東山区にある長楽寺は、丸山公園の奥にひっそりと佇む時宗の寺院です。平家物語ゆかりの寺院で、紅葉が美しい寺院としても知られています。宿坊としても利用でき、朝食の朝がゆが付いたプランや長楽寺の茶室で茶道が体験できるプランなど、メニューも豊富です。そのため、遠方から訪れる観光客からも人気があります。
この記事では、長楽寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。
平家物語ゆかりの
長楽寺の歴史
長楽寺は、805年に桓武天皇の勅命によって最澄が創建した寺院です。創建当時は延暦寺の別院扱いでしたが、室町時代に阿国上人が入寺したことにより時宗に改宗されています。
平安時代末期には、平清盛の娘であり安徳天皇の母としても知られる建礼門院徳子がこの寺院で出家しました。その縁で、寺院には安徳天皇の直衣(のうし)から作った幡(ばん)など、平家ゆかりの品々が数多く残されています。
江戸時代までの長楽寺は、東山一帯に広大な敷地を有する寺院でした。しかし、明治時代には境内の大半が丸山公園に編入。1906年(明治39年)には時宗の総本山格だった七条道場金光寺と合併しました。
平家物語ゆかりの寺院として、現在も歴史ファンを中心に多くの人々に親しまれています。
東山屈指の名勝地
長楽寺の魅力
長楽寺は昔から洛中随一絶景の霊地といわれ、特に紅葉の美しさは有名寺院に勝るとも劣りません。ここでは、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。
相阿弥が造った名園
長楽寺の庭は室町時代に活躍した作庭家、相阿弥(そうあみ)が銀閣寺の庭園を造る前に試作として作庭したと伝わっています。東山を借景としており、樹木が豊富です。この他、東山山腹から湧き出る水を利用して池と滝が造られています。紅葉の時期は特に美しく、見ていて飽きることはありません。
長楽寺は高台に位置しているため、境内から京都市内を一望できます。名園を見学した後は境内を巡るのもおすすめです。境内には、石仏に囲まれた平安の滝や建礼門院徳子の髪を納めた建礼門院御塔(御髪塔)・幕末の文人である頼山陽(らいさんよう)の墓などがあります。
鐘楼に吊るされている鐘の音は京都屈指の美しさです。除夜の鐘はかつてテレビ中継されたこともあり、参拝客も希望すれば鐘を突くことができます。
古くから伝わる寺宝
長楽寺が所有している寺宝は、毎年春と秋の特別展で公開されます。春は建礼門院徳子ゆかりの品々、秋は七条道場金光寺より受け継いだ遊行上人(一遍上人)の像や手紙などが展示され、多くの人々に好評です。春には桜、秋には紅葉を楽しみながら寺宝を見学する方もたくさんいます。
宿坊として利用できる遊行庵
長楽寺の宿坊である遊行庵は、丸山公園のすぐ近くにあります。宿坊といっても普通の旅館と同じように利用することができ、門限が22時ということ以外には厳しい決まり事はありません。自由に使用できる写経室や読経室がある他、宿泊客は長楽寺を無料で拝観できます。
長楽寺
アクセス情報
住所:京都市東山区円山町626番地
電話番号:075-561-0589
拝観時間:9~17時
拝観休止日:木曜日(特別公開時は除く)
拝観料:大人500円・子ども200円
駐車場:丸山公園の物を使用
交通案内:京阪祇園四条駅より徒歩20分
公式サイト:http://www.age.ne.jp/x/chouraku/