静岡県の東部に位置する清水町は、富士山の雪解け水が流れ出る清流、柿田川で有名な町です。町内には湧水を利用した観光スポットが点在し、豊かな自然とその中に生息する動植物などを見ることができます。都会の喧騒から離れ、ゆったりと落ち着いた観光を楽しみたいというご家族やカップルにピッタリの観光地です。
この記事では、清水町の魅力や見どころ・おすすめのグルメスポットなどをご紹介します。
美しい水が流れる
清水町の自然
清水町は、柿田川の美しい清水に恵まれた自然あふれる地域です。この項では、清水町の自然を満喫できるスポットをご紹介します。
柿田川湧水群
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柿田川湧水群
柿田川湧水群は、国道1号線直下にある湧水です。ここから湧き出た水が柿田川となり、やがて狩野川に合流します。水の湧き出し口は川全体に見ることができ、1日に湧き出す水の量は100万t以上です。
ここから湧き出た水は、三島市や沼津市の飲料水や工業用水としても利用されています。ミネラル・炭酸ガス・酵素が豊富に含まれる水で、飲用水としては理想的な水質です。きれいな水が湧き出る柿田川の中には、鮎をはじめ清水にしか生息できない動植物が豊富に生息しています。
柿田川公園
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柿田川公園
柿田川公園は、柿田川湧水群の源泉を囲むように整備された公園です。園内には二つの展望台があり、どちらも湧水の様子を真上から観察するために造られました。富士山の地下水が絶え間なく湧き出す様子は一見の価値ありです。
公園には湧き水広場も整備されており、実際に湧水に触れることができます。湧き水を利用した豆腐屋さんやおそば屋さんなども隣接しているので、観光の休憩場所としても最適です。
本城山
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本城山
本城山(ほんじょうやま)は、柿田川と狩野川の合流地点にある山です。龍泉寺や金毘羅神社(こんぴらじんじゃ)などがある他、1983年(昭和58年)には山頂に本城山公園が整備されました。
山といっても丘陵地に近く、山頂からは清水町が一望できます。天気が良い日は山頂から富士山も望めるので、観光がてら足を延ばしてみるのもおすすめです。
本城山公園
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本城山公園
本城山公園は、本城山の山頂一帯に整備された公園です。清水町内を一望できる展望台や子どもの城と呼ばれるアスレチック・休憩所の四阿(あずまや)などが備えられ、市民の憩いの場となっています。
公園内は樹木が豊富で、駐車場から展望台までの道のりはゆるい上り坂です。春は桜、秋は紅葉が楽しめる場所として知られており、シーズン中は大勢の人で公園内が賑わいます。
清水町総合運動公園
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清水町総合運動公園
清水町総合運動公園は、多目的スポーツ広場やテニスコート・ゲートボール場などを備えた運動公園です。子どもの遊び場や富士見広場などもありますので、子どもを遊ばせたり散策を楽しんだりもできます。
総合運動公園は柿田川湧水群のすぐ近くにあるため、柿田川湧水群を見学した後で足を延ばしてみるのもおすすめです。テニスコートやゲートボール場を使用したい場合は、事前の申し込みが必要になります。
丸池(玉川池)
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丸池(玉川池)
丸池は玉川池とも呼ばれ、町の東側を流れる境川沿いにある池です。もともとは丸い形をしていたため、丸池と名付けられました。古くから灌漑(かんがい)用水として利用されており、周辺の住民によって大切に管理されていたと伝えられています。
池のほぼ中央に突き出る形で建立されているのは、平清神社です。この神社には、幕末に池の管理権を巡って周囲の村が争った際、騒ぎを納めるために江戸の奉行所へ訴え出た2名の名主が祀られています。
池の周囲には桜の木がたくさん植えられており、春に花が咲き誇る様子は見事です。風のない晴れた日には、池に富士山の姿が映る逆さ富士を見ることもできます。
清水町の
史跡や寺社
長い歴史を持つ清水町には、史跡や寺社が点在しています。この項では、観光途中に立ち寄れる史跡や寺社をご紹介しましょう。
伏見古墳群
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伏見古墳群
伏見古墳群は古墳時代末期に造られた古墳群です。前方後円墳のような巨大なものではなく、横穴式石室を持つ小円墳が6基集まっています。
この古墳群からは、土師器(はじき)と呼ばれる素焼きの器の他、奈良時代や平安時代に鋳造(ちゅうぞう)された古銭などが出土しました。古墳時代に造られた墳墓を平安時代まで再利用しながら使っていたのではないかと考えられています。
現在は6基ある墳墓のうち4号墳墓の石室が整備・保存されており、自由に見学可能です。
