横須賀美術館は、市政100周年を記念して2007年に横須賀の観音崎にオープンした美術館です。風光明媚な場所に建てられ、絶景美術館として名高くもあります。日本の近代美術を中心とした常設展の他、年6回企画展が開催されるので、それを目当てに来館する方も少なくありません。
この記事では、横須賀美術館の魅力や見どころについて紹介します。横須賀美術館への訪問を計画中の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むことで、実際に横須賀美術館を訪れた際、どのように楽しんだらいいかがわかるでしょう。
他の美術館とここが違う
横須賀美術館の特徴
横須賀美術館は、一般的な美術館とは一味違う魅力に溢れた美術館です。ここでは、横須賀美術館の特徴や魅力について解説していきます。
ガラスに覆われた特殊構造
横須賀美術館の展示室は自然光を取りこむために鉄の内壁に穴があけられ、ガラスの覆いをかけられた特殊な構造です。窓がない展示室が一般的な日本の美術館の中では、かなり珍しい造りとなっています。なお、このガラスの覆いは塩害を防ぐ効果もあるため、海のすぐ近くに建っていながら、いつまでも美しい外観を保つことが可能です。
充実の併設施設
横須賀美術館は駅から離れた位置にあり、周辺は海水浴場以外めぼしい施設がありません。その代わり、1日滞在して芸術に親しめるよう、イタリアンレストラン「アクアマーレ」やミュージアムショップなど併設施設が充実しています。山の広場など、海の眺望を楽しめる施設や森林浴ができる森などもあり、天気がよければ敷地内から東京湾を一望できるでしょう。
5,000点以上の近代美術作品を収蔵
横須賀美術館には5,000点以上の収蔵品があり、その中から厳選し展示を行っています。館内には図書館もあり美術書や過去の展覧会の図録などの閲覧(貸出不可)も可能です。また、別館として横須賀市に縁の深い画家である谷内六郎氏の作品を常設展示した谷内六郎館も併設。氏の素朴で暖かなタッチで描かれた絵画をいつでも見ることができます。
横須賀美術館
施設案内
ここでは、美術館の施設を詳しくご紹介していきます。どのようなところで芸術作品を観賞できるのでしょうか?
山の広場
美術館本館のすぐ前に広がる芝生の広場です。美術館屋上ともつながっており、館内と広場を自由に行き来することもできます。芝生の広場からは東京湾を臨むこともでき、晴れた日には対岸まで良く見渡せるでしょう。また、芝生の広場の裏手には森林が広がっており、芸術を観賞した後で森林浴も楽しんだり、子どもと遊んだりもできます。
海の広場
こちらは、谷口六郎館の前に広がる芝生の広場です。屋外映画の上映会やアート・マーケットなども開かれることがあり、自然と芸術作品のコラボレーションを楽しむことができます。また、誰でも参加できる体験型イベントなども開かれており、子どもが美術に親しむきっかけになることもあるでしょう。さらに、若林奮の鉄の彫刻「ヴァリーズ」が設置されており、その底を歩くという他ではできない体験をすることもできます。
谷内六郎館
横須賀にアトリエを構えていた画家、谷内六郎は日本の懐かしい風景をほのぼのとしたタッチで描き続けました。週刊新潮の表紙絵を創刊号から描き続けていたこととでも知られています。谷内六郎館では、遺族が横須賀市に寄贈した1,300点余りの週刊新潮の表紙絵を中心に作品が常時展示されて、自由に閲覧が可能です。年配の方の中には、「本屋で見たことのある絵がたくさんある」と懐かしく思い出す方もいるでしょう。
BF展示室
地下にありながら、吹き抜けの天井から自然光がさんさんと降りそそぐ展示室です。回遊式になっているため「次はどの部屋に行けばいいの?」と迷うこともありません。常設展示場になっていますが、年4回展示替えが行われ、日本の近現代美術史の流れを知ることもできます。お気に入りの作品を見つけたら、年間パスポートを購入し足しげく通ってみるのもおすすめです。
1F展示室
1階の展示室は、地下とは異なり大きさの違う3つの部屋から成り立っています。こちらは主に企画展が行われる場所です。企画の種類によって部屋をつなぎ合わせたり独立させたりして、美術品が一番映える展示方法で見る人を飽きさせません。企画ごとに違った美術館に来たような感じを抱く人もいるでしょう。また、若手作家の創作活動発表会の場として利用されることもあります。
