東京都文京区湯島にある湯島天満宮(湯島天神)は、亀戸天神社・谷保天満宮と並んで関東三大天神の一社に数えられている神社です。主祀神は学業の神様として知られる菅原道真で、毎年受験シーズンになるとたくさんの受験生が合格祈願に訪れます。境内の梅は都内屈指の美しさです。
この記事では、湯島天満宮(湯島天神)の魅力や見どころをご紹介します。
湯島天満宮の
御利益
湯島天満宮には、菅原道真や力自慢の神様、天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)などの神様が祀られています。この項では、神社のご利益をご紹介しましょう。
- 学業成就
- 諸芸上達
- 勝利祈願
- 縁結び
受験生に人気
湯島天満宮の歴史
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境内の日本庭園
湯島天満宮は、451年に雄略天皇の命令によって天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)を祀る神社として創建されたと伝えられています。菅原道真が神社に合祀されたのは、1355年のことです。神社周辺に住む住民たちの願いによって分霊されました。
江戸時代になると、湯島天満宮は徳川家から信仰されるようになります。五代将軍徳川綱吉の信仰は特に強く、将軍家お抱えの学者や文人も多数参拝に訪れ、神社は大いに栄えるようになりました。江戸時代後期になると、現代でいう宝くじのような富くじが境内で行われ、庶民の間で大変人気となります。
明治になっても人々の神社への信仰は衰えることはありませんでした。2001年(平成13年)に神社の正式な名称が湯島天満宮に変わり、現在に至っています。
歴史ある
湯島天満宮の魅力
湯島天満宮は、江戸時代から湯島の天神さんとして地元の方々に親しまれています。この項では、そんな湯島天満宮の魅力や見どころをご紹介しましょう。
境内の梅
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境内に咲く梅の花
菅原道真に縁ある花として、天神社のあらゆる場所に梅が植えられています。湯島天満宮境内の梅はその美しさでは都内屈指と言われており、泉鏡花の『婦系図(おんなけいず)』をはじめとして、数多くの文学や歌謡の題材になってきました。
毎年二月上旬から三月上旬にかけては梅まつりも開催されますので、その時期に合わせて参拝するのもおすすめです。
数々の年中行事
梅まつりの他、湯島天満宮では1年を通じていろいろな行事が行われます。その中でも特に有名なのが、毎年5月25日に行われる例大祭です。氏子になっている町内を山車やお神輿が練り歩き、奉納舞やお囃子も行われます。
毎年11月に開催されるのが菊祭りです。期間中は菊の鉢植えの他菊人形が展示され、都会の真ん中で秋を満喫できる行事として地元の方もたくさん訪れます。
湯島天満宮境内の
見どころ
湯島天満宮の中には複数の見どころがあります。この項では、その中でも観光客に人気の場所をご紹介しましょう。
銅製の表鳥居
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表鳥居
湯島天満宮の表鳥居は銅製であり、都内に現存する鋳造の鳥居の中では最も古いものです。現在は東京都の有形文化財に指定されています。
宝物殿
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宝物殿
湯島天満宮の宝物殿には、例大祭の時に使われる神輿をはじめとした神社に伝わる宝物が所蔵されています。常設展の他、定期的に天神に関する企画展も開催されていますので、神社の歴史を詳しく知りたいという方や民族文芸に興味がある方は一見の価値ありです。
社殿
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拝殿
湯島天満宮の社殿は、本殿とその手前にある拝殿が幣殿(へいでん)という建物で結ばれている権現造りです。権現造りは、日光東照宮をはじめとして江戸時代に幕府主導で建立された寺社仏閣によく見られます。
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本殿(手前)と拝殿(奥)間をつなぐのが幣殿
現在の社殿は1995年(平成7年)に建て替えられた総檜(そうひのき)造りです。屋根の三角の部分(妻)が他の権現造りで建てられた建物より大きいのが特徴で、拝殿内部には松尾敏男画伯の筆による龍の天井画が描かれています。
湯島天満宮境内の
摂社・末社
湯島天満宮の境内にはいくつかの摂社・末社があります。この項では、そのご利益などをご紹介しましょう。
摂社 戸隠神社
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戸隠神社
戸隠神社は長野県にある戸隠神社の分社です。戸隠神社は、湯島天満宮の祀神である天之手力雄命(あめのたぢからおのみこと)に関する神話が伝わっています。
その昔、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れた際、天之手力雄命が岩戸の入り口をふさいでいた大岩を持ち上げて放り投げ、天照大神を岩戸から引き出しました。飛んでいった大岩が落ちたところに建てられた神社が戸隠神社だといわれています。関東にある戸隠神社を代表する摂社です。
末社 笹塚稲荷神社
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笹塚稲荷神社
笹塚稲荷神社(ささづかいなりじんじゃ)は商売繁盛のご利益がある稲荷社として、地元の方々から信仰を集めています。社殿につり下げられている赤く長いちょうちんが印象的な神社です。
その他の
見どころ
湯島天満宮の境内には、社殿や摂社・末社以外にも見どころがあります。この項では、それらをご紹介しましょう。
男坂・女坂
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なだらかな石段の女坂
男坂と女坂は地下鉄千代田線の湯島駅から天満宮に至る参道にある坂です。江戸時代からある坂で、歌川広重の浮世絵にも描かれています。
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勾配が急な男坂
両方の坂は石段になっていますが、男坂の方が急です。毎年2月下旬頃になると、坂の周囲には白梅が咲きます。
撫で牛
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手水舎の右にある撫で牛(左にも別の撫で牛がある)
牛は天神様(菅原道真)の御使いとされており、天神社にはよく牛の像が置かれています。湯島天満宮の牛は健康にご利益がある撫で牛です。自分の体の中で不具合のあるところと同じところを触ると、不具合が回復するといわれています。
奇縁氷人石
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奇縁氷人石
奇縁氷人石(きえんひょうじんせき)は江戸時代に伝言板の役割を担っていた石です。江戸時代、神社の境内は江戸有数の盛り場でした。そのため、探したい物や人がいる場合は石の右側にその旨を書いた紙を貼り、それらを見つけた人はその旨を書いた紙を石の左側に貼って伝えたといわれています。
現在は、落し物が出てくるご利益があるといわれているので、探したいものがある人は参拝してみるのもいいですね。
梅園
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境内にある梅園
湯島天満宮の梅園には、白梅を中心に約300本の梅が植えられています。梅は菅原道真に縁がある花のため、湯島天満宮の紋も梅の花を象ったものです。毎年2月上旬から3月上旬に行われる梅まつりでは、珍しい梅のライトアップも行われています。
日本庭園
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泉鏡花の筆塚が立つ日本庭園
湯島天満宮の中には日本庭園もあり、梅の咲くころにはひときわ美しい景色が楽しめます。園内にある塚は泉鏡花の筆塚です。
湯島天満宮(湯島天神)
アクセス情報
住所:東京都文京区湯島3-30-1
電話番号:03-3836-0753
参拝時間:境内自由
駐車場:あり
交通案内:地下鉄千代田線湯島駅より徒歩3分
公式サイト:http://www.yushimatenjin.or.jp