三保の松原は、静岡市清水区にある駿河湾に突き出た三保半島の海岸線沿い、約7キロに渡って広がる松原です。約5万4千本のクロマツが生い茂る風光明媚な場所で、古代から文芸や芸術の題材になってきました。特にこの地に天女が舞い降りたという羽衣伝説は有名で、謡曲『羽衣』にも地名が登場します。
2013年に富士山が世界遺産に登録されたため、松原も「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産に登録されました。
今回は、三保の松原の見どころや魅力をご紹介します。
美しい海岸線を
散策する
三保の松原は三保半島を海岸線に沿ってほぼ半周しています。遊歩道(サイクリングロード)が整備されていますので、白い砂浜と緑の松・青い海を見ながら散策やサイクリングが楽しむのもおすすめです。晴れていれば松林の向こうに富士山も望めます。富士山・松林・海の組み合わせはまるで一服の絵画のようなすばらしい光景です。
晴れた日の夕刻になは、夕日が富士の山肌を赤く染める「赤富士」も見られます。写真撮影をすれば良い記念になること間違いなしです。
絶景を望みながら
釣りを楽しむ
三保の松原の海岸では、1年を通じて釣りを楽しむことができます。釣れる魚はシロギス・ハゼ・アオリイカ・カワハギ・クロダイ・タチウオなどです。周辺には釣具店があり釣りの道具を整えられる他、釣り場についてのアドバイスも受けられます。釣り船を仕立てることもできますので、富士山や松原を海上から見ながら釣りを楽しむのもおすすめです。
薪能を
観賞する
毎年10月には羽衣祭りの一環として、三保松原薪能が開催されます。演目は三保の松原に伝わる羽衣伝説を基にした羽衣です。能楽というと難しそうなイメージがありますが、羽衣はストーリーがシンプルで分かりやすいので初心者でも楽しめます。
薪能の他にも薪能に使うかがり火の種火を伯良神社で採火し、神の道を通って羽車神社に納める伯良行列などが行われるので一緒に見学するのもいいですね。
風光明媚な松原の
見どころ
古くから有名な観光地であった三保の松原には、いくつもの見どころがあります。ここでは、その中の一押しをご紹介しましょう。
天女が羽衣をかけた羽衣の松
羽衣の松は天女が羽衣をかけたという伝説が残る松です。御穂神社のご神体であり、神様が降臨されるときの依り代(目印)になると伝えられています。現在の松は三代目です。
御穂神社へと続く神の道
羽衣の松から御穂神社へと続く参道は、神の道と呼ばれています。道の両側には樹齢200年を超える松の古木が並び立ち、風雅な雰囲気です。2010年(平成22年)、松の根を保護するために木製の遊歩道が整備されました。
羽衣伝説ゆかりの御穂神社
御穂神社は三保の松原から少し内陸に入ったところに位置する神社です。創建年代ははっきりしていませんが延喜式に登場するほど歴史は古く、江戸時代初期には徳川家の庇護を受けていました。古来から羽衣伝説に由来する「羽衣の舞」が伝わっており、例大祭や羽衣祭りでは舞殿で奉納されます。
フランスの舞踏家 エレーヌの碑
羽衣の松の側に建つフランスの舞踏家エレーヌ・ジュグラリスの遺髪を収めた碑です。エレーヌは日本の能楽の美しさに感動し、羽衣を西洋風にアレンジして上演しました。彼女は三保の松原を訪れたいと願いながら、35歳の若さで亡くなってしまいます。彼女の死後、夫がエレーヌの遺髪をもって三保の松原を訪ねました。この碑は、彼女に共感した地元の方々によってエレーヌの功績を顕彰するために建てられた物です。
富士山が特に美しく見える鎌ヶ崎
三保灯台と羽衣の松の中間地点付近に位置する鎌ヶ崎は、三保の松原の中でも特に富士山が美しく見える場所です。生涯にわたって富士山の美しさを追求し続けた洋画家、和田栄作はここでよくキャンパスを広げていたと伝えられています。絶好の写真撮影スポットです。
八角形をした三保灯台(清水灯台)
三保飛行機場のすぐ側にある三保灯台は、日本で最初に鉄筋コンクリートで造られた灯台です。歴史的な価値が高く、Aランクの保存灯台として創建当時の姿のまま大切に守られています。緑の松と白亜の灯台、遠くに望める富士山の組み合わせは絵画のような美しさです。灯台のてっぺんに取り付けられた風見鶏は、羽衣伝説にちなんで天女をかたどっています。
三保の松原
アクセス情報
住所:静岡県静岡市清水区三保
駐車場:あり
交通案内:JR清水駅からしずてつジャストライン三保線乗車、三保の松原入口下車徒歩15分