毘沙門堂門跡
?評価について

京都 毘沙門堂門跡
動くふすま絵で知られる
桜と紅葉が美しい寺院

毘沙門堂門跡は、京都市山科区にある天台宗の寺院です。門跡とは皇族やそれに次ぐ貴族が住職を務めてきた寺院のことで、毘沙門堂門跡は天台宗京都五門跡の一つに数えられています。天台宗の開祖である最澄作と伝わる毘沙門天が本尊になっていることから、毘沙門堂という名が付きました。山科屈指の紅葉と桜の名所としても人気のスポットです。

この記事では、毘沙門堂門跡の魅力や見どころ・アクセス方法・拝観料などをご紹介します。

毘沙門堂門跡
の歩み

参道(毘沙門堂門跡)

参道の青もみじ

毘沙門堂門跡の歴史は古く、703年に文武天皇直々の願いによって行基(ぎょうき)が開山したと伝えられています。開山当時は出雲寺(いずもじ)という名前で、京都市の上京区辺りに位置していました。

平安時代末期になると出雲寺は荒廃し、鎌倉時代初期に平親範(たいらのちかのり)が、平家ゆかりの平等寺・尊重寺・護法寺と併せる形で再建します。しかし、この寺院も室町末期には荒廃してしまいました。

江戸時代初期、家康の側近である僧、天海とその弟子の公海によって現在地に移転され、もう一度再興されます。

1655年には、公弁法親王(こうべんほっしんのう)がこの寺院で受戒(出家すること)しました。親王は晩年もこの寺院で過ごし、これ以降寺院は門跡になります。明治時代を迎えるまでは門跡寺院として大いに栄えました。

現在は紅葉と桜の名所として人気を集めており、シーズンになると多くの観光客が訪れます。

毘沙門堂門跡の
魅力

毘沙門堂門跡は山科区を代表する寺院の一つです。この項では、毘沙門堂門跡の魅力をご紹介しましょう。

桜と紅葉が美しい境内

桜(毘沙門堂門跡)

境内に咲き誇る桜

毘沙門堂門跡の境内は、桜と紅葉の名所として有名です。中でも宸殿(しんでん)前にある般若桜は、樹齢約150年の名木で張りが約30mもあります。毎年4月上旬には山科毘沙門堂観桜会が行われ、琴の演奏が行われたりお茶席が設置されたりするのでこの頃に合わせて訪れるのもおすすめです。

紅葉(毘沙門堂門跡)

鮮やかな紅葉

紅葉は毎年11月下旬頃から見頃を迎えます。建物内の床に紅葉が映りこむ様子も美しく、ここでしか見ることのできない絶景が魅力です。散り紅葉も見事で、中でも仁王門へと続く石段に散る紅葉は一見の価値ありです。

名画家の筆による襖絵

毘沙門堂門跡の宸殿内には、狩野益信の筆による116枚の障壁画と円山応挙が描いた板戸の衝立があります。これらの障壁画や衝立は逆遠近法などのテクニックを駆使して描かれ、静止画でありながら見方を変えると動いているように見える不思議な絵画です。

霊殿の天井には狩野永叔主信筆の龍が描かれ、こちらも見る角度によって見え方が変化します。

歴史ある
境内の見どころ

毘沙門堂門跡の境内には、見どころがたくさんあります。この項では、その中でも特に必見の場所をご紹介しましょう。

本堂の表門 仁王門

仁王門(毘沙門堂門跡)

仁王門

仁王門は毘沙門堂門跡が山科に移転された際に造られたもので、1655年の建立です。門の左右には仁王像が安置されています。周辺にはたくさんの樹木が植えられ、秋になると紅葉が見事です。

勅使門

勅使門(毘沙門堂門跡)

勅使門

勅使門は、天皇の御使い(おつかい)など高貴な方が使用するために造られた門です。公弁法親王(こうべんほっしんのう)が後西天皇(ごさいてんのう)より拝領し、1693年に寺院へ移築されました。檜皮葺(ひわだぶき)の総門で、通常は閉ざされているため通ることはできません。

