高台寺
?評価について

京都 高台寺
枝垂桜と紅葉が見事に映える
蒔絵の寺

高台寺は東山区にある臨済宗建仁寺派の寺院で、夫である豊臣秀吉の菩提を弔うために北政所(高台院)が建立しました。そのため、寺号には北政所の院号(出家した後に名乗る名前)がそのままつけられています。

境内にある北政所の墓所、霊屋(みたまや)は、高台寺蒔絵と呼ばれる桃山時代の蒔絵がふんだんに使われていることで有名です。北政所が所有していた蒔絵の調度品が多数残されていることから、蒔絵の寺という別名もあります。

この記事では、高台寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。

秀吉の妻が開いた
高台寺の歴史

境内(高台寺)

境内

高台寺は、1606年に豊臣秀吉の正室である北政所の発願によって開山しました。北政所は豊臣秀吉が亡くなった直後から菩提を弔うための寺院建立を望んでおり、その願いを聞いた徳川家康が各国大名に普請(建築)を命じたと伝わっています。

高台寺は創建当時、あちこちの寺や城から建物を移築してきました。仏堂は北政所の母親が眠る康徳寺の堂を移築・改造したもので、方丈・茶室などは伏見城から移築されています。

開山当初、高台寺は曹洞宗の寺院でしたが、1624年に建仁寺から三江紹益を中興開山に招きました。これにより、高台寺は臨済宗に改宗します。

江戸時代になると寺院は幾度かの火災に見舞われました。現在、創建当時から残っている建物は、茶室の傘亭・時雨亭や三江紹益を祀る開山堂・秀吉と北政所を祀る霊屋(おたまや)などです。

幕末になると、高台寺は新選組から離脱した御陵衛士(ごりょうえじ)の駐屯地になりました。その後、戦火に見舞われることはなく現在にいたります。

壮麗な寺院、
高台寺の魅力

高台寺は四季折々に違った美しさがある壮麗な寺院です。ここでは、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。

四季折々の自然

高台寺の境内には桜やモミジなどたくさんの樹木が植えられています。春には見事な枝垂桜が楽しめ、秋には紅葉が見事です。春と秋には夜間特別拝観も開催され、昼間とは違う幻想的な雰囲気の中で桜や紅葉を見学できます。

夏の境内は深緑が鮮やかです。冬は花こそありませんが、葉を落とした木々の枯れた美しさを見ることができます。

美しい蒔絵

高台寺には、蒔絵の寺という別名があります。蒔絵とは、漆器の表面に金粉や銀粉で絵模様をつける日本独特の工芸美術品です。特に、境内の霊(みたま)屋には建物内部のいたるところに蒔絵が施されています。高台寺が所有している蒔絵の調度品は寺院のすぐ近くにある高台寺掌美術館に展示されているので、併せて見学するのもおすすめです。

北政所が暮らした
境内の見どころ

高台寺は秀吉の菩提を弔っていただけでなく、北政所が暮らしていた場所でもあります。ここでは、境内の見どころをご紹介しましょう。

白壁が美しい庫裏

庫裏(高台寺)

庫裏

高台寺の庫裏は拝観受け付け場所のすぐ隣にあります。内部は非公開ですが、白壁と木組みのコントラストが美しい建物です。玄関からわずかに臨める内部には、夢と書かれた衝立が見えます。

境内の中心 方丈

方丈とは住職が生活する場所のことです。高台寺では仏殿が焼失してしまった後、方丈が境内の中心になりました。

創建当時の方丈は伏見城の建物を移築した壮麗な物だったと伝えられています。現在の方丈は、1912年(大正元年)に再建された建物です。方丈から臨める方丈前庭では、夜間拝観の際に3Dプロジェクションマッピングが行われます。

方丈前にある勅使門

勅使門(高台寺)

勅使門

勅使門は天皇の使者(勅使)だけが通ることができる門です。高台寺の勅使門は方丈前庭の奥に位置し、庭を横断して方丈に行くことができる位置に建っています。1912年(大正元年)に方丈と共に再建されました。

開山堂と繋がっている書院

高台寺の書院は方丈のすぐ後ろに位置しています。開山堂と渡り廊下で繋がっている珍しい造りです。

三江紹益を祀る開山堂

開山堂(高台寺)

開山堂

1605年に建築された開山堂は、元々北政所の持仏堂でした。創建当時から残る建物で、内部には三江紹益の木像の他、北政所の兄である木下家定と妻、雲照院の像・高台寺の普請に尽力した堀直政の木像が祀られています。

開山堂の天井は、秀吉が使っていた御座舟と北政所が使っていた御所車の天井を用いて作られました。

秀吉を偲んだ観月台

観月台(高台寺)

観月台

書院と開山堂を結ぶ渡り廊下のほぼ中央にある小規模な建造物です。外から見ないと廊下の一部と区別がつきにくいですが、重要文化財に指定されています。北政所はここで月を眺めながら、夫の豊臣秀吉を偲びました。池の上にかかっているので、池の中を臨むこともできます。

龍の背に似た臥龍廊

臥龍廊(高台寺)

臥龍廊

開山堂と霊屋を結ぶ渡り廊下を、臥龍廊(がりょうろう)といいます。龍が伏しているように見えるので、この名がつきました。霊屋へは外から庭を周りこんで行くこともできます。