ワークショップ室
横須賀美術館では、定期的にだれでも参加できる美術のワークショップを企画しています。創作する物は子供向けから大人向けまでさまざまです。内容は定期的に美術館のホームページで発表されるので、気になる方はぜひチェックしてみましょう。もちろん、横須賀市民以外でも参加できます。旅行のお土産を作ってみるのもおすすめです。
レストラン
滞在型施設として造られた横須賀美術館には、イタリアンレストラン「アクアマーレ」が併設されています。ランチだけでなくティータイムやディナーのメニューも充実しているので、展覧会の観賞後にお茶を飲んだり、デートコースに組み込んだりしてもよいでしょう。また、企画展とのコラボメニューも登場することがあり、これを目当てに足を運ぶ人もいます。予約もできますので、夏休みなどは行っておくとスムーズに利用できるでしょう。
ミュージアムショップ
美術館の入り口近くにあるミュージアムショップでは、絵ハガキや図録をはじめとするグッズを購入できます。また、美術関連の書籍なども扱っていますので、美術を学んでいる方にもおすすめのショップです。企画展が開催されると、それに合わせた限定グッズなども販売されるため、コレクションするために何度も足を運ぶ方も少なくありません。暮らしの中に気軽に美術を取り入れてみたいという方は、ぜひ利用してみてください。
図書室
美術に関連した書籍や、過去の企画展の図録などが収蔵されています。また、美術館の収蔵品を検索することも可能です。現在、横須賀美術館には約5,000点の美術品が収蔵されており順次展示されています。そのため、収蔵品が分かればお目当ての作品が展示される時期に足を運ぶこともできるでしょう。図書室の本や図録は館内であれば自由に閲覧できます。美術館の利用者だけでなく、美術の勉強をしている方にもおすすめです。
情報スペース
いわゆる多目的ホールです。普段はベンチが置かれており、休憩場所としても利用できます。東京湾を一望できまる気持ちのよい空間です。また、コンサートや講演会をはじめとする各種イベントも開かれ、申し込めば利用することもできます。何かを表現したいという方が集まってイベントを開くこともあるでしょう。情報は随時美術館のホームページで更新されるので、チェックを忘れずに行ってください。
屋上広場
天気のよい日には格好の休憩場所となる広場です。美術館は子どもにとってはすこしたいくつな場所かもしれません。しかし、横須賀美術館は山の広場・海の広場などと合わせて、子どもが自由に歩き回れる場所や託児施設もあるので、子連れのお母さんでも気軽に美術に親しむことができます。また、横須賀美術館は「環境全体が美術館」というコンセプトを持っていますので、展示されている美術品だけでなく、美術館から見える風景もすべて作品の一部と考えてみましょう。屋上広場からは森の中へ散歩道も繋がっています。
収蔵作品について
横須賀市美術館には、谷内六郎の作品、朝井閑右衛門の作品を中心として
- 横須賀市や三浦半島にゆかりの深い作家の作品
- 横須賀市や三浦半島が題材となった作品
- 海をテーマとした作品
- 日本の近現代美術を概観できる作品
を収蔵しています。その数は約5,000点で、年4回展示替えを行う常設展示の他、企画展示などでも展示され閲覧が可能です。
横須賀美術館
まとめ
いかがでしたか? 今回は横須賀美術館の魅力についてご紹介しました。日本全国に美術館はたくさんありますが、美術館を取り巻く環境すべてを作品ととらえ、大人も子どもも楽しめる美術館というのはここ以外にないでしょう。一日滞在して自然と美術作品をぜひ満喫してみてください。
横須賀美術館
アクセス情報
住所:神奈川県横須賀市鴨居4-1
電話:046-845-1211
営業時間:10~18時
定休日:毎月第1月曜日(祝日除く)・年末年始・臨時休館あり
駐車場:普通車120台・二輪車7台が駐車可能。美術館を利用すれば1時間無料
駐車場営業時間:8~22時(無休)
公式ホームページ:http://www.yokosuka-moa.jp/index.html