源氏山と鶴岡八幡宮の中間地点付近にある壽福寺は、臨済宗建長寺派の寺院です。源頼朝の妻・北条政子によって頼朝の菩提を弔うために創建されました。鎌倉五山第三位の寺院であり、北条政子や鎌倉幕府三代将軍・源実朝の墓所があります。
今回は、壽福寺の歴史や見どころをご紹介しましょう。
源氏に縁の深い
寺院の歴史
壽福寺は1200年、源頼朝の父・義家の居館跡に北条政子によって創建されました。開山は臨済宗の開祖である栄西です。創建当時は7つのお堂を持ち、14の塔頭寺院を有する大寺院でした。蘭渓道隆など多くの名僧が入寺し、鎌倉の禅文化の中心地になっていたと伝えられています。
その後1247年と1258年に火災に遭遇し、伽藍のすべてが焼け落ちてしまいました。南北朝時代に再興され、かつてほどの勢いは取り戻せなかったものの、荒廃したり廃寺になることなく現在に至ります。
自然豊かな
寺院の魅力
壽福寺には特別拝観の時を除いて、中門より奥には入れません。自由に立ち入れるのは総門と参道までです。長い歴史を持つ寺院の参道の両側には立派な樹木がたくさん植えられていて、ちょっとした森林浴気分を味わえます。
中門の周りにあるのは梅の木です。毎年2月下旬から3月中旬まで花や香りが楽しめます。観光スポットを巡っている途中に立ち寄ってみるのもいいですね。
由緒ある
寺院の見どころ
壽福寺は通常は見学できる場所が限られています。ここでは特別拝観の時に見学できる場所を含めて、見どころをご紹介しましょう。
ひっそりと佇む総門
壽福寺の総門はこぢんまりとしています。周りは背の高い樹木に囲まれていて、季節によっては緑の中に埋もれているように見える門です。
鎌倉随一の参道
総門から中門に続く参道は、桂敷きという技法を使って石畳が敷かれています。この参道は鎌倉随一といわれていて、石畳の美しさもさることながら参道の両脇に生えている苔も見事です。苔の一番美しい季節は初夏ですが、秋になると紅葉とのコントラストが楽しめます。
江戸時代に作られた仏殿
本尊の釈迦如来像を祀る仏殿は、江戸時代中期から後期にかけて建造されました。どっしりとした瓦葺きの屋根が特徴的な建物で、特別拝観の時以外は非公開です。
本尊の釈迦如来坐像は鎌倉時代の作で、脱活乾漆造という珍しい技法を使っており神奈川県の重要文化財に指定されています。この他、脇侍の文殊菩薩像と普賢菩薩像・鶴岡八幡宮から移されたという仁王像などが祀られていて、こちらも特別拝観の時だけ見学可能です。
北条政子・源実朝の墓
壽福時の裏側にあるやぐらには、北条政子と源実朝の墓所があります。この2人は親子ですが、実朝の方が早く亡くなってしまいました。その時の政子の悲しみは大変なもだったと伝えられています。現在、2人の墓所は隣りあっていて供養の花が絶えることはありません。源実朝の墓所はかつて牡丹唐草の文様で装飾されていたことから、唐草やぐら・えかきやぐらという別名があります。
壽福寺
アクセス情報
住所:神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-17-7
電話番号:0467-22-6607
拝観料:境内自由
駐車場:なし
交通案内:JR横須賀線鎌倉駅西口より徒歩10分