龍吟庵(りょうぎんあん)は、東福寺に25ある塔頭寺院の中で第一位に位置づけられている寺院です。応仁の乱以前に造られた方丈は日本最古の方丈建築として名高く、国宝に指定されています。境内にある3つの庭は共に作庭家の重森三玲(しげもりみれい)氏によって造園されたものであり、京都屈指の名園として有名です。通常は非公開で、毎年秋に特別公開が行われます。
この記事では、龍吟庵の魅力や見どころをご紹介しましょう。
塔頭を代表する
寺院の歴史
龍吟庵は、鎌倉時代に東福寺3世、無関普門(大明国師)によって創建されました。創建当時、国師はすでに高齢で、ほどなくしてこの寺院で亡くなります。国師が亡くなった後、寺院は東福寺の塔頭になりました。
南北朝時代になると、境内に方丈が建てられます。現在、境内にある方丈はこのときに建てられたものです。1603年には庫裏が建立されるなど寺院は大いに栄えました。江戸時代になると寺院は一時荒廃しましたが、やがて復興されて現在に至ります。1964年(昭和39年)には、作庭家の重森三玲によって3つの庭園が造られました。
文化財豊富な
寺院の見どころ
龍吟庵は庭の美しさで名高く、多くの文化財も所有しています。ここでは、龍吟庵の魅力や見どころをご紹介しましょう。
境内の建物を見学する
龍吟庵が特別公開されるときには、庭だけでなく境内の建物も外から見学できます。中でも必見なのは国宝指定の方丈です。日本最古の方丈建築といわれる建物は書院造を基本としていますが、寝殿造りの名残も留めています。単層入母屋造で屋根はこけら葺、玄関には唐破風(からはふ)屋根があり、ここ以外では見ることができない珍しい造りです。
方丈の背後に建っている開山堂は1975年(昭和50年)に造られました。内部には、重要文化財に指定されている大明国師坐像が安置されています。この他、重要文化財に指定されている庫裏や表門も一見の価値ありです。
京都屈指の名園を見学する
龍吟庵の庭園は、方丈の東・西・南の3か所に位置しており、それぞれ不離の庭・龍の庭・無の庭と名付けられています。南に位置する無の庭はただ白砂が平らにひかれているだけの庭です。何もない庭だからこそ、庭の外に見える紅葉がいっそう美しく感じられます。庭を囲む稲妻の模様が施された竹垣が唯一の装飾です。
西にある龍の庭は、黒砂が黒雲を、白砂が海を表わしています。その間に置かれた石柱が龍です。竹垣には、斬新なデザインが施されています。
東にある不離の庭は、黒砂が敷き詰められた上に石が点在している意匠です。中央の横石が開山者、無関普門を表わしているといわれています。
龍吟庵
アクセス情報
住所:京都市東山区本町15丁目812
電話番号:075-561-0087(東福寺)
駐車場:東福寺と共通
交通案内:JR京阪電車東福寺駅より徒歩10分