銀閣寺
?評価について

京都 銀閣寺(慈照寺)
世界遺産に登録された
東山文化を代表する寺院

京都市左京区、哲学の道の終点に位置する銀閣寺は、相国寺の山外塔頭で、正式名を慈照寺といいます。鹿苑寺(金閣寺)を造営した足利義満の孫にあたる足利義政による建物で、建立当初は義政の別荘でした。鹿苑寺の金閣を模して造られた観音殿(銀閣)が特に有名です。1994年(平成6年)には、金閣寺と共に世界遺産となりました。

この記事では、銀閣寺の見どころや魅力をご紹介しましょう。

東山文化の代表、
銀閣寺の歴史

境内(銀閣寺)

錦鏡池越しに東求堂を望む

銀閣寺は室町時代末期、応仁の乱が収束した後に造営された寺院です。この項では、そんな寺院の歴史をご紹介しましょう。

造営から江戸時代まで

銀閣寺は、室町時代8代将軍であった足利義政が自身の別荘、東山山荘として造営したのが始まりです。義政は8歳から将軍職に就いていましたが、もともと政治よりも文化的なことを好みました。そのため、子どもの足利義尚が成人すると早々に将軍職を譲って1482年から山荘の造営に着手します。

1483年になると、義政は未完の山荘に移り住みました。北山山荘を参考にした東山山荘は、大規模な建物が立ち並ぶ別荘地だったと伝えられています。しかし、1490年、義政は山荘の完成を待たずに亡くなりました。同年、義政の菩提を弔うために、東山山荘は相国寺の塔頭寺院に改められます。この時に慈照寺という名が付けられました。

戦国時代になると、慈照寺の裏山に中尾城という城が築かれます。1550年、銀閣寺付近で三好慶長(みよしよしなが)と室町幕府十五代将軍、足利義昭の戦いが起こり、観音堂(銀閣)と東求堂を残して伽藍のほとんどが焼失してしまいました。さらに、織田信長が二条城を築いた際には庭園にあった名石、九山八海石(まるやまはっかいせき)が二条城へ持ち去られるなどして、寺院は次第に荒廃していきます。

江戸時代から現代まで

江戸時代初期の1615年、宮城丹波守豊盛(みやぎたんばのかみとよもり)による大改修が行われ、慈照寺は復興しました。この時に再建された建物は、禅宗様式の趣きが取り入れられています。

明治時代に起こった廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の荒波もなんとか乗り越え、1952年(昭和27年)には庭園が特別史跡及び名称に指定されました。

1994年(平成6年)に古都京都の文化財として世界遺産に指定されると、銀閣寺の名は海外にまで知られるようになります。現在の銀閣寺は、京都を代表する観光スポットとして多くの方が参拝に訪れる寺院です。

世界遺産
銀閣寺の魅力

銀閣寺は金閣寺に比べると落ち着いた美しさが感じられる寺院です。ここでは、銀閣寺の魅力をご紹介しましょう。

境内の自然

境内(銀閣寺)

自然あふれる境内

銀閣寺の境内は自然が豊富で、四季折々に美しい花が楽しめます。紅葉の美しさが有名ですが、銀閣寺垣のツバキも見事です。毎年3月下旬から4月上旬に見頃を迎え、境内に入ると赤い花と緑の葉が作り出すコントラストが楽しめます。境内の古色蒼然(こしょくそうぜん)とした建物と緑の組み合わせも美しいですよ。

高台から境内を望む

銀閣寺の境内には高台へと続く山道があり、そこから境内の全景が見渡せます。白砂と木々の緑・黒い瓦屋根とのコントラストが美しく、見飽きることがありません。京都市内も望むことができ、境内の建物との対比も楽しめます。

幽玄の美を持つ
境内の見どころ

銀閣寺は東山文化を代表する建築物です。現在の建物のほとんどは近世以降に建てられた物ですが、創建当時の雰囲気は十分に感じられます。この項では、特におすすめの見どころをご紹介しましょう。

石畳が美しい総門

総門(銀閣寺)

