法起寺
?評価について

奈良 法起寺
飛鳥時代建立の塔が残る
世界遺産登録の寺院

法起寺(ほうきじ)は、奈良県の斑鳩町、法隆寺より1.5kmほど東北に位置する聖徳宗の寺院です。元々は皇族の住まいで、聖徳太子が法華経の講説を行ったという伝説が残っています。聖徳太子の死後、息子の山背大兄王(やましろのおおえのおう)によって寺院に改められました。飛鳥時代に建立された三重塔が現存しており、世界遺産にも登録されています。

この記事では、法起寺の魅力や見どころ・アクセス方法などをご紹介しましょう。

飛鳥時代から続く
法起寺の歴史

遠景(法起寺)

法起寺遠景

聖徳太子の息子である山城大兄王(やましろのおおえのおう)が、皇族の住まいであった岡本宮を寺院に改めたと伝えられています。岡本宮は聖徳太子が法華経の講説を行った場所で、太子は亡くなる前に岡本宮を寺院に改築するようにと遺言を残しました。聖徳太子の命で造られたことから、聖徳太子建立七大寺にも数えられています。

実際に寺院が完成したのは700年代のことです。建立当初は、宮の名前にちなんで岡本寺という名前でした。ちなみに、法起寺は岡本寺の他にも、岡本尼寺・池後寺(いけじりでら)などの別名があります。

法起寺は奈良時代までは大いに栄えましたが、その後衰退していきました。鎌倉時代に講堂や三重塔が修復されたものの、室町時代になると再び荒廃し、江戸時代初期の頃には三重塔以外の建物が失われています。

その後、1637年頃から真政圓忍(しんせいえんにん)らによって寺院の復興が始まりました。1863年までかかって現在の伽藍が整えられたと伝えられています。復興した法起寺はその後は荒廃することもさびれることもありませんでした。

1960年(昭和35年)には境内の発掘調査が行われます。その結果、金堂(本堂)が西、塔が東に建つ独特の形式であることが分かりました。今ではこのような並びの伽藍配置は、法起寺式伽藍配置と呼ばれています。

1993年、法起寺は法隆寺と共に世界遺産に登録されました。この際、寺院の呼び名が「ほっきじ」から「ほうきじ」へと改められ、現在に至ります。

歴史ある
法起寺の魅力

法起寺は日本最古の三重塔を有する歴史ある寺院です。この項では、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。

静かな境内

境内(法起寺)

静かな境内

法起寺は法隆寺からやや離れた場所にあり、観光客も少なく休日でもゆっくりと境内を拝観できます。京都の有名な寺院と違って整えられた庭などはありませんが、樹木が豊富で季節ごとに異なる美しさを楽しむことができる場所です。

収蔵庫には平安時代に作られた十一面観音像と江戸時代に作られた木製の仏像が安置されています。異なる時代に作られた仏像をじっくりと見学できるので、仏教美術が好きな方にもおすすめです。

秋のコスモス

コスモス(法起寺)

法起寺周辺に咲くコスモス

法起寺周辺では、休耕田を利用してコスモスの栽培が行われています。毎年10月中旬頃になると、赤やピンク色のコスモスが見事です。法起寺の最寄り駅である法隆寺駅前にはレンタサイクル店もあり、コスモス畑沿いの道を自転車で走ることができます。法起寺の三重塔とコスモスの組み合わせもすてきです。

法起寺境内の
見どころ

法起寺の境内には日本最古の三重塔や講堂などがあります。この項では、境内にある建物の見どころをご紹介しましょう。

西門

西門(法起寺)

西門

西門は、法起寺の玄関口となっている門です。元々は通用口として使われていた門だったため、こじんまりとしています。門の周囲は樹木や草花が植えられており緑豊かです。

聖天堂

聖天堂(法起寺)

聖天堂

聖天堂は、旧金堂跡地に1863年に建立された方形造の建物です。かつては歓喜天(かんぎてん)を安置していました。現在、仏像は収蔵庫に移されており、中を見学することはできません。外観のみの見学になります。

講堂

講堂(法起寺)

講堂

講堂は観音堂とも呼ばれており、法起寺では本堂にあたる建物です。独特な屋根の形は寄棟錣葺(よせぎしころぶき)といわれるもので、法隆寺所蔵の玉虫厨子(たまむしのずし)や京都御所の紫宸殿と同様のものとなっています。

かつては、この場所に本尊の十一面観音像が祀られていました。現在、仏像は収納庫に移され、内部を見学することはできません。

三重塔

三重塔(法起寺)

三重塔

法起寺の三重塔は日本最古にして最大の三重塔として、国宝に指定されています。建立は706年で、法隆寺五重塔にならって造られたものです。後の時代の調査で、三重塔の大きさが五重塔の初層・三層・五層とほぼ同じことが分かりました。

三重塔は江戸時代の大修理で大きく改造されます。1970年~1975年にかけて行われた解体修理では、建材に残っていた痕跡を元に建立当時の姿にほぼ復元されました。

塔の内部に入ることはできませんが、扉が解放されているときは内部に設置された仏壇を外から見学できます。この仏壇は江戸時代に設置されたもので、それ以前にどのようなものが置かれていたかは、今のところ分かっていません。

収蔵庫

収蔵庫(法起寺)

収蔵庫

収蔵庫には、本尊である十一面観音菩薩像をはじめ、江戸時代に作られた木製の仏像や法起寺を再興した真政圓忍(しんせいえんにん)の像が安置されています。異なる時代に作られた仏像を一度に見ることができるのもポイントです。

南大門

南大門(法起寺)

南大門

南大門は、法起寺の正門で、江戸時代初期に造られたものと伝わっています。閉ざされており、くぐることはできません。法起寺の外から南大門を見学すると三重塔との組み合わせが楽しめます。

法起寺
アクセス情報

住所:奈良県生駒郡斑鳩町大字岡本1873番地
電話番号:0745-75-5559
拝観時間:8時30分~17時(11月上旬~2月下旬までは16時30分閉門)
拝観料:300円
駐車場:あり
交通案内:JR法隆寺駅より法隆寺行バス乗車、法起寺口下車、徒歩すぐ
公式サイトhttp://www.horyuji.or.jp/hokiji.htm

法起寺

ページへ

そのカテゴリーで訪れる価値のある場所
遠回りしてでも訪れる価値のある場所
そのために旅行する価値のある場所