慈光院
?評価について

奈良 慈光院
茶道の家元が建立した
精進料理も楽しめる寺院

奈良県大和郡山市にある慈光院(じこういん)は、江戸時代初期に建立された臨済宗大徳寺派の寺院です。大和小泉藩二代目藩主、片桐貞昌(かたぎりさだまさ)が江戸時代初期に建立しました。敷地全体が一つの茶席として造られた珍しい寺院で、奥座敷では精進料理を味わうこともできます。

この記事では、慈光院の歴史や見どころ・アクセス方法などをご紹介しましょう。

01. 江戸時代から続く
慈光院の歴史

参道(慈光院)

参道

慈光院は1603年に大和小泉藩二代目藩主、片桐貞昌(かたぎりさだまさ)が父、貞隆(さだたか)の菩提を弔うために建立した寺院です。寺院を建立するにあたり、京都の大徳寺から185代目の住職である玉舟和尚(ぎょくしゅうおしょう)を初代住職として招きました。

片桐貞昌は、戦国武将で千利休の長男、道安の弟子でもある桑山宗仙(くわやまそうせん)から茶の湯を習い、やがて片桐石州の名で石州流という流派を築いて開祖となります。貞昌は、四代将軍徳川家綱の茶道指南役も務めました。

慈光院の境内にある建物は、茶人である片桐石州の美意識が結集した設計で、茶席に必要な施設で寺院が構成されています。そのため、現在まで寺院にある建物の配置は変わることはなく残され続けてきました。300年前に活躍した茶人の美意識を現代に伝えている貴重な場所です。

02. 風雅な
慈光院の魅力

慈光院の境内は、江戸時代初期に活躍した文化人の趣向が隅々にまで凝らされています。この項では、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。

境内の自然と建物の組み合わせ

自然に囲まれた本堂(慈光院)

自然に囲まれた本堂

慈光院の境内は、訪れた人の目を楽しませるためにさまざまな工夫が凝らされています。その一つが自然と建物の組み合わせです。通常、寺院の屋根は瓦葺であることが一般的ですが、慈光院は茅葺と瓦葺が組み合わさった屋根となっており周囲の自然としっくりなじみます。

また、境内の中で雰囲気の一変が楽しめるのも魅力です。一之門から茨木門までの参道が鬱蒼とした木立に囲まれているのに対し、茨木城楼門の先は明るく開放感に満ちた空間が広がっています。

奥座敷で味わえる精進料理

慈光院は、事前に予約をすれば奥座敷で精進料理が味わえます。取り立てて珍しい食材は使われていませんが、丁寧に作られた料理は滋味深いものです。中でも、玉ねぎを丸ごと3~4時間煮込んだ玉ねぎの丸煮は慈光院の名物として広く知られています。

また、慈光院では小泉名物の石州素麺を販売しており、お土産にもおすすめです。この素麺は油を使っていないのが特徴で、江戸時代初期からおいしい素麺として有名でした。

03. 慈光院境内の
見どころ

片桐貞昌の美意識が結集した慈光院の境内には見どころが豊富です。この項では、特におすすめの場所をご紹介しましょう。

一之門

一之門(慈光院)

一之門

一之門は、慈光院の玄関口です。まるで茶室の入り口のような小さな門で、石畳の参道が奥へと続いているのが入り口から見えます。白壁と屋根瓦との色の対比も美しいものです。

茨木城楼門

茨木城楼門(慈光院)

茨木城楼門

茨木城楼門は、もともと摂津茨木(大阪府茨木市)にあった茨木城の門でした。徳川家康の一国一城令により廃城になった際、貞昌が門だけをもらい受け、茅葺に葺き替えて慈光院の山門としました。

一見すると二階建てのように見えますが、上の部分に登ることはできません。作家の志賀直哉に愛されていたことでも知られ、多くの写真が残されています。

書院

書院(慈光院)

書院

書院は慈光院の中心的な建物です。まるで農家のような外観が特徴で、庇以外は茅葺で屋根が葺かれています。上の間・中の間・下の間・三畳逆勝手の閑茶室(かんちゃしつ)からなり、神威や天井が低く造られているのが特徴です。これは、座ったときに最も安らぎ、くつろげるように設計されました。

書院からは庭や奈良盆地が臨め、その美しさは言葉では言い表せないほどです。現在、建物は重要文化財に指定されています。

庭園

庭園(慈光院)

庭園

慈光院の庭園は、独立したものではなく、境内全体が一つの庭として設計されています。慈光院は禅宗の寺院ですが、庭に石はほとんど使われておらず、サツキを中心とした樹木で構成された独特の造りです。毎年5月上旬になると、サツキが一斉に花を咲かせて人々の目を楽しませます。名勝及び国の史跡にも指定されているので、時間をかけて堪能するのがおすすめです。

高林庵

高林庵(慈光院)

高林庵

高林庵は、慈光院の茶室です。書院の閑茶室が千利休の長男である道安好みの茶室であるのに対し、高林庵は貞昌が好んだ二畳台目(にじょうだいもく)という造りになっています。

二畳台目は丸畳二畳と台目畳一畳から構成される小さな茶室です。隣には二畳の控えの間が造られているので、区切りの襖を外せば四畳台目の茶室としても使えます。

重要文化財に指定されており、作者・形状・制作年代がすべてはっきりしている茶室としては現存最古のものです。

観音堂

観音堂(慈光院)

観音堂

観音堂は、元々片桐貞昌が母の菩提寺として建立した善隣寺に建てられていました。中に祀られているのは、長谷寺の本尊と同じ木を使って作られた十一面観音像です。片桐貞昌の息子、貞房に仕えた森次郎右衛門という家臣が熱心に信仰していたもので、寺院が建立された時に堂を建立して安置しました。

明治時代、廃仏毀釈の影響を受けて善隣寺が廃寺になったことから観音堂だけがここに移されて今に至ります。観音像は秘仏となっており現在は非公開です。

本堂

本堂(慈光院)

本堂

慈光院はもともと書院が本堂の代わりとして使われていました。その後、寺院の初代住職である玉舟和尚(ぎょくしゅうおしょう)と貞昌の座像が移されてきたことで、仮のお堂が造られます。現在の本堂は、1984年(昭和59年)に造られた境内の中で最も新しい建物です。

中に安置されている本尊、釈迦如来座像は平安時代中期の作で、慈光院が建立される前にこの地にあった惣善寺という寺院の本尊だったと伝わっています。貞昌が台座や光背・指先を修理し、慈光院の本尊としました。両脇には、玉舟和尚(ぎょくしゅうおしょう)と貞昌の座像が祀られています。

本堂の天井には入江正巳(いりえまさみ)画伯による墨絵の龍が描かれており、一見の価値ありです。

04. 慈光院
アクセス情報

住所:奈良県大和郡山市小泉町865
電話番号:0743-53-3004
拝観時間:9~17時
拝観料:小学生以上1,000円
駐車場:あり
交通案内:近鉄橿原線大和郡山駅下車、法隆寺行バス乗車、片桐西小学校前下車、徒歩数分
公式サイトhttp://www1.kcn.ne.jp/~jikoin/

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