京都嵯峨野の最も北に位置する直指庵(じきしあん)は、竹林に囲まれた浄土宗の寺院です。この寺院には想い出草と呼ばれるノートが置かれており、誰でも自由に気持ちをつづることができます。1人で訪れてノートに気持ちをつづっていく方も多く、いつ訪れても落ちついた雰囲気が漂っている寺院です。竹林と紅葉の美しい寺院としても知られています。
この記事では、直指庵の見どころや魅力・アクセス方法をご紹介しましょう。
庵から始まる
寺院の歴史
直指庵は、1646年に南禅寺で臨済宗の修行をした独照性円(どくしょうしょうえん)という僧がこの地に小さな庵(いおり)を建立したことが始まりです。独照性円はその後隠元禅師(いんげんぜんじ)に師事し、庵はやがて黄檗宗(おうばくしゅう)の大寺院になりました。
大寺院になった後も独照性円は禅の教えである「直指人心 見性成仏」を守り、寺号を付けることなく寺院の名前を直指庵とします。独照性円が亡くなった後、寺院は月潭(げったん)が継ぎましたがその後は継ぐ人が絶えてしまいました。
幕末になると、津崎村岡局(しまづむらおかのつぼね)という老女が寺院に入り、浄土宗の寺院として再興します。その後、寺院は地元の子女に教育を施す場として使われるようになりました。
現在は、竹林と紅葉が美しい寺院として観光客や地元の方に親しまれています。
静かで落ち着く
直指庵の魅力
直指庵は、一人で訪れて長い時間を過ごしていく方も多い寺院です。この項では、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。
素直な想いをつづることができる
直指庵には、自分の気持ちを自由に書きつづることができる想い出草と呼ばれるノートが置かれています。このノートは1960年代から置かれており、現在までたくさんの参拝客が色々な想いをノートにつづり続けてきました。
境内には広げたノートを手に持つ観音像があり、ノートの近くには「そっとその意地を私の心(ノート)にすててください。苦しむあなたをみているのがつらいのです。」と書かれています。自分の気持ちを整理したい方や悩みをはき出したい方はこのノートに想いをつづってみてはいかがでしょうか?
四季折々の自然が美しい寺院
直指庵の境内には、たくさんの草木が植えられており四季折々に様々な花が楽しめます。中でも秋の紅葉は格別な美しさです。
春には一本の木に紅白の花が咲く源平枝垂れ桃という珍しい桃の花が咲き、夏になるとシャガやアジサイの花が見頃を迎えます。深緑との組み合わせも見事です。
自然に囲まれた
境内の見どころ
直指庵は、竹をはじめとする樹木に抱かれるように建物が建っています。この項では、境内の見どころをご紹介しましょう。
竹林の前に建つ山門
直指庵の山門は瓦葺きの屋根を持つ門です。周囲の白壁と瓦の黒色とのコントラストが美しく、門の向こうには竹林が見えます。
茅葺屋根の本堂
直指庵の本堂は茅葺屋根を持つ古民家のようなお堂です。周囲は樹木に囲まれており、四季ごとに異なる美しさを楽しめます。中ではノートに思いを書いたりお抹茶をいただいたりすることができ、いつまでも中で過ごしていたくなるお堂です。
抹茶を希望される場合は、3日前までの予約が必要なので注意してください。予約は電話で受け付けています。
愛逢い地蔵
愛逢い地蔵は境内を入ってすぐのところにある地蔵尊で、二体の像が頬を寄せ合うようにして立っています。縁結びや恋愛成就のご利益があるといわれているので、カップルで参拝するのもおすすめです。
モリアオガエルが生息する池
直指庵の境内にある池には、モリアオガエルが自生しています。モリアオガエルは主に山地で見られるカエルで、寺院の境内に自生しているのは珍しいものです。
このカエルは、木の上に泡のような粘液に包まれた卵を産むことでしられています。初夏に池の畔に立つ木に見られる泡のかたまりは、すべてモリアオガエルの卵です。
直指庵
アクセス情報
住所:京都府京都市右京区北嵯峨北ノ段町3番地
電話番号:075-871-1880
拝観時間:9~16時
拝観料:大人500円・高校生以下400円
駐車場:なし
交通案内:JR嵯峨嵐山駅から市バス91番乗車、大覚寺前下車、徒歩数分
公式サイト:http://www5e.biglobe.ne.jp/~jikisian/