正伝永源院(しょうでんえいげんいん)は建仁寺境内にある塔頭寺院の一つで、織田信長の弟である織田有楽斎が再興して茶の湯三昧の日々を送っていた寺院として知られています。室町時代より細川家に庇護され、2013年(平成25年)には、元内閣総理大臣・細川護熙氏が自ら描いた襖絵を奉納しました。普段は非公開ですが、春と秋に庭園の特別拝観が行われます。
この記事では、正伝永源院の魅力や見どころをご紹介しましょう。
細川家に守られた
寺院の歴史
正伝永源院は、正伝院と永源庵という二つの寺院が統合されたものです。正伝院は鎌倉時代半ば、永源庵は室町時代初期に建立されました。永源庵の開基である無涯仁浩禅師が備後守護だった細川頼有と門前で問答し、彼を帰依させたという話が伝わっています。これ以後、永源庵は八代にわたって細川家の菩提寺になりました。1372年、永源庵は建仁寺の塔頭寺院になります。
正伝院は戦国時代になると荒廃してしまいますが、1618年に織田信長の弟である織田有楽斎によって再興されました。千利休の弟子であった有楽斎は、正伝院に隠居所と茶室を建てて余生を送ったと伝えられています。有楽斎が亡くなると、隠居所は正伝院に寄贈されました。
明治時代になると廃仏毀釈が起こり、その時に住職がいなかった永源庵はお堂だけを残して他の建物が取り壊されてしまいます。正伝院は建物が取り壊されて永源庵の敷地に移されました。この時に永源庵の名前は消えてしまう予定でしたが、永源庵を庇護してきた細川侯爵家の働きによって正伝永源院という名前になったと伝えられています。1962年(昭和37年)に、正伝院の旧跡に残されたままになっていた織田有楽斎とその夫人や娘・孫の墓が現在の正伝永源院の敷地内に移されました。
正伝永源院の
見どころ
正伝永源院は年に二回、庭と寺宝が特別公開されます。ここでは、正伝永源院の魅力や見どころをご紹介しましょう。
美しい庭園を見学する
正伝永源院の庭園はツツジと紅葉が見事なことで有名です。春の公開時には色とりどりのツツジと枝垂れ桜、秋の公開時には紅葉がそれぞれ目を楽しませてくれます。京都には名勝といわれる庭園がたくさんありますが、それらと比べても美しさは勝るとも劣りません。隠れた名所ですから、ツツジや紅葉が見ごろを迎えても比較的ゆっくりと観賞できます。
寺宝を見学する
特別公開の期間中は庭と共に寺宝も公開されます。境内に復元された有楽斎が建てた国宝指定の茶室、如庵(じょあん)や、細川護熙氏が自ら描いて奉納した襖絵など、見どころが豊富です。特別公開中はお茶席が用意され、美しい庭を眺めながら抹茶とお菓子を楽しめます。この期間中は限定の御朱印や御朱印帳が販売されるので、ぜひ購入してみてください。
正伝永源院
アクセス情報
住所:京都府京都市東山区大和大路通四条下ル四丁目小松町586
電話番号:075-531-0200
拝観時間(特別公開):10~17時
拝観料:大人500円 中高生300円
駐車場:なし
交通案内:阪急河原町駅より徒歩7分