毘沙門天を祀る本堂

本堂(毘沙門堂門跡)

本堂

本堂は単層入母屋造り(いりもやづくり)の建物で、江戸時代中期の頃に造られました。門の前には小ぶりな唐門があり、これをくぐって参拝します。近年、建物の改修が行われ、往年の鮮やかな朱色を取り戻しました。本堂の内部には本尊の毘沙門天が安置されていますが、秘仏扱いのため直接拝観することはできません。

門跡寺院独特の建物 宸殿

宸殿(毘沙門堂門跡)

勅使門越しに見る宸殿

宸殿(しんでん)は門跡寺院にだけ造られる建物で、大規模な法要などが行われる場所です。寺院の宸殿は元々後西天皇の旧殿だったもので、公弁法親王(こうべんほっしんのう)が拝領して1693年に移築が完了しました。当時は寺院の新書院として使われていたと伝えられています。障壁画や衝立が設置されており、見応えも十分です。

手水鉢

手水鉢は、公弁法親王(こうべんほっしんのう)のお気に入りであったとされる鞍馬自然石の逸品です。庭園、晩翠園の一角に置かれています。上野寛永寺へ向かう砌り牛(みきりうし)に引かせて所持していたという逸話も有名です。

枝垂桜 般若桜

枝垂桜 般若桜(毘沙門堂門跡)

枝垂桜 般若桜

毘沙門堂門跡の境内には約40本の桜が植えられています。般若桜はその中の代表格で、樹齢150年・樹高10mをほこる枝垂桜です。毎年4月上旬になると見事な花を咲かせるこの木は、毘沙門枝垂れとも呼ばれています。

霊殿

霊殿は、阿弥陀如来像や歴代住職の影像・位牌を安置している建物です。元々御所の御霊屋(みたまや)として建設されましたが、後西天皇より拝領して境内に移されました。天井画に龍が描かれていることでも有名です。

高台弁才天

高台弁才天(毘沙門堂門跡)

高台弁才天

高台弁才天は、豊臣秀吉の正妻、るねね(高台尼公)が信仰していた弁才天を祀っている建物です。この弁才天は公弁法親王(こうべんほっしんのう)たっての願いで、ここに移されて祀られたと伝えられています。この辺りの紅葉は仁王門周辺と並んで境内の中でも特に見事です。

晩翠園

晩翠園(毘沙門堂門跡)

晩翠園

晩翠園は江戸初期に造られた回遊式庭園です。心字の裏文字(鏡文字)を象った池には、亀石・鶴石・坐禅石などの名石が配置されています。紅葉が美しく、秋になると観光客が絶えません。夏には新緑も楽しめます。

門跡碑

門跡碑(毘沙門堂門跡)

門跡碑(中央奥)

門跡碑は、寺院の入り口、極楽橋の麓に建つ石柱です。後西天皇が寺院に行幸された時にたまわったものと伝えられています。

毘沙門堂門跡
まとめ

いかがでしたか? 今回は毘沙門堂門跡の魅力や見どころについてご紹介しました。山科区は京都市内の中では比較的観光客が少なく、寺院めぐりなどもゆっくりと楽しめます。毘沙門堂門跡は駅から徒歩20分と若干距離があるため、時間に余裕をもって訪れるのがおすすめです。桜と紅葉の季節以外は休日でも混み合うことは少ないので、落ち着いてじっくりと見学できます。

毘沙門堂門跡
アクセス情報

住所:京都府都市山科区安朱稲荷山町18
電話番号:075-581-0328
拝観時間:8時30分~17時(季節により変動あり)
拝観料:大人500円・高校生400円・中小学生300円 
駐車場:あり
交通案内:JR、市営地下鉄山科駅からそれぞれ徒歩20分
公式サイトhttp://www.bishamon.or.jp

毘沙門堂門跡

ページへ

そのカテゴリーで訪れる価値のある場所
遠回りしてでも訪れる価値のある場所
そのために旅行する価値のある場所