鎌倉の金沢街道沿いにある浄妙寺は1118年に源頼朝の忠臣、足利義兼によって開基された臨済宗の寺院です。鎌倉五山第五位の格式ある寺院で、境内は国指定の史跡になっています。枯山水の庭と梅の美しさで有名な場所です。境内には石釜ガーデンテラスという築90年の洋館を改造したレストランもあります。
この記事では、浄妙寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。
梅が美しい
寺院の魅力
鎌倉の寺院はアジサイが美しい所がたくさんありますが、浄妙寺では梅の美しさで名高い場所です。毎年2月中旬になると山門から本堂へと通じる参道沿いや庭園に紅白の梅が咲き誇ります。枯山水の幽玄の美と梅の花の華やかな美を見比べて見るのもおすすめです。
この他、2008年(平成20年)には、寺院に残る藤原鎌足の鎌槍伝説にちなんで木更津市の高蔵寺から鎌足桜が寄贈されました。八重咲きの白い花が咲く桜で、梅の見ごろが終わった四月上旬頃に開花時期を迎えます。
格式高い
寺院の歴史
浄妙寺は1188に足利義兼が開基し、退耕行勇が開山しました。退耕行勇は、はじめ密教を学んでいましたが、やがて臨済宗の開祖栄西の門下に入ります。この時、浄妙寺は臨済宗の寺院となりました。退耕行勇には源頼朝やその妻政子の他、三代目鎌倉幕府将軍、源実朝らが深く帰依したと伝えられています。
鎌倉時代末期に一度寂れてしまいますが、足利尊氏の父、貞氏によって復興されました。そのため、境内には貞氏の墓と伝えられる宝篋印塔(ほうきょういんとう)があります。
1386年、足利義満が五山の制度を定めて浄妙寺は鎌倉五山第五位に認められました。その頃は七堂伽藍を持ち、23の塔頭寺院を有する大寺院であったと伝えられています。しかしその後度重なる火災にあい、現在残っているのは総門・本堂・客殿・庫裡だけです。
歴史ある
寺院の見どころ
枯山水の庭園の他にも、浄妙寺には見どころがあります。ここでは、枯山水の庭園を含めた一押し見どころをご紹介しましょう。
屋根が特徴的な本堂
浄妙寺の現在の本堂は、1756年に再建されたものです。建物は寄棟造で銅板葺きの屋根を持ちます。屋根は起りと呼ばれる膨らむような形が特徴的で、柔らかいイメージです。2月になると梅の花と本堂の風情ある組み合わせが楽しめます。
内部に祀られている本尊は木造の釈迦如来坐像です。南北朝時代の作で、鎌倉十三仏の一つに数えられています。この他に祀られているのは、お産の神である木造淡島明神立像・開山の退耕行勇坐像です。
抹茶とお菓子が楽しめる喜泉庵
喜泉庵は枯山水の庭園前に1991年(平成3年)に復興された茶室です。かつては寺院で修業をしている僧たちが一同に会してお茶を飲んでいた場所でした。今では誰でも抹茶とお菓子を楽しむことができる場所です(有料)。
建物からは枯山水が一望でき、お茶をゆっくりと飲んでいると心が落ち着いてきます。浄妙寺は見どころが多い寺院ですが知名度は高くないため、混み合うことはあまりありません。運がよければ貸切状態でお茶を飲めます。
喜泉庵の庭 その幽玄の美
喜泉庵から臨める枯山水の庭園は、こぢんまりとしていますが白石と樹木のコントラストが美しく、いつまでも見つづけていたくなる場所です。植えられている樹木はツツジの類で、5月になると鮮やかな赤色の花が咲きます。
秋には紅葉が楽しめますが、ツツジの花の華やかさに比べると落ち着いた美しさです。庭の中央、浮島のような場所に生える苔は初夏になると色鮮やかさを増します。この時期は、砂の白と植物の緑の対比が一番美しい季節です。
寺院中興の祖 足利貞氏の墓(宝篋印塔)
足利貞氏は足利尊氏の父に当り、鎌倉時代末期に寂れていた浄妙寺を再び開基しました。その功績のため寺院の境内に墓があると伝えられています。小さな石塔にぐるりと囲まれたお墓はこじんまりとしていますが、長い時間風雪に耐えてきた歴史の風格を感じさせるものです。周囲は自然が豊かで、秋にはコスモスが咲きます。
パンが美味しい石窯ガーデンテラス
石窯ガーデンテラスは、浄妙寺の境内にあるイタリアンレストランです。築90年の洋館を利用した建物で、天然酵母を利用したパンや鎌倉の野菜を使ったパスタなどが楽しめます。幽玄の世界を楽しんだ後でイタリアンに舌鼓というのもおすすめです。建物の前にはイングリッシュガーデンが広がっていて散策が楽しめます。
浄妙寺
アクセス情報
住所:神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-31
電話番号:0467-22-2818
拝観時間:9~16時30分
拝観料:100円
駐車場:あり
交通案内:JR横須賀線鎌倉駅から金沢八景駅行きバス乗車、浄明寺下車、徒歩2分