鎌倉の金沢街道沿いにある報国寺は、足利家時が開基した臨済宗の寺院です。境内には約千本の孟宗竹が生え、竹林の美しい寺として知られています。この他、境内には新田義貞が鎌倉攻めをした際の戦死者を埋葬した塚群や足利氏ゆかりのやぐらなど見どころが豊富です。
この記事では、報国寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。
デートスポット
報国時のご利益
竹林が美しい報国寺はデートスポットとしても有名です。ここでは、報国寺のご利益についてご紹介しましょう。
- 恋愛成就
- 縁結び
足利氏の縁が深い
寺院の歴史
報国寺は1334年、足利尊氏の孫にあたる足利家時によって開基されました。開山を担ったのは夢想国師の兄弟子に当たる仏乗禅師です。報国寺が造営されて約100年後の1439年、永享の乱が起きた時に関東公方足利持氏の子、長子と義久がここで自害しました。報国寺は関東における足利公方終焉の地です。
報国寺はその後、荒れ果てたり廃寺になることなく人々の信仰を集め続けました。近代では作家川端康成が『山の音』を執筆する際に滞在しています。
竹林の寺の
魅力
報国寺は日本人だけでなく外国人の拝観客も多い寺院です。ここでは、寺院の魅力をご紹介しましょう。
竹林が作り出す別世界
報国寺は住宅街の中にあるこぢんまりとした寺院です。華やかさや壮麗さはありません。でも、本堂裏手にある竹林に一歩足を踏み入れるとそこには別世界が広がっています。天を衝く孟宗竹が小路の両側にずらりと並んでいる光景は圧巻の美しさです。
竹林は音を吸収するため、葉が風に揺れる音以外はほとんど聞こえません。自然の緑には心を落ち着かせる効果があります。少し時間をかけて歩いたり竹林を眺めながらゆっくりお菓子とお抹茶をいただくのもいいですね。
四季折々の自然の美しさ
報国寺の境内には竹の他にアジサイや水仙、梅などが植えられており、四季折々に美しい花が見られます。その他、境内には十数種類の苔が生育しており、地面だけでなく岩や石塔の上まで覆っている様子は緑のじゅうたんのようです。竹林を散策した後は、苔や境内の草花にも目を止めると、報国寺が一層魅力的に見えてきます。
報国寺の
見どころ
報国寺の境内は決して広くはありませんが、見どころは豊富です。ここでは、その中の一押しをご紹介します。
樹木に囲まれた山門
報国寺の山門は禅寺らしく華やかではありませんが、どっしりとしていて落ち着いた雰囲気があります。山門の前にも紅葉などの樹木が多く、時期によっては樹木に埋もれているように見える場所です。紅葉の時期になると見事な風景が楽しめます。
南北朝時代造営の本堂
報国寺の本堂は南北朝時代に造られたもので、神奈川県の文化財に指定されています。内部に祀られている本尊の釈迦如来坐像は、東寺の十二天像を描いたことで知られる宅間法眼作です。竹林を背に建つ様子からは落ち着いた美しさが感じられます。
茅葺屋根の鐘楼
報国寺の鐘楼は茅葺屋根の風雅な造りをしています。鐘楼のすぐ後ろには大きなイチョウの木があり、紅葉の時期には風情ある光景が臨める場所です。鐘楼の隣には室町時代に行われた合戦の死者を弔うための無縁仏の五輪塔があります。
コントラストが美しい枯山水庭園
竹林の美しさで有名な報国寺ですが、枯山水庭園も見事です。白砂と苔の緑のコントラストが特に美しく、見ていて飽きることはありません。苔の緑が最も美しくなるのは初夏です。秋になると樹木の紅葉が楽しめます。平日昼間ならかなりすいていますので、ゆっくり見学したり写真を撮りたいという方はこの時に訪れるのがおすすめです。
報国寺の枯山水庭園は本堂裏手にあるものの他、山門をくぐって参道左手脇にもあります。規模は小さいですが白い砂に描かれた模様を間近で見ることができ、庭園好きには必見です。
千本の孟宗竹からなる竹林
寺院の別名になるくらい美しい場所です。孟宗竹は日本の竹の中では最も大きくなる種類で、平均で10m近い高さに育ちます。そんな竹が千本近く植わっていますから、竹林の中は緑一色の別世界です。
元々この場所には休耕庵という塔頭寺院がありました。現在ではその名は茶席に受け継がれています。
竹林の中には石仏や石塔が配置されており、幽玄の世界という言葉がぴったりです。写真を撮るのもおすすめですが、竹林の中の通路が狭いため混んでいる時期は注意が必要になります。竹だけでなく、地面をおおう苔も見事です。
茶席 休耕庵でお茶を楽しむ
塔頭寺院の名を継いだ休耕庵は竹林の中にあるよしず掛けの茶屋です。竹林を臨み、そこに吹き渡る風を感じながら抹茶と干菓子が楽しめます。四方に壁のないあずまやのような造りの茶席ですから、竹林の中に座ってお茶を楽しんでいるような気分になれる場所です。
お茶は臨済宗の僧、栄西が中国から持ち帰ったと伝えられています。栄西は茶を筑前の霊山寺にまいて栽培していました。日本の茶の歴史は禅寺から始まっています。そんな茶の歴史に思いを馳せながら抹茶をいただくのもおすすめです。
足利氏ゆかりのやぐら
やぐらとは鎌倉時代に柔らかい山肌を掘って造られた墓所です。報国寺のやぐらは報国寺を開基した足利家時や永享の乱で自刃した足利義久の物と伝えられています。やぐらの中には無数の五輪塔が設置されており、世のはかなさや無常さを感じられる場所です。
やぐらは鎌倉以外では見られません。報国寺のやぐらは風化もそれほどなくしっかりとした穴が残っています。歴史好きには一見の価値がある場所です。
鎌倉時代の戦死者の供養塔
鎌倉時代末期、新田義貞が鎌倉攻めを行った際の死者を慰める供養塔です。鎌倉は今でこそ風光明媚な観光地ですが、鎌倉末期から室町時代には何度も戦いがありました。多数の石塔は苔むしたり風化したりして独特の風情が感じられます。
報国寺
まとめ
いかがでしたか? 今回は竹林が美しい報国寺の魅力や見どころをご紹介しました。報国寺は鎌倉や北鎌倉といった観光地からは少し離れた場所にあるため、訪れるのに少し時間がかかります。でも、時間をかける価値が十分にある場所です。竹は1年中変わらない美しさを持つ植物ですので、どの季節に訪れても大丈夫。アジサイの時期を外せば交通機関も空いています。
報国寺
アクセス情報
住所:神奈川県鎌倉市浄明寺2-7-4
電話番号:0467-22-0762
拝観時間:9~16時
休日:12月29~1月3日
拝観料:竹林のみ200円
駐車場:なし
交通案内:JR横須賀線鎌倉駅から金沢八景駅バス乗車、浄明寺下車徒歩2分
公式サイト:http://www.houkokuji.or.jp