京都市上京区、西陣にもほど近い場所にある大報恩寺は、千本釈迦堂という通り名で親しまれている真言宗の寺院です。ユーモラスな表情の縁起物である「おかめ」発祥の場所であり、境内にはおかめの像があります。毎年12月に行われる大根炊きは京都に冬を告げる風物詩として有名です。
この記事では、大報恩寺の歴史や魅力・アクセス情報・拝観時間・拝観料などをご紹介しましょう。
鎌倉時代から続く
大報恩寺の歴史
大報恩寺は鎌倉時代初期に、求法上人義空(きゅうほうしょうにんぎくう)によって創建された真言宗の寺院です。いつ頃から千本釈迦堂の別名がついたのかは不明ですが、室町時代に記された徒然草にはすでに「千本の釈迦念仏」という言葉が出てきています。
鎌倉時代、大報恩寺の本堂を造った大工の棟梁には妻がいました。その妻がおかめです。彼女は柱の寸法を誤って切ってしまった夫に助言をし、それに従った夫は無事に本堂を造ることができました。しかし、女性が男性の仕事に口を出したことが広く知られることを恐れ、本堂が完成する前に自害してしまいます。この話が広まるにつれ、大報恩寺は大工の信仰を集めるようになりました。
ちなみに、この本堂は度重なる戦火や災害にも大きく損なわれることなく、現在まで残っています。洛中最古の建物として1952年(昭和27年)国宝に指定されました。
現在まで大報恩寺は目立った荒廃もなく、人々の信仰を集め続けています。本堂の他鎌倉時代の仏像も多数現存しており、仏像好きは必見です。仏像の中には、重要文化財に指定されているものも複数あります。
歴史ある
大報恩寺の魅力
大報恩寺は戦火や火災・災害にも巻き込まれなかったおかげで、鎌倉時代からの遺物も多数残されています。この項では、そんな大報恩寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。
鎌倉時代建立の本堂と仏像
大報恩寺の本堂は大規模な修理は行われたものの、現在まで一度たりとも破壊や焼失はしていません。外観だけでなく内部も見学できます。ただし、本尊である釈迦如来坐像は秘仏のため、見学でいるのは外側の厨子(ずし)だけです。
本堂には、かつて本尊の他釈迦の十大弟子像や六観音像などが安置されていました。十大弟子像は鎌倉時代を代表する仏師の一人である快慶(かいけい)とその弟子、行快(ぎょうかい)らによって作られていることが分かっています。
六観音像は1224年に仏師、定慶によって作られました。鎌倉時代の仏像で作者がはっきりと判明している珍しいものです。
これらの仏像は現在境内にある宝物殿で常時展示されています。
おかめ関連
大報恩寺はおかめ発祥の地だけあり、境内にはおかめに関連したものが複数あります。
おかめ塚
おかめ塚は、おかめの夫が彼女の冥福を祈って建立した宝篋印塔(ほうきょういんとう)です。この塚に参拝すると夫婦円満・縁結び・子授けにご利益があるといわれています。
おかめの像
おかめの像は、境内にあるおかめの姿を象った像です。手に宝珠を抱いた福々しい像は、見ているだけで幸せな気分になります。
おかめ桜
おかめの像のすぐ側にあるのが、おかめ桜と呼ばれる枝垂れ桜の大木です。毎年3月下旬になると地面につくほど長い枝の先端まできれいな花が咲きます。その様子は花嫁がかぶるヴェールのようにも見え、春に寺院を訪れた際には必見です。
おかめ節分
大報恩寺で毎年2月に行われる節分会は、おかめ節分と呼ばれています。おかめ塚付近で豆まきが行われ、ユーモラスな振り付けのおかめ音頭が奉納されるおかめづくしの節分です。
おかめ節分に参加すると、縁結び・夫婦円満などのご利益があるといわれています。毎年たくさんの観光客や地元の方が参加する節分会です。
冬の風物詩である大根炊き
毎年12月7日・8日に行われる大根炊きは、京都に冬を告げる行事です。この日は仏陀が悟りを開いた日とされ、昔から法要が行われてきました。
大報恩寺では、法要の度に大根に梵字を描いて仏前に備え、信徒に魔除けとして配ってきたと伝えられています。それがいつしか大根を炊いて振る舞う行事に変わりました。
現在では、寺院を参拝した方に有料で振る舞われています。
大報恩寺
アクセス情報
住所:京都市上京区七本松通今出川上ル
電話番号:075-461-5973
拝観時間:9~17時
拝観料:大人600円・高大生500円・小中学生400円
駐車場:あり
交通案内:JR京都駅から市バス50系統乗車、上七軒下車徒歩5分
公式サイト:http://www.daihoonji.com