
年に6回ある庚申の日には、くくり猿の形に切り抜かれたこんにゃくが振る舞われるコンニャク焚きという行事が行われるので、それに合わせて参拝に行くのもおすすめです。
八坂の塔(法観寺)
法観寺は、八坂の塔を伽藍の一部とする寺院です。八坂の塔があまりにも有名になり、いつしか法観寺そのものを指して八坂の塔と呼ぶようになりました。
法観寺の歴史は大変古く、一説では聖徳太子が創建したともいわれています。かつては付近一帯がすべて境内という大きな寺院でしたが、時代を下るにつれて衰退し、現在では本堂と五重塔(八坂の塔)・薬師堂などわずかな建物を残すのみです。
八坂の塔は二層(二階)まで内部見学ができます。ただし、内部の階段が急なため、中学生以上でないと見学はできません。雨の日も見学が中止となりますので、見学を希望する場合は天気に注意してください。
八坂通り
アクセス情報
住所:京都府京都市東山区八坂
駐車場:付近のコインパーキングを利用
交通案内:京都駅から18系統のバス乗車、清水道下車徒歩5分