赤石地蔵
赤石地蔵は、清水町伏見の集落で下痢と腹痛の病によって命を落とした旅僧の遺言で作られた地蔵尊です。旅僧は息を引き取る間際、「赤石で地蔵尊を作ってくれるならば村人を疫病から守ろう」と言い残していたといいます。
地蔵尊が祀られた後、村人たちの間で「この地蔵を削って飲むと疫病や下痢が治る」という噂が広まりました。その結果、地蔵は削られすぎて小さな石の塊になってしまいます。そこで、村人は1825年に新たな地蔵尊を作り、古い地蔵尊だった石を台座の中に納めました。
地蔵尊は今でも周辺に住む方に大切に管理され、毎年7月23日には法要が行われています。
対面石
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対面石
対面石(たいめんせき)は八幡神社の境内にある石です。平安時代末期、この石に源頼朝と義経の兄弟が腰を下ろして対面したという伝説が残っています。昔はもっと北の国道沿いにありましたが、道路事情等により現在地に移されました。
対面石の側には、幹も種もねじれているというねじり柿が生えています。ねじれて生える柿は珍しいので、石を見学するついでに観察してみるのもいいですね。
八幡神社
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八幡神社
八幡神社(やはたじんじゃ)は、八幡区の南西端に建つ神社です。八幡神の他、応神天皇(おうじんてんのう)・神功皇后(じんぐうこうごう)などをお祀りしています。源頼朝が富士川の合戦が行われる際、ここに陣を張って神社を勧請(分霊すること)したと伝えられていますが、正確なことは分かっていません。
神宝の中には徳川家康が奉納した太刀などもあり、武家の信仰が篤かったことが分かります。歴史に思いをはせながら参拝するのもおすすめです。
千貫樋
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千貫樋
千貫樋(せんがんどい)は、三島市の楽寿園内にある小兵池の水を玉川・伏見・八幡・長沢・柿田の5集落で利用するために、伊豆と駿河の国境にかけられた樋です。この樋の歴史は古く、室町時代にはすでにかけられていたと考えられています。
千貫樋の由来は諸説あり、灌漑技術の高さを讃えた説や建設費用が千貫かかったからという説が有名です。1924年(大正12年)に関東大震災が起こるまでは木製の樋が使われており、1925年(大正13年)にコンクリート製のものにかけ替えられました。後に、新宿という集落もこの灌漑用水を利用しています。
一里塚(玉井寺)
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一里塚(玉井寺)
玉井寺(ぎょくせいじ)の境内にある一里塚は、江戸幕府が主要街道に設置しされた道路標識のようなものです。一里(4km)ごとに設置され、盛り土の上にエノキなどの樹木を植えています。
江戸時代、三代将軍家光の頃に参勤交代という制度が整い、各国の大名が1年おきに江戸と国元を往復するようになりました。これにより全国に街道が整備され、中でも江戸の日本橋と京都を結ぶ東海道は多くの人々が行きかい街道の代表格となります。
かつての清水町は東海道沿いに位置しており、境内の一里塚は江戸の日本橋から数えて29番目にあたるものです。
一里塚(宝池寺)
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一里塚(宝池寺)
宝池寺(ほうちじ)は玉井寺のすぐ近くにある寺院で、ここの境内にも一里塚が残されています。この一里塚は玉井寺のものと対をなすものです。玉井寺の一里塚は江戸時代のものですが、宝池寺の一里塚は1985年(昭和60年)に復元されたものになります。
江戸時代、宝池寺には立場と呼ばれる茶屋がありました。この茶屋で旅人は湯茶のサービスを受け、再び目的地に向かって旅立っていったと伝えられています。
東海道松並木
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東海道松並木
東海道松並木は、1604年に二代将軍秀忠によって植えられた松並木です。秀忠は全国の街道を改修・整備した際、少しでも人が通りやすいようにと松や杉を道の両脇に植えさせました。
清水町は街道の代表格、東海道沿いに位置している町です。東海道松並木は往年の街道を偲べる数少ない史跡になります。
泉頭城跡
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泉頭城跡(柿田川公園)
泉頭城跡(いずみかしらじょうせき)は、柿田川の源泉である泉頭に築かれた城です。北条氏が築城し、柿田川湧水が長い時間をかけて浸食してできた自然の洞(うろ)を利用して曲輪(くるわ)が築かれています。
1615年には、徳川家康がこの城を隠居所として選びました。現在、城跡は柿田川公園となり、城の遺構はほぼ消滅し痕跡もほとんど分かりません。しかし、公園の遊歩道から外れた雑木林の中には、自然の洞を利用した曲輪の遺構がわずかに残っています。
貴船神社
