天授庵は哲学の道付近、南禅寺の境内にある寺院です。大寺院の境内に作られた小寺院を塔頭と言い、南禅寺には天授庵以外にも金地院・南禅院など多くの塔頭があります。天授庵一番の見どころは、紅葉が美しい2つの庭。2013年にJR東海のCMに使用されて以来、一躍知名度が高まりました。その他にも、特別拝観のときにだけ公開される長谷川等伯の襖絵も所蔵しています。
この記事では、天授庵の見どころや魅力をご紹介しましょう。
細川家の菩提寺
天授庵の歴史
天授庵は1339年(慶応2年)に博学で名高かった僧、虎関師錬(こかんしれん)が南禅寺の開祖大明国師を祀るために光厳天皇の許可を得て建立しました。その後、何人もの僧に天授庵は受け継がれていきましたが応仁の乱で庵が焼け落ち、100年近く再建がかなわなかったと伝えられています。
1602年、天授庵は細川幽斎により、細川家の菩提寺として再興されました。現在、天授庵には細川家歴代の位牌所などもあり、細川家に縁のある方が参拝に訪れています。
自然と共存する
天授庵の美しさ
天授庵には、美しい庭園や重要文化財指定の襖絵など、訪れた際には絶対に見ておきたいスポットがいくつかあります。しかし、訪れる時期によって、見ることのできる風景は大きく異なるのです。そこで、天授庵をより楽しむために知っておきたいポイントを紹介しましょう。
白砂が美しい方丈庭園
天授庵には2つの庭があります。CMに登場した庭は、枯山水の方丈庭園です。白砂の中に苔に縁どられたひし形の石が並び、見る人にモダンであか抜けた印象を与えます。
紅葉の時期になると真っ赤に色づいたモミジが白砂に映え、言葉にできないほどの美しさです。紅葉が終わりかけのころになると色づいた葉が庭に散って、赤と白のコントラストが楽しめます。
回遊式庭園の書院南庭
もう一つの庭である書院南庭は、池を中心とした回遊式庭園です。池の周りにはモミジやカエデが植えられています。紅葉の季節は、池に映る紅葉も見どころです。
天授庵の庭園は、紅葉の季節になるとライトアップされ夜間拝観が行われます。この時は見学ルートが昼間と変わり、書院の中から庭が見学できるようになることはあまり知られていません。庭は建物内から眺めることを計算して作られています。書院の中から臨む紅葉はまさに絶景です。
特別拝観がある方丈
天授庵方丈は通常非公開です。しかし、1年に数回特別拝観が行われ、方丈内にある長谷川等伯筆の襖絵なども公開されます。重要文化財にも指定されている貴重な襖絵ですので、この時期に合わせて訪れるのもよいでしょう。
天授庵
アクセス情報
住所:京都市左京区南禅寺福地町
電話番号:075-771-0744
拝観時間:8時40分~17時
休日:なし
拝観料:大人400円 高校生300円 小中学生 200円
駐車場:あり(南禅寺駐車場を利用)
交通案内:地下鉄東西線「蹴上駅」下車、徒歩10分