永観堂(禅林寺)は哲学の道の出発点付近にある浄土宗西山禅林寺派の総本山です。京都屈指の紅葉の名所として知られており、もみじの永観堂という別名があります。紅葉だけでなく、みかえり阿弥陀像や回廊で繋がった伽藍など境内は見どころ豊富です。
この記事では、永観堂(禅林寺)の見どころや魅力をご紹介しましょう。
紅葉の寺の
魅力
永観堂の紅葉の見事さは、テレビや書籍などでご存じの方も多いと思います。ここでは、紅葉を含めた永観堂の魅力をご紹介しましょう。
境内を彩る3千本のモミジ
永観堂の境内には、約3千本のモミジが植えられています。毎年紅葉の時期は境内が真っ赤に染まったようになり、圧巻の美しさです。毎年紅葉が見ごろを迎えるころになるとライトアップも始まり、昼間とは違った美しさを楽しめます。紅葉が散ると地面は色鮮やかなじゅうたんを敷いたようになり、一見の価値ありです。
秋以外にも、モミジは四季折々の美しさを見せてくれます。中でも、初夏の新緑の美しさは別格です。秋に比べると参拝客もぐっと少なくなるので、ゆっくりと境内を巡れます。
みかえり阿弥陀をはじめとする寺宝
平安時代半ばに創建され永観堂は、たくさんの寺宝を所蔵しています。その中でも有名なのが、重文指定のみかえり阿弥陀です。その名の通り後ろを振り返った姿をした珍しい仏像で、須弥壇に安置されていた阿弥陀如来像が七世永観を先導して行道を始めたという故事に基づいて作られました。
永観堂の寺宝は、毎年紅葉のライトアップの時期に合わせて行われる寺宝展で見ることができます。
平安時代から続く
永観堂の歴史
永観堂の歴史は、853年に空海の弟子真紹が藤原関雄の山荘を買い取り、真言宗の道場を開いたことから始まります。その後、承暦年間に第七世永観が入山して以来、徐々に浄土宗の念仏道場へと変わっていきました。みかえり阿弥陀が一緒に行道をしたのが、この七世永観です。
鎌倉時代、永観堂は源頼朝の庇護を受けます。そこから室町時代にかけて寺院は大いに栄えますが、応仁の乱の戦火で伽藍のほとんどが焼け落ちてしまいました。
安土桃山時代になると、寺院はゆっくりと復興していきます。江戸時代になると再び天皇の庇護を受けるようになり、幕末になると境内に薬王院などを作って病院のような役割を担うようになりました。
明治には再び本来の役目だけに戻り、今ではもみじの永観堂の別名で人々に親しまれています。
紅葉以外の
寺院の見どころ
永観堂には、紅葉以外にも見どころがたくさんあります。ここでは、その中でも観光客に人気の場所をご紹介しましょう。
モミジに囲まれた総門
永観堂は、総門からモミジに囲まれています。この総門から中門までは無料開放されていますので、少しだけ雰囲気を楽しみたいという方は、総門から中門までの観覧がおすすめです。秋になると、総門が紅葉にくるまれているような光景を見ることができます。
京都府指定文化財の中門
総門から参道を行くと中門が見えてきます。総門同様決して大きくはなく、モミジのトンネルの中にひっそりたたずんでいるような門です。中門の脇には二匹の狛犬がいます。
大正時代に完成した御影堂
現在の御影堂は、1912年(大正元年)に造営されたものです。総ケヤキ造りの仏堂で、浄土宗の開祖法然上人を祀っています。観光客の中にはこれが本堂と思われる方もいますが、本尊を祀っているのは阿弥陀堂です。
色彩が美しい阿弥陀堂
御影堂からさらに境内を奥に進んだところにあるのが、本尊を祀る阿弥陀堂です。ここには寺宝であるみかえり阿弥陀が祀られています。虹梁と柱には美しい彩色が施され、天女や迦陵頻伽(かりょうびんが)が描かれているので必見です。
若王寺山の中腹に建つ多宝塔
永観堂の多宝塔は、境内から続く若王寺山(にゃくおうじさん)の中腹に建っています。永観堂が紹介されるときに紅葉に埋もれるように建つお堂の写真が使われることがありますが、あのお堂が多宝塔です。多宝等の内部に入ることはできませんが、付近から京都の町や永観堂の境内を一望できます。紅葉の時期は境内全体が錦にくるまれているように見え、写真撮影もおすすめです。
庭園が美しい方丈
方丈とは、住職の住まいのことです。方丈には北・西・南の3つの庭があります。永観堂の庭園というと放生池周辺が有名ですが、方丈前庭園の美しさはそれに勝るとも劣りません。
方丈西庭(唐門前庭)にはサツキがたくさん植えられており、毎年5月になると赤くきれいな花を咲かせます。方丈北庭は中ほどが池になっていて、その周りの苔が見事です。
方丈南庭は枯山水と池の美しさが融合した庭で、見ていて飽きることはありません。どの庭も外からは見えにくいので知る人ぞ知る場所です。
永観堂の
楽しみ方
四季折々の美しさを見せる永観堂には、いろいろな楽しみ方があります。ここでは、その中の代表的なものをご紹介しましょう。
夜間拝観を楽しむ
永観堂では、紅葉の時期だけ夜間拝観を行っています。夜の紅葉を楽しむだけでなく、1時間おきに行われる雅楽の演奏に耳を傾けるのもおすすめです。
寺宝展を楽しむ
永観堂の寺宝は、定期的に特別公開されています。みかえり阿弥陀は常時拝観できますが、それ以外の絹本着色山越阿弥陀図(国宝指定)などの寺宝は、寺宝展でなければ見ることができません。紅葉を楽しむついでに寺宝を見学するのもおすすめです。
永観堂(禅林寺)
まとめ
いかがでしたか? 今回は永観堂(禅林寺)の見どころや魅力をご紹介しました。紅葉の時期は大変な人で賑わう寺院ですが、それ以外の季節はひっそりと落ち着いた場所です。伽藍や仏像をゆっくり拝観したいという方は、秋以外の季節に訪れると落ち着いて見学できます。紅葉を少しでもゆっくり楽しみたいという方は、平日の午前中がおすすめです。
永観堂(禅林寺)
アクセス情報
住所:京都府京都市左京区永観堂町48
電話番号:075-761-0007
拝観時間:9~17時(入場は16時まで)
定休日:なし
拝観料:大人600円 小・中・高400円
駐車場:あり(紅葉の時期は閉鎖)
交通案内:地下鉄東西線蹴上駅より徒歩14分
公式サイト:http://www.eikando.or.jp/eikando.html