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貴船神社(柿田川公園)
貴船神社(きふねじんじゃ)は、京都の鞍馬にある貴船神社から分霊をしてもらって建立された神社です。祀神は水神で、水源を守護する神様として長い間大切に信仰されてきました。
現在の貴船神社は、柿田川公園の中にあります。1986年に新たに台座が設置され、1991年(平成3年)には新たに社殿と手水舎が建てられました。ご利益は家内安全や縁結びなどです。
戸倉城跡
戸倉城跡は、北条氏が本城山に築いた山城の跡です。築城は戦国時代で、北条氏が今川氏の攻撃から領地を守るために築城したと伝えられています。山の地形を利用して造られた実践本意の城で、今の龍泉寺あたりに居館(きょかん)がありました。
武田氏と北条氏の戦いの舞台にもなっており、付近一帯では何度も激しい戦が行われたと伝えられてます。豊臣秀吉の小田原攻めの際、北条氏の手によって破壊され、城の遺構などはほとんど残されていません。
十王堂
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十王堂
十王堂は、閻魔大王をはじめとする冥界で死者の罪を裁く神様たちを祀ったお堂です。堂内には祭壇があり、中央に地蔵菩薩が安置され、その両側に五体ずつ木造の十王像が安置されています。
当初は本城山の南裾にあった法久寺に祀られていましたが、寺院が廃寺になってしまったため現在地に移されました。現在は地域の方の集会場としても利用されています。
矢崎遺跡
矢崎遺跡は、戸倉本城山の北側に広がる6万平方メートルの広大な遺跡です。1930年(昭和5年)に発見されて以来、多くの研究者がこの遺跡を調査し、県都部を代表する弥生時代の集落跡であることが分かりました。集落からは土器や石斧・銅鍬(どうすき)などたくさんの遺物が発見され、最も古い土器は縄文時代末期のものです。
清水町の
一押しグルメ
きれいな水に恵まれた清水町には、おいしい食べ物も豊富です。この項では、清水町で味わえる一押しグルメをご紹介しましょう。
岩崎米穀 しゃり工房
しゃり工房は、岩崎米穀というお米屋さんが経営するおにぎりを中心としたお弁当屋さんです。おむすびは90円、お弁当は400円から販売されています。
おむすびはシンプルな塩むすびからイクラや味噌カツといった豪華な具まで、種類が豊富です。気候が良い時期は、おにぎりをテイクアウトして見晴らしの良い場所で食べる方もたくさんいます。
アクセス情報
住所:静岡県駿東郡清水町新宿55
電話番号:055-983-2800
営業時間:6~14時
定休日:無休
駐車場:あり
交通案内:伊豆箱根登山鉄道三島広小路駅より、徒歩20分ほど
公式サイト:http://www.iwabei.co.jp/shari/
桐家
桐家(きりや)は、五穀米や地元で採れた野菜をふんだんに使った自然食のお店です。自然食というと精進料理のようで物足りないというイメージがありますが、桐家の定食はボリュームたっぷりなので十分に満足できます。
フライものがついた定食が一押しで、ランチタイムは飲み物とのセットがお得です。21時まで営業しているので、夕飯にも利用できます。
アクセス情報
住所:静岡県駿東郡清水町玉川81-20
電話番号:055-976-1689
営業時間:11時15分~15時・18時~21時
定休日:火曜日の夜
駐車場:あり
交通案内:伊豆箱根鉄道駿豆線三島広小路駅より徒歩15分ほど
ひょうたん寿司
ひょうたん寿司は、安くておいしいお寿司屋さんとして地元の方に評判のお店です。カウンターで2貫ずつ注文できる本格的なお店で、高級感もあります。特上握りでも二千円未満ですので、家族連れでも安心です。夜は21時まで営業しているので、観光帰りにふらりと立ち寄ることもできます。
アクセス情報
住所:静岡県駿東郡清水町卸団地203
電話番号:055-975-3721
営業時間:11時30分~15時・16~21時
定休日:木曜日
駐車場:なし
交通案内:伊豆箱根鉄道駿豆線三島田町駅から徒歩20分
ところてんの伊豆河童
伊豆河童は、柿田川の水を利用したおいしいかんてんやところてんを製造・販売しているお店です。工場と甘味処が隣接している店舗で、工場で出来たてのところてんやあんみつを味わえます。ちょっと小腹がすいたときに食べるのはもちろんのこと、お土産にもおすすめです。通販にも力を入れており、気に入った場合は気軽に家から注文もできます。
アクセス情報
住所:静岡県駿東郡清水町伏見184-3
電話番号:055-975-0098
営業時間:9~17時
定休日:日曜・祭日
駐車場:あり
交通案内:JR三島駅より柿田川経由沼津行バス乗車、柿田川公園下車、徒歩15分
公式サイト:http://www.tokoroten.co.jp/
清水町
まとめ
いかがでしたか? 今回は、清水町の観光情報をご紹介しました。清水町は静岡県の中でも清水に恵まれたエリアです。1日かけて史跡や湧水群・柿田川沿いなどを散策すれば、心も体も元気になれます。お土産には湧水を利用した豆腐やところてんなどがおすすめです。
清水町
アクセス情報
住所:静岡県駿東郡清水町