六道珍皇寺は、建仁寺のすぐ側にある臨済宗建仁寺派の寺院です。六道とは、人が死後に生まれ変わる6つの世界を指します。この寺院には小野篁が冥界に通ったという井戸や地獄絵図・迎え鐘などあの世にまつわる物が数多くあることで有名です。京都では、お盆を迎える前にこの寺院に参詣する六道参りという風習があります。
この記事では、六道珍皇寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。
現世と冥府を繋ぐ
寺院の歴史
六道珍皇寺は、平安時代初期に空海の師である慶俊僧都(けいしゅんそうず)によって開基されたと伝えられています。寺院が建っている場所は、かつて鳥辺野と呼ばれる葬送地の入り口でした。そのため、この寺院があの世への入り口である六道の辻と信じられ、今昔物語の中には六道珍皇寺があの世と繋がっているという話がいくつも残されています。
その中でも有名なのが平安時代の貴族、小野篁(おののたかむら)の伝説です。小野篁は嵯峨天皇に仕える優秀な官僚でしたが、夜は閻魔庁に出仕して閻魔大王に仕えているといわれていました。六道珍皇寺の境内には彼が冥界に行くため、そして現世に帰るための2つの井戸が残されています。
六道珍皇寺は東寺を本寺として大いに栄えていましたが、鎌倉時代末期になると戦乱に巻き込まれて荒廃してしまいました。1364年、建仁寺の住持であった聞溪良聰(もんけいりょうそう)が寺院を再興し、臨済宗に改宗します。再興された後も、この寺院があの世の入り口であるという伝説が消えることはありませんでした。現在まで六道珍皇寺はあの世とこの世を繋ぐ寺として、人々の信仰を集めています。
六道珍皇寺の
見どころ
六道珍皇寺は、いつでも境内を自由に散策することができます。ここでは、寺院の魅力や見どころをご紹介しましょう。
あの世の入り口、六道の辻
境内には、六道の辻という石碑や閻魔大王像・小野篁像などあの世を連想させるものがいくつもあります。中でも迎え鐘は四方を壁に囲まれた独特な形をしており、冥界までその音が響き渡るという伝説で有名です。鐘を撞く場合は壁の穴から出ている紐を引っ張ります。
特別公開の寺宝展
六道珍皇寺は定期的に寺宝を展示する特別公開が行われます。この時は、寺宝と共に小野篁が冥府への行き来に使ったといわれる井戸が公開されるので、興味がある方には必見の場所です。
十一面観音像や毘沙門天像以外にも、地獄絵図が寺宝として知られています。おどろおどろしい絵で、昔の人々はこの絵を見て極楽への成仏を願ったということです。この他、特別公開中にはこの時期限定の御朱印が販売されます。
六道参りに参加する
六道参りは毎年8月7日から8月10日まで行われる先祖の御霊(みたま)を迎える行事です。誰でも参加可能なので、観光途中に気軽に立ち寄ることもできます。京都の夏を代表する風物詩の一つですから、ぜひ参加してみてください。
六道珍皇寺
アクセス情報
住所:京都府京都市東山区大和大路通四条下る四丁目小松町595
電話番号:075-561-4129
拝観時間:通常 9時~16時・特別拝観 9時30分~16時30分
拝観料:基本無料
駐車場:なし
交通案内:京阪電車清水五条駅より徒歩15分
公式サイト:http://www.rokudou.jp