法然院は哲学の道の近くにある寺院です。普段は非公開ですが春と秋だけ伽藍が公開されます。浄土真宗の開祖法然上人が弟子の安楽と住蓮と共に念仏修行をした草庵が始まりで、江戸時代に正式に寺院となりました。毎年伽藍が公開される時期は椿が見ごろを迎えるため、椿の名所としても有名です。
今回は、法然院の見どころや魅力をご紹介しましょう。
一時は荒廃した
法然院の歴史
法然院は、念仏修行の場として浄土宗の開祖法然上人が弟子2人と共に造った草庵がはじまりです。修行をしている3人の元に、やがてたくさんの信者が集まるようになりました。その中に、後鳥羽上皇の女官の松虫と鈴虫という美しい女性がいたと伝えられています。松虫と鈴虫は仏教の教えに深く帰依し、ついに上皇に無断で出家してしまいました。後鳥羽上皇は女官が勝手に出家したことに怒り弟子達は処刑され、法然上人は讃岐の国へ流罪になってしまいます。法然上人は罪を許された後に京都に帰りましたが、草庵に戻ることはありませんでした。
草庵はその後すっかり荒廃してしまいましたが、1680年に知恩院第三十八世萬無和尚が再興して現在の伽藍の基礎を作ります。再興した法然院は長く浄土宗の寺院と念仏道場として栄え、
1953年、法然院は浄土宗より独立して単立宗教法人になります。現在、伽藍内は非公開です。毎年4月1日から7日まで・11月1日から7日までの年に2回だけ、伽藍内部を一般に公開しています。
14日だけ見られる
寺院の魅力
ここでは、14日間だけ公開される寺院の魅力や見どころをご紹介します。公開されるのは伽藍の一部ですが、見どころは豊富です。
水を表わす白砂壇(びゃくさだん)
白砂壇(びゃくさだん)は、山門を入ってすぐのところに位置しています。白い盛り砂で水を表わしていて、この間を通ることは心身を清めるのと同じことです。白砂壇(びゃくさだん)を通り抜けると、そこから先は浄域になります。
元は浴室だった講堂
1694年に建立された建物で、元は大浴室でした。1977年に内部を改装し、現在は講演会やコンサートが開かれる場所として使われています。一種の多目的ホールです。
仏像も安置されている経蔵
経蔵は文字通り経典を納める蔵です。法然院の経蔵には、多数の経典の版木が収蔵されています。版木とは印刷の原版と同じような物で、これを最初に作ることにより経典を簡単に増やせるようになりました。
経蔵にはその他に、釈迦如来像・毘沙門天像・韋駄天像を安置しています。
本尊が安置されている本堂
本堂は、1681年にまず客殿づくりの堂宇(本堂の中心となる建物)が完成し、1688年に佛殿と拝殿が追加されました。安置されている仏像は、本尊阿弥陀如来坐像の他、観音・勢至両菩薩像・法然上人立像・萬無和尚坐像です。本尊前の須弥壇(しゅみだん)には二十五のの生花が散らされていますが、これは同じ数の菩薩を象徴しています。
皇女の御殿だった方丈
方丈とは、住職の住む場所のことです。法然院の方丈は、1687年に伏見にあった後西天皇の皇女の御殿を移築した物。華やかではありませんが、落ち着いた雰囲気の風情ある建物です。
方丈には、桃山時代に描かれた狩野光信筆の襖絵と1971年に描かれた堂本印象筆の襖絵が収蔵されています。これらの襖絵は、伽藍が公開されるときに同時公開されるので必見です。
湧き水が絶えることない方丈庭園
方丈庭園には、阿弥陀三尊像を象徴する三尊石が配置され、名水「善気水」が湧きだしています。現在、水を汲むことはできません。苔むした古い石の手水鉢から水が流れ落ちる様子は、清らかな美しさが感じられます。
忍澂和尚等身大の地蔵菩薩像
忍澂和尚は、萬無和尚が伽藍の基礎を作った法然院を念仏道場として再興した僧です。地蔵菩薩像は、忍澂和尚が46歳の時に自分と等身大の像を作らせ、安置させました。
小さいものが多い地蔵菩薩像ですが、成人男性を同じくらいの大きさの像は静かな迫力があります。
人気が高い椿の庭
法然院は椿の名所ですが、特に本堂北の中庭は三銘椿(五色散り椿・貴椿・花笠椿)が植えられていていて椿の庭と呼ばれています。三銘椿の開花時期は3月下旬から4月上旬です。ちょうど春の公開時期と重なるので、公開される場所の中でも特に賑わいます。
撮影スポットでもありますが、混み合いますので注意が必要です。
法然院
まとめ
いかがでしたか? 今回は法然院の魅力や見どころをご紹介しました。公開日にはいつも大勢の拝観者が訪れる寺院です。ゆっくりと拝観したいという場合は、平日の午前中がおすすめ。運がよければ公開される時に椿の他、桜も見ごろを迎えています。
法然院
アクセス情報
住所:京都府京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町30
電話番号:075-771-2420
公開時期:4月1日~7日 11月1日~7日
公開時間:9時30分~16時
拝観料:500円
駐車場:なし
交通案内:JR京都駅から錦林車庫前行乗車、錦林車庫前下車、徒歩すぐ
公式サイト:http://www.honen-in.jp/HONEN-IN-001.html