北政所の墓所 霊屋

霊屋(高台寺)

霊屋

境内の一番高い場所に建つ霊屋(みたまや)は、北政所の墓所です。1605年に建てられ、重要文化財に指定されています。内部には北政所と豊臣秀吉の木像、大随求菩薩(だいずいぐぼさつ)像が祀られ、各所に施された高台寺蒔絵が見事です。大随求菩薩(だいずいぐぼさつ)像は中央の厨子内に祀られていますが、通常は扉が閉じられており、その姿を見ることはできません。

北政所は、自分の姿を写した像の約2m下に埋葬されています。

伏見城の城門を移築した表門

高台寺の表門は、伏見城の城門を移築したもので需要文化財に指定されています。現在はくぐることはできませんが、外からの見学は可能です。

小掘遠州作の名庭園

高台寺の庭園は小堀遠州作といわれ、国の名勝と史跡に認定されています。枝垂桜とハギが特に美しく、桜はJR東海の「そうだ 京都、行こう」のポスターにも使われました。草花のみならず石組も見事で、桃山時代を代表する庭園といわれています。ゆっくりと時間をかけて見学するのがおすすめです。

境内に四つある茶室

高台寺の境内には茶室が四つあります。二つは創建当時からのもので重要文化財に指定されており、残り二つは明治時代に移築されたものです。

01. 伏見城から移築された傘亭(安閑窟)

傘亭(高台寺)

傘亭

伏見城から移築され重要文化財に指定されている傘亭は、千利休作の茶室と伝わっています。宝形造の茅葺を持つ素朴な建物で、内部の天井が竹で組まれており、それが唐傘に似ていることが名前の由来です。

02. 二階建ての茶室 時雨亭

時雨亭(高台寺)

時雨亭

傘亭と同じく、時雨亭も元々は伏見城にありました。高台寺の造営と共に移築され、現在は重要文化財に指定されています。

珍しい二階建ての茶室で、二階南側の上段の間は柱間に壁や建具を設けない吹き放しです。傘亭とは屋根付きの土間廊下で結ばれていますが、これは移築後に後付けされたものになります。

03. 明治時代に移築された遺芳庵

遺芳庵(高台寺)

遺芳庵

遺芳庵は田舎家風茶室で、灰屋紹益が夫人の吉野太夫を偲んで建てたものと伝えられています。吉野窓と呼ばれる壁いっぱいに開けられた丸窓が特徴です。1908年(明治41年)に境内に移築されました。

04. 小さな茶室 鬼瓦席

わずか4畳半の茶室です。1908年(明治41年)遺芳庵と同じ場所から境内に移築されました。灰屋紹益と吉野太夫の2人を偲び、造られた茶室と伝わっています。

高台寺の
楽しみ方

高台寺は、建物や庭を見学する以外にも楽しみ方があります。ここでは、その一例をご紹介しましょう。

グループで座禅を体験する

高台寺では、10名以上で申し込めば座禅を体験することができます。座り方から呼吸の仕方まで教えてくれるので、全くの初心者でも大丈夫です。予約の方法は公式サイトに記載されてます。

茶道体験をする

高台寺では、定期的に茶会が開かれています。それとは別に予約制で初心者向けの茶道体験も行っていて、古刹でお茶が楽しめると好評です。10名以上の場合は立礼(いすに座って行う茶席)になります。ここで茶道を体験した後、茶会に参加してみるのもおすすめです。

春と秋のライトアップ

高台寺では、毎年春と秋にライトアップと夜間拝観を行っています。夜桜や夜の紅葉は、昼間とはまた違った趣のある美しさです。特に紅葉の時期は、夜になると池にきれいに映った紅葉の写真が撮れます。夜は寒いので暖かい格好をして訪れるといいですね。

高台寺の
一押しイベント

高台寺は1年を通して特別拝観の他、いろいろなイベントを行っています。ここでは、その中でもおすすめのものをご紹介しましょう。

高台寺百鬼夜行展

毎年夏に開催されるイベントで、高台寺所有の百鬼夜行絵巻や幽霊図が展示されます。普段は非公開の場所が特別公開されることもあり、一見の価値ありです。

3Dプロジェクションマッピング

高台寺では、春・夏・秋に3Dプロジェクションマッピングを行なっています。会場は方丈前庭です。季節ごとにテーマが異なり、約5分程度の映像物語が楽しめます。伝統的な建築物と最新技術の融合を楽しめる画期的なイベントです。

高台寺
まとめ

いかがでしたか? 今回は高台寺の見どころや魅力についてご紹介しました。高台寺は東山区の寺院の中でも、イベントがたくさん開催される寺院です。それぞれ趣向が凝らされていますので、どのイベントに参加しても楽しめます。桜と紅葉の季節は混み合いますが、それ以外の時期はひっそりと落ち着いている寺院です。

高台寺
アクセス情報

住所:京都府京都市東山区高台寺下河原町526番地
電話番号:075-561-9966
拝観時間:9~17時30分(受付17時まで)
ライトアップ:日没~22時まで
拝観料:大人600円 中高生250円
駐車場:あり
交通案内:京阪祇園四条駅から徒歩10分
公式サイトhttp://www.kodaiji.com

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