杉本寺
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鎌倉 杉本寺
三体の十一面観音像が本尊の
鎌倉最古の寺院

金沢街道沿いにある杉本寺は、鎌倉幕府が開かれる約500年前、平安時代初期に造営された天台宗の寺院です。鎌倉最古の寺院として知られており、三体の十一面観音像を本尊としています。苔むした階段や南北朝時代の戦いの死者を弔った五輪塔群など、見どころも豊富です。

今回は、杉本寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。

行基が建立した
寺院の歴史

杉本寺は、734年、聖武天皇の后であった光明皇后の御願により行基によって建立されました。1189年に境内で火災が発生した際、本尊である3体の十一面観音像が自ら庭内の大杉の下に逃げたという話が伝わっています。このときから本尊は杉の本の観音と呼ばれるようになりました。

1191年に源頼朝が寺院を再興し、立像7尺の十一面観音像を寄進したと伝えられています。その後杉本寺は鎌倉幕府滅亡の際に戦場にはなったものの、目立った荒廃や廃寺の危機に陥ることはありませんでした。現在まで多くの人々の信仰を集めています。

鎌倉最古の
寺院の魅力

鎌倉最古の寺院である杉本寺は今でも参拝者が絶えることはありません。ここでは、そんな寺院の魅力をご紹介します。

建物を囲む豊かな自然

杉本寺は大蔵山の中腹にあり、山に抱かれるように建っています。周囲は樹木が豊富で秋になると紅葉が見事です。茅葺屋根の本堂と紅葉の組み合わせは美しく、写真撮影に訪れる方もたくさんいます。この他、本堂前に植わっている寒緋桜は見事な紅色の花をつけ、美しいと評判です。

平安時代に作られた仏像

杉本寺の本尊である十一面観音像は、いずれも鎌倉時代以前に作られました。平安時代作の仏像は現在でもたくさん残っていますが、行基・慈恵・恵心僧都という高名な僧が作った3体の仏像が同じ場所に祀られ、自由に拝観できる場所はごくわずかです。この他、境内では運慶作と伝わる仁王像や素朴な石仏の地蔵尊など、いろいろな時代に作られた仏像を見ることができます。

杉本寺の
見どころ

自然や仏像以外にも杉本寺は見どころ豊富です。ここでは、その中でも一押しをご紹介しましょう。

江戸時代に造られた仁王門

仁王門(杉本寺)

仁王門の仁王像

本堂と参道の間に位置する仁王門は、江戸時代に造られました。茅葺屋根を持つ八脚門です。内部に納められている仁王像は、運慶作と伝えられています。仁王像以外は彩色がほとんどありませんが、長い風雪に耐えてきた歴史の風格が感じられる場所です。

お詣りすれば蔵が建つ大蔵弁財天堂

大蔵弁財天堂(杉本寺)

大蔵弁財天堂

鐘楼堂の前に建つ大蔵弁財天堂はこぢんまりとした社で、うっかりすると見逃しそうになります。財産・利得・芸能のご利益がある弁財天はいろいろなところに祀られていますが、杉本寺の弁財天は特に大きなご利益があると評判です。この弁財天に詣でると、蔵が建つほどの富を得ることができると伝えられています。

すり減った苔の階段

苔の階段(杉本寺)

苔の階段

仁王門を抜けたところにある階段です。苔にびっしりと覆われた階段は、人が上り下りする部分がすり減ってくぼんでいます。長い時間をかけて大勢の参拝者が利用してきた証であり、鎌倉最古の寺の象徴です。現在は立ち入ることはできません。階段を見上げるような角度で写真を撮るのがおすすめです。

緑に囲まれた鐘楼堂

鐘楼とは鐘を突く場所のことです。五輪塔群のすぐ側にあり、周囲は木々に囲まれています。春になると側の藤棚では美しい藤の花が咲き、さながら薄紫の小さな滝のようです。

戦争の軌跡 五輪塔群

五輪塔群(杉本寺)

五輪塔群

かつて大倉山には杉本城という城がありました。鎌倉幕府が滅亡する際、幕府軍である足利方がこの城にこもって戦いましたが、多くの死者を出して敗れたと伝えられています。五輪塔群はこの時の死者を弔うために造られました。鎌倉各地に残る戦いの軌跡の一つです。

三体の本尊が安置されている本堂

本堂(杉本寺)

本堂

現在の本堂は1678年に建立されたものです。寄棟造で茅葺屋根を持つ密教仏堂になります。境内に祀られているのはご本尊である三体の十一面観音像の他、源頼朝寄進の十一面観音像・2体の地蔵菩薩・宅間法眼作の毘沙門天像など計11体です。

ご本尊のうち一体だけ顔が覆われている観音像があります。これは行基作の観音像です。その昔仏を信じる気持ちがないまま寺院の前を馬に乗って通った人が落馬するという事故が続いたため、大覚禅師という僧侶が自らの袈裟で仏像の顔を覆ったと伝えられています。

熊野神を祀る権現堂

権現堂(杉本寺)

権現堂

権現堂には白山・熊野三山から迎えられた熊野神が祀られています。権現像がありますが、作者や成立年代は不明です。明治以前の神仏習合の名残とも伝えられています。

杉本氏の守り本尊がある地蔵堂

地蔵尊(杉本寺)

地蔵尊

権現堂と鐘楼堂の間には、素朴な石仏を祀る地蔵堂があります。お地蔵さまは7体祀られており、一番風化の激しいものは杉本城を治めていた杉本義宗の守り本尊とも伝えられていますが、詳細は不明です。お地蔵さまはおそろいの赤い前かけをつけており、その前には季節の花がいつでも供えられています。

杉本寺
アクセス情報

住所:神奈川県鎌倉市二階堂903
電話番号:0467-22-3463
拝観時間:8~16時30分
拝観料:大人200円 子ども100円
駐車場:なし
交通案内:JR横須賀線鎌倉駅から金沢八景駅バス乗車、杉本観音下車、徒歩1分

杉本寺

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