金地院は、哲学の道付近に位置する京都南禅寺の塔頭(たっちゅう)寺院です。塔頭とは、大きな寺院の境内に作られた個別の小さな寺院のこと。紅葉の名所である天授庵や南禅院もそのうちの一つです。小堀遠州が造った鶴亀の庭や長谷川等伯の絵画など見どころが多い寺院ですが、いつ訪れても比較的ゆったりと拝観できます。
今回は、金地院の歴史や見どころ、魅力などをご紹介しましょう。
家康の側近が再建した
寺院の歴史
金地院は室町幕府の4代将軍、足利義持によって応永年間に建立された寺院です。建立当初は北山にありましたが、1605年に徳川家康の側近であった金地院崇伝が現在の場所に移築しました。金地院という名もこの側近にちなんでいます。
金地院崇伝は移築の際、当代随一の茶人であった小堀遠州作に庭の設計を依頼しました。その設計図が今日まで残っています。金地院の庭は遠州が設計したと断言できる数少ない庭です。
家康の側近が再建した縁で、寺院には東照宮もあり家康の遺髪や念持仏(持ち歩きようの仏像)などが奉納されています。
歴史に名を残す
庭園と建造物
金地院は、小堀遠州による庭園をはじめ、茶室の八窓席や重要文化財の東照宮などが見どころとして知られています。ここでは、それぞれの見どころをさらに楽しむために知っておきたいポイントを見ていきましょう。
華やかな枯山水の庭
金地院の第一の見どころは、小堀遠州が設計した庭園です。禅寺の庭にしては豪快で華やかな印象を見る人に与えます。鶴亀の庭という名は、徳川家の治世が長く続くことを願って名付けられました。
方丈(庭に面した建物)から見て右手に鶴石・左手に亀石が配置され、中央には宝來連山(ほうらいれんざん)に見立てた三尊石と遥拝石が置かれています。遥拝石は金地院内の東照宮を拝むために置かれた石です。
石の手前にある枯山水には、石は置かれていません。見る人の想像力によって、枯山水の中に無限の風景が見えてくると伝えられています。
重文指定の東照宮
徳川家康に縁がある寺院らしく、金地院の境内には東照宮もあります。拝殿天井には狩野探幽の筆による『鳴龍』が描かれ、欄間には土佐光起画・青蓮院宮純法親王の親筆による『三十六歌仙』の額が掲げられた豪華な造りです。
庭に比べると知名度はありませんが、重要文化財に指定されていて一見の価値があります。時間がある方は、庭と一緒にじっくりと拝観するのがおすすめです。
襖絵が有名な茶室
金地院の中で庭と並んで有名なのが、茶室の八窓席です。小堀遠州が既存の建物を改築して造ったもので、長谷川等伯筆の襖絵、『猿猴捉月図』や『老松』があることでも知られています。
八窓席の見学は、往復はがきによる事前申し込み制です。電話やメールでの拝観受け付けは行っていないので要注意。紅葉の季節には申し込みが殺到するので、早めの予約がおすすめです。
金地院
アクセス情報
住所:京都府京都市左京区南禅寺福地町86-12
電話番号: 075-771-3511
拝観時間:8時30分~17時
休日:なし
拝観料:大学生以上400円
駐車場:なし
交通案内:地下鉄東西線「蹴上」駅より徒歩約5分