総門

銀閣寺の総門は、小ぶりで控えめな美しさを持つ門です。周囲には松の木が植えられており、黒い瓦と松葉のコントラストが楽しめます。門へと続く石畳の参道も風情があり、参拝客に評判です。

ツバキが美しい銀閣寺垣

銀閣寺垣(銀閣寺)

銀閣寺垣

銀閣寺垣は、総門から中門に続く参道に造られた長さ50mの生垣です。低い石垣の上に建仁寺垣が載り、さらにツバキやカシなどの背が高い常緑樹まで植えられている特徴的な造りとなっています。独特の趣きがあり、毎年春になると赤いツバキの花が見事です。

拝観入り口 中門

中門(銀閣寺)

中門

中門は境内への入り口で、銀閣寺垣を抜けた先にあります。総門と同じく小ぶりな門で、白壁と木組みのコントラストが印象的です。

銀閣寺の象徴 銀閣(観音殿)

観音殿(銀閣寺)

観音殿

銀閣は正式名称を観音殿と言います。二層(2階)建ての室町期を代表する楼閣庭園建築物です。鹿苑寺(金閣寺)の舎利殿(金閣)と西芳寺の瑠璃殿(るりでん)を見本として造られたと伝えられています。

一層目は心空殿(しんくうでん)、二層目は潮音閣(ちょうおんかく)という名前です。潮音閣には名前の由来となった観音菩薩坐像が祀られ、創建当時には内外共に黒漆が塗られていたことが分かっています。内部には入ることができず、外から見学する形です。

錦鏡池(きんきょうち)と呼ばれる池の畔に建つ様子は金閣と似ていますが、銀閣からは黒い外壁が印象的な幽玄の美を感じることができます。

月見の為に造られたという向月台

向月台(銀閣寺)

向月台

向月台(こうげつだい)は銀沙灘(ぎんしゃだん)のすぐ隣にあり、白砂を小山のように盛り上げて造られています。東山から昇る月を眺めるために造られたという説がありますが、こちらも詳しいことは分かっていません。江戸時代後期の作といわれており、銀閣の外壁とのコントラストが見事です。

白砂で作られた銀沙灘

銀沙灘(銀閣寺)

銀沙灘(ぎんしゃだん)は江戸時代後期の作といわれており、白砂を立体的に盛り上げて造られています。月の光を反射させるために造られたという説がありますが、詳しいことは分かっていません。一般的な石庭に敷かれた白砂と比べると、モダンな感じがします。

 

縁側に座って庭を眺められる方丈

方丈(銀閣寺)

方丈

方丈は本来、住職の住まいのことを指しますが、銀閣寺の方丈は本堂の役割を担っています。現在の方丈は江戸時代中期の建物で、黒瓦の立派な屋根が印象的な建物です。

内部には本尊の釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)が安置されており、与謝蕪村(よさぶそん)と池大雅(いけのたいが)の筆による襖絵が収蔵されています。

内部を見学することができ、方丈内から臨む銀沙灘(ぎんしゃだん)や向月台(こうげつだい)は外から見るのとはまた違った美しさです。遠くに望む月待山も格別な風情があります。

国宝指定の東求堂

東求堂(銀閣寺)

東求堂

東求堂は銀閣と共に東山殿造営当時の遺構で、現在は国宝に指定されています。元々は阿弥陀如来(あみだにょらい)を祀る阿弥陀堂でした。浄土宗の本尊である阿弥陀如来を祀るお堂の周りに造られているのは、違う宗派である禅宗様式の庭園です。ここから、足利義政が抱いていた独特の美意識を感じることができます。

平成の時代に造られた新書院

新書院は、10年の歳月をかけて1993年(平成5年)の11月に完成した境内で最も新しい建物です。内部には富岡鉄斎(とみおかてっさい)の襖絵が飾られ、旧庫裏にあった茶室、集芳軒(しゅうほうけん)も側に移築しています。

内部は見学自由で、伝統を重んじながらも新しい時代に合わせた寺院建築を堪能できる建物です。建物からは美しい庭も臨むことができ、四季折々の花々が楽しめます。

庭園の中心 錦鏡池

錦鏡池(銀閣寺)

