芬陀院(ふんだいん)は東福寺境内にある塔頭寺院の一つで、日本画で有名な雪舟(せっしゅう)作の庭がある寺院として知られています。摂関家の一つ、一条家の菩提寺であり、何度か火災に遭遇したものの朝廷の助けによって復興されました。作庭者にちなみ、雪舟寺という別名があります。
この記事では、芬陀院の魅力や見どころをご紹介しましょう。
摂関家が創建した
寺院の歴史
芬陀院は、鎌倉時代末期の元亨年間に当時の関白、一条経通が父のために創建しました。開山は、東福寺を開山した聖一国師の法孫にあたる定山祖禅(じょうざんそぜん)です。
方丈の南庭と東庭は、画聖として有名な雪舟が造ったといわれています。戦国時代になると荒廃してしまいましたが、江戸時代初期に一条兼輝によって再興されました。1755年に発生した火災で伽藍がすべて焼失しますが、恭礼門院の旧殿を移築して復興します。
芬陀院の庭は長らく一部が荒れ果てていましたが、1939年(昭和14年)に作庭家の重森三玲によって復元されました。1969年(昭和44年)には茶道に造詣が深かった一条恵観(昭良)の三百年忌を記念して、図南亭という茶室が再現されます。
芬陀院の
魅力と見どころ
東福寺は紅葉の美しさで名高い寺ですが、その塔頭寺院芬陀院は苔の美しさで知られています。ここでは、そんな寺院の魅力や見どころをご紹介しましょう。
苔が美しい境内を見学する
芬陀院というと雪舟作の庭園が有名です。その中でも苔の美しさは際立っていて、方丈の南庭(鶴亀の庭)にある鶴島と亀島は苔の海に浮かんでいるように見えます。この他、庭に生えているコウヤマキにはサヤゴケの大群落がみられ、白砂とのコントラストが見事です。
苔は庭だけでなく参道の両側にもびっしりと生えており、四季折々の美しさが楽しめます。再建された茶室、図南亭の路地に置かれた一条恵観ゆかりの手水鉢や屑屋形灯籠も苔に覆われ、独特の風情が感じられると評判です。
毎年紅葉の時期になると、庭越しに東福寺の紅葉が望めます。
ツバキの生垣を観賞する
芬陀院は庭や苔だけでなく、ツバキの生垣も見事です。毎年3月下旬になると赤く美しい花を咲かせます。この時期、東福寺周辺を訪れる観光客はピーク時に比べるとわずかです。そのため、比較的ゆっくりと庭や境内を散策できます。落ち着いて庭を観賞したいという方は、この時期に訪れてみるのもおすすめです。
芬陀院
アクセス情報
住所:京都府京都市東山区本町15丁目803
電話番号:075-541-1761
拝観時間:9~17時
拝観料:大人300円・子ども200円
駐車場:東福寺と共通
交通案内:JR京阪電車東福寺駅より徒歩10分