元興寺
?評価について

奈良 元興寺
浄土曼陀羅を本尊として祀る
世界遺産登録の寺院

元興寺(がんごうじ)は、奈良公園内にある真言律宗(しんごんりっしゅう)の寺院です。日本最古の寺である法興寺(今の飛鳥寺)がその前身で、飛鳥時代より続く重要な歴史価値が評価され、世界文化遺産として登録されました。加えて、極楽堂本堂と禅室は国宝に、東門は重要文化財に指定されるなど、まさに文化財の宝庫です。また、花のお寺とも呼ばれ、桔梗や萩など、四季を通して美しい花の散策も楽しめます。現在、奈良市内に元興寺というお寺は2つありますが、世界遺産に登録されている元興寺は、奈良市中院町にある方です。

この記事では、元興寺の魅力や見どころ・歴史・アクセス方法・拝観料などをご紹介しましょう。

01. 飛鳥時代から続く
元興寺の歴史

境内(元興寺)

元興寺境内(禅室の前に広がる浮図田)

588年、蘇我馬子が飛鳥の地に建てた日本最古の寺院、法興寺が元興寺のはじまりです。710年の平城遣都に伴い奈良へ移され、元興寺と名付けられました。奈良時代には隆盛を極め、東大寺や興福寺に匹敵する広大な敷地を誇っていましたが、平安時代の中頃から段々と衰えていきます。

平安時代後半、僧坊の一室に祀っていた浄土曼陀羅が広く信仰の対象となると、再び多くの人々が訪れるようになりました。しかし、1451年と1859年の大きな火事で建物の一部が焼失し、古くからの建物は極楽坊の本堂と禅室だけになります。

明治時代にはいっそう荒廃しますが、1943年(昭和18年)に建物の解体修理と境内の整備が行われ、1998年(平成10年)には、古都奈良の文化財の一部として世界文化遺産に登録されました。

02. 歴史ある
元興寺の魅力

元興寺は2つの国宝の建物を有する歴史ある寺院です。この項では、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。

現存する1400年前の瓦

行基瓦(元興寺)

行基葺(ぎょうきぶき)の屋根

現在は隣り合う本堂と禅室は、かつて僧坊と呼ばれるひとつの建物で、僧侶たちが生活をする場でした。今でもこの本堂と禅室の屋根には一部分に飛鳥時代の古式瓦が使われ、丸瓦と平瓦が重なり合うように葺かれた行基葺(ぎょうきぶき)と呼ばれる独特の並べ方がされています。中でも、法興寺から運ばれてきた瓦は赤みを帯びた色調のものが多いので、屋根を見上げながら古式瓦を探してみるのも楽しいでしょう。

浮図田のお地蔵様

浮図田(元興寺)

浮図田(ふとでん)

浮図田(ふとでん)は、2,500基ものお地蔵様や石塔(総称して浮図)を寺内や地域周辺から集め、田んぼの稲のように並べたことから、この名が付きました。境内の南西に位置し、当時は供養塔として浄土往生を願っていたということです。

地蔵会万燈供養(元興寺)

地蔵会万燈供養

現在も毎年8月下旬に地蔵会万燈供養が行われ、多くの人がお地蔵様に家内安全や無病息災を祈っています。日が落ちると何百もの燈明皿に火が灯され、灯りが揺らめく様子は幻想的です。

03. 元興寺境内の
見どころ

元興寺は奈良時代の建物が見られる貴重な寺院です。この項では境内にある建物の見どころをご紹介しましょう。

極楽への東門

東門(元興寺)

東門

東門は、東大寺南西院にあった門を元興寺の正門として移築した鎌倉時代の建物です。一般的に、寺院は南門が正門となっていますが、元興寺では、極楽浄土へ向かう入り口が東側にあることから「極楽への東門」として東門が正門となりました。ここを訪れる人は、阿弥陀の西方極楽浄土に向かって寺院へ入ることになります。

本尊を祀る極楽堂

極楽堂(元興寺)

極楽堂

東門をくぐって入るとすぐ目の前に見えてくるのが、浄土発祥の聖地として古来より有名な国宝のお堂です。この本堂は極楽坊と呼ばれ、仏像ではなく浄土曼陀羅が本尊として祀られています。浄土曼陀羅とは、浄土教を熱心に研究していた奈良時代の僧、智光(ちこう)が、画工に描かせ部屋に祀った浄土変相図のことです。智光の名前から、智光曼陀羅とも呼ばれています。

僧の学び舎 禅室

禅室(元興寺)

禅室(左)と極楽堂(奥)

禅室は、念仏道場として世間に名が知られ、学校舎としても使われてきました。智光や空海のような高僧も、この禅室で寝起きし勉強をしていたといいます。

建築物としては、奈良時代以前の古木が多く再利用されているのが特徴です。1間ごとに2本の間柱を立てて板扉と連小窓を設けた造りは、僧坊建築の形式を現代に伝えています。禅室内部は通常非公開です。

台所と呼ばれた小子坊

小子坊(元興寺)

小子坊(右の建物)

境内北西にある小子坊(しょうしぼう)は、1663年(寛文3年)に極楽院庫裏(くり)として改築され、その後も幾度かの移築を経て1960年(昭和35年)、現在の場所へ落ち着きました。庫裏とは、僧侶らが食事や入浴などの日常生活を送る建物のことで、当時の小子坊も北厨房や台所と呼ばれていたといいます。

泰楽軒(茶室)

小子坊の奥にある泰楽軒は、奈良の指物師(さしものし)として有名な川崎幽玄氏が携わり、1994年(平成6年)に増築されました。指物師とは、釘などの接合材料を使わず、木と木を指し合わせて机や椅子などの調度品を作る家具職人のことです。元興寺の古材を使い、川崎氏の作品が集められた茶室は、見事な茶の空間となっています。この四畳半の茶室と三畳の水屋からなる泰楽軒は通常非公開です。現在は、川崎幽玄氏を偲ぶ茶会など、特別なときに限り茶室として使われています。

法輪館と五重小塔

法輪館(元興寺)

法輪館

聖徳太子立像をはじめとする文化財の多くを収蔵・展示しているのが、境内南隅に建つ法輪館です。中でも、1階中央に置かれた国宝の五重小塔は、実物の五重塔の雛形として造られたのではないかと言われており、細部まで忠実に再現されています。保存状態も良く、奈良時代の塔建築を知る上での重要な資料です。

04. 元興寺
アクセス情報

住所:奈良県奈良市中院町11
電話番号:0742-23-1377
拝観時間:9~17時まで(入館は、16時半まで)
拝観料:大人500円(秋季特別展期間中は600円)・中高生300円・小学生100円・団体(20名以上)400円・身障者はそれぞれ半額
駐車場:あり
交通案内:JR奈良駅から徒歩20分・近鉄奈良駅から徒歩10分
公式サイトhttp://www.gangoji.or.jp/

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