東山区泉涌寺山内にある即成院(そくせいいん)は、泉涌寺(せんにゅうじ)の塔頭寺院です。塔頭寺院とは大寺院に付随する小寺院のことで、寺院が担う役割を泉涌寺と分担しています。山内には那須与一(なすのよいち)の墓があり、那須与一ゆかりの寺院として有名です。10月の第三日曜日には二十五菩薩お練り供養と本尊などの特別拝観が行われ、境内は大勢の観客でにぎわいます。
この記事では、即成院の魅力や見どころをご紹介しましょう。
塔頭寺院
即成院の歴史
即成院は藤原頼通(ふじわらよりみち)の子である橘俊綱(たちばなとしつな)が建立したと伝わっています。建立年代ははっきりと分かっていませんが、13世紀には建立されていたという説が有力です。当時から本尊の阿弥陀如来は霊験あらたかなことで有名でした。
平安時代末期、源義経家臣の那須与一が病を得て伏見で療養していた際、即成院の阿弥陀如来を信仰して病を治したという伝説が残されています。しかし、与一の後半生は諸説あって正確なことは不明です。一説によると源平合戦が終わった後、出家して後半生を戦没者の供養に費やし、最後は即成院の阿弥陀如来の前で亡くなったといわれています。
1902年(明治35年)に即成院は現在の場所に移転されました。今日では、那須与一ゆかりの寺院として知られています。
二十五菩薩を祀る
寺院の見どころ
即成院は本寺の泉涌寺に比べると小さな寺院ですが、見どころが複数あります。この項では、観光客に人気の場所や魅力をご紹介しましょう。
特別拝観で仏様を見学する
即成院には、重要文化財に指定されている本尊の阿弥陀如来像と二十五菩薩が祀られています。二十五菩薩のうち4体の仏像も重要文化財指定の名品です。通常は非公開ですが、毎年10月の第3日曜日に行われるお練り供養の日だけ特別公開されます。
本尊と二十五菩薩のうち重要文化財に指定されている4体はこれまで恵心僧都作と伝えられていましたが、近年の調査によって、安時代の代表的仏師、定朝(ていちょう)とその弟子による作と判明しました。
二十五菩薩のうち十体が創建当初からの仏像で、残りの十五体が江戸時代に作られたものです。二十五菩薩への信仰がいつごろ始まったのかは分かっていませんが、今では特別拝観の日には大勢の参拝客が訪れます。
那須与一の墓に詣でる
即成院の境内には那須与一の墓所と伝わる巨大な石塔が建てられています。那須与一は源義経に仕えた武将で弓の名手として知られており、平家物語の一節である扇の的は与一が活躍する有名な話です。
与一が一矢で扇の的を射抜いた伝説にあやかり、墓前には願い事を記した扇がたくさん奉納されています。願い事は病気平癒から恋愛成就・学業成就まで様々です。
二十五菩薩お練り供養に参加する
二十五菩薩お練り供養は、毎年10月の第3日曜日に行われる法会です。地蔵堂を現世に、本堂を浄土に見立てて2つの建物の間に橋を渡し、そこを菩薩に扮した人々が渡り歩きます。
江戸時代中期に始まったといわれるお練り供養は、今では秋の洛南を代表する風物詩です。仏像の特別拝観と共に楽しめます。
即成院
アクセス情報
住所:京都府東山区泉涌寺山内町28
電話番号:075-561-3443
拝観時間:9~17時
拝観料:通常は境内自由・特別拝観時 500円
駐車場:泉涌寺のものを使用
交通案内:JR 京阪東福寺駅より徒歩15分
公式サイト:http://www.negaigamatoe.com