東京都湯島の昌平橋(しょうへいばし)は湯島聖堂のすぐ側にある神田川にかかる橋です。橋がかけられたのは江戸時代のことで、水害で何度も流されたものの、その度に再建され続けました。現在の橋は1923年(大正12年)にかけられたもので、神田川にかかる鉄筋コンクリート製の橋としては最も古いものです。近年では、テレビアニメ『ラブライブ!』に登場したことから、ファンの間では聖地にもなっています。
今回は、昌平橋の歴史や見どころ・楽しみ方などをご紹介しましょう。
江戸時代から続く
昌平橋の歴史
昌平橋が初めて神田川にかけられたのは、江戸時代初期のことです。その当時は橋の南西に一口稲荷社(いもあらいいなりしゃ)があったため、一口橋や芋洗橋と呼ばれていました。現在、一口稲荷社は太田姫稲荷神社になっています。
1691年に徳川綱吉によって湯島聖堂が造られると、綱吉は孔子の誕生した地である昌平郷にちなんで橋を昌平橋とするように命じました。江戸時代から明治初期にかけては橋を造る技術が未熟だった上、たびたび神田川が洪水を起こしていたため、橋は頻繁にかけ替えられています。
1878年(明治11年)に資産家の高橋次郎左衛門氏によって橋がかけ替えられた際、日本初のアスファルト舗装が行われました。
現在の昌平橋は1923年(大正12年)4月にかけられたものです。同年9月に関東大震災が発生しましたが、鉄筋コンクリート製だったために目立った被害はありませんでした。
2007年(平成19年)には千代田区景観まちづくり重要物件に指定され、2016年現在は長寿化工事が施されています。
昌平橋の
魅力や見どころ
昌平橋は、400年以上都民の生活を支えてきた橋です。この項では、橋の魅力や見どころをご紹介しましょう。
橋から臨む風景
昌平橋のすぐ上には、JR総武線松住町架道橋がかかっています。人通りが多い橋のすぐ上を電車が通っている場所は、東京以外では中々見ることはできません。歴史ある橋と近代的な架道橋組み合わせは、写真の題材としてもよく選ばれています。
橋の上から神田川の上流へ目を向けると見えてくるのが、JR総武線の神田川橋梁や特徴的な形の聖橋、地下鉄丸ノ内線の線路です。神田川は人工の運河で、川幅は広くありません。その小さなスペースにこれだけ多くの建造物が渡っている光景はなかなか壮観です。
昌平橋からは紅梅河岸高架橋も望めます。ここは昌平橋駅の跡地で、レンガ造りのしゃれたアーチだけが残っている場所です。紅梅河岸(こうばいかし)の名は、明治時代まで神田川の岸辺に紅梅の並木があったことに由来しています。アーチの中は現在レストランやバーになっているので、外観を見学したら立ち寄ってみるのもいいですね。
昌平橋周辺の史跡
昌平橋を渡ってすぐの所には、その名の由来となった湯島聖堂があります。湯島聖堂は日本の近代教育発祥の地です。国の史跡にも指定されており、無料で中国風の孔子廟や大成殿などを見ることができます。敷地内には樹木も多いので、観光がてら休憩に立ち寄るのもおすすめです。
昌平橋
アクセス情報
住所:東京都千代田区千代田区外神田一丁目
駐車場:なし
交通案内:JR御茶ノ水駅から徒歩すぐ