錦鏡池

錦鏡池(きんきょうち)は庭園の中心をなす池で、分界橋・迎仙橋・仙袖橋・仙桂橋といった石橋がかけられているのが特徴です。白鶴島という小島や、浮石・坐禅石といった小岩もあり、見る場所を変えればまた違った姿が臨めます。

錦鏡池(銀閣寺)

池に架かる石橋(錦鏡池)

江戸時代に造られたもので、小島には苔や松も生えている盆栽のような雰囲気です。畔に生えた植物と池、石橋の組み合わせも見事で、一見の価値があります。

風情ある滝 洗月泉

洗月泉(銀閣寺)

洗月泉

洗月泉(せんげつせん)は泉と名がついていますが、錦鏡池(きんきょうち)の南東端に落ちる小さな滝です。滝というには少々小ぶりですが、周囲の岩に生えた苔と流れる水との組み合わせが美しく、風雅さが感じられます。

湧き出る清水 お茶の井と山道

お茶の井(銀閣寺)

お茶の井

銀閣寺の境内には、展望所へと続く山道があります。そこを上った先にあるのがお茶の井です。井という名前ながら実際は湧き水で、周囲にはまるで庭のように石が整然と配されています。お茶の井の湧き水は煮沸すれば現在も飲むことができますが、生水を飲むことは危険ですので控えましょう。

東山山荘の遺構 漱蘚亭跡

漱蘚亭跡(銀閣寺)

漱蘚亭跡

漱蘚亭跡(そうせんていあと)は東山山荘の遺構で、現在は崩れかかったような珍しい石組が残っているだけです。この石組は西芳寺の枯山水庭園を模したものという説があるものの、まだ詳しいことは明らかになっていません。

展望所から銀閣寺全景を臨む

伽藍(銀閣寺)

展望所から望む銀閣寺の全景

山道を登り切ると展望所があり、銀閣寺全景を臨むことができます。ここまで来る方は少ないですが、秋になると錦の布を広げたような光景が楽しめる隠れた名所です。

銀閣寺の
楽しみ方

銀閣寺には境内を拝観する以外にも楽しみ方があります。この項では、その一例をご紹介しましょう。

坐禅会に参加する

銀閣寺では毎月2回坐禅会が行われており、高校生以上ならば誰でも参加できます。坐禅会を実施している寺院は多いですが、銀閣寺では18時からスタートする夜の坐禅会も行っているのが特徴です。これならば、観光を終えた後でも余裕を持って参加できるでしょう。昼の坐禅会には住職の講和がつき、夜の坐禅会は坐禅だけです。

申し込み方法は昼と夜の坐禅会で異なります。詳しい申し込み方法は公式サイトに記載されていますので、興味ある方はサイトを確認してください。。

御朱印をいただく

銀閣寺では御朱印をいただくことができます。今、御朱印集めが静かなブームとなっているので、旅の記念に授与してもらうのもおすすめです。御朱印帳を持参するのが基本ですが、持参していない場合は別紙に記載してもらえます。御朱印を授与してもらう前にしっかりと境内を参拝するのがマナーです。

銀閣寺(慈照寺)
まとめ

いかがでしたか? 今回は世界遺産にも指定されている銀閣寺の見どころや魅力をご紹介しました。銀閣寺は落ち着いた美しさを持ち、眺めるほどにその良さが心に響いてくる寺院です。金閣寺と同じ日に見て回りたいという場合は、午前に銀閣寺、午後に金閣寺というふうに余裕をもって見て回ると慌てずに見学できます。桜の季節は付近にある哲学の道の桜が見事ですので、併せて訪れるのもおすすめです。

銀閣寺(慈照寺)
アクセス情報

住所:京都府京都市左京区銀閣寺町2
電話番号:075-771-5725
拝観時間:8時30分~17時(季節によって変動あり)
拝観料:大人500円・小中学生300円
駐車場:市営のものを利用
交通案内:JR京都駅から17番系統バス乗車、銀閣寺道下車徒歩すぐ
公式サイトhttp://www.shokoku-ji.jp

銀閣寺(慈照寺)

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