静岡県富士宮市にある白糸の滝は、富士山の地下水が湧き水となって流れ出ている水量豊富な滝です。白糸の滝が観光地として広く知られるようになったのは明治時代に入ってからです。1936年(昭和11年)には国の名勝に指定され、1950年(昭和25年)には観光百選滝の部、1位にも選ばれています。2013年(平成25年)には世界遺産に登録され、現在は海外にもその美しさが知られるほどの人気スポットです。
この記事では、白糸の滝の魅力や見どころ・アクセス方法から周辺のイベント・グルメ情報までをご紹介します。
修行の場だった
白糸の滝の歴史
白糸の滝が人々に知られるようになったのは、戦国時代末期から江戸時代初期の頃です。その頃の富士山は信仰の対象で、多くの修験者が修行のために富士山周辺を訪れていました。
この頃、白糸の滝で修行を行っていたのが、富士山を信仰する民間信仰、富士講を立ち上げた長谷川行角(はせがわぎょうかく)です。そのため、江戸時代の間、富士講の人々が修行の場として知られるようになりました。
白糸の滝が観光地になったのは、1936年(昭和11年)に国の名勝に指定されてからです。これ以降、白糸の滝を訪れる人々は年を追うごとに増え、その美しさも日本中に広まりました。1950年(昭和25年)には観光百選滝の部で1位、1991年(平成2年)には日本の滝百選に選定されています。2013年には、富士山信仰の対象と芸術の源泉の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されました。
人々を引き付ける
白糸の滝の魅力
白糸の滝には、1年を通してたくさんの人々が訪れます。この項では、そんな白糸の滝の魅力をご紹介しましょう。
水と緑が作り出す絶景
白糸の滝は、富士山から流れ出す湧き水と木々の緑、そして岩が作り出した絶景です。細い水流が幾筋も岩肌を伝って流れ落ちる部分は繊細で優美。太い水流が流れ落ちて行く様子は雄大です。流れ落ちる水は毎秒1.5トンとかなり多く、夏でも滝つぼ一帯はひんやりとしています。木々の緑と黒い岩肌とのコントラストも素晴らしく、まるで絵画を見ているようです。
四季折々に異なる美しさ
白糸の滝は、四季折々に異なる美しさを訪れる人に見せてくれます。特に有名なのは夏の深緑と秋の紅葉です。夏の深緑は水流とのコントラストが美しく、秋の紅葉はまるで錦の布を滝の上に広げたように見えます。夏と秋は滝までの道も通行しやすいのもポイントです。
春の白糸の滝は、若葉が目にまぶしく、生命の息吹が感じられます。この季節、白糸の滝付近はまだ寒さが厳しいので、厚着をしていくとよいでしょう。
冬の白糸の滝は、流れる形のまま固まった氷を見ることができます。凍った滝は迫力満点で、その美しさは一見の価値ありです。冬季に車で滝を訪れる際はチェーンが必要となりますので注意してください。
白糸の滝の
楽しみ方
白糸の滝は、長い歴史を持つ観光地です。この項では、白糸の滝の見どころや楽しみ方をご紹介しましょう。
世界遺産に指定された白糸ノ滝
白糸の滝は、富士山から湧き出た水が絶え間なく流れ落ちています。ほとんどの水流が細いので激しさはあまり感じませんが、実は毎秒1.5トンもの水が流れ落ちる滝です。水温は1年を通して12度と低く、舞い散る水滴のせいで滝つぼ一帯の空気はいつもひんやりとしています。夏場でも、長時間滝つぼ周辺で過ごしたい場合は長袖を着るなど工夫が必要です。
滝つぼから流れる水はとてもきれいですが、流れが早いので川遊びなどには適しません。手で水に触れる場合は、体をもっていかれないように指先だけで触れるようにしましょう。
男性的な美しさ 音止の滝
白糸の滝と道を挟んで反対側には、音止の滝と呼ばれる滝があります。音止の滝は、25メートルの高さから大量の水が轟音と共に流れ落ちる滝です。こちらも日本の滝百選に選ばれた名滝で、白糸の滝を女性的な美しさに例えるなら、こちらは男性的な美しさといえます。
滝の名は次のような伝説に基づいて名付けられました。鎌倉時代、曾我兄弟という武士の兄弟が、父の仇である工藤祐経(くどうすけつね)を討つ相談を滝の近くで行っていましたが、滝の音がうるさくてお互いの声がよく聞こえません。そこで、神に念じたところ、滝の音が止まったといいます。これが音止の滝と呼ばれる由来です。
音止の滝は、見る場所によって音が変わります。興味がある方は、いろいろな場所から滝を眺めてみるのも面白いですよ。
白糸の滝を望める展望スペース
遠くに滝を望める展望スペースは、売店が立ち並ぶ通りの先にあり、車いすやベビーカーでも楽に通行可能です。滝つぼ付近より迫力はありませんが、美しさは十分に感じられます。滝つぼ付近まで行くのが難しい方は、ここで滝見物をするのもおすすめです。
白糸の滝周辺の
見どころ
白糸の滝周辺にもいくつかの見どころがあります。白糸の滝に訪れた際はぜひ、こちらのチェックしてみてください。
工藤祐経之墓所
工藤祐経之墓所(くどうすけつねのぼしょ)は、音止めの滝上流部東側にある小さな祠(ほこら)です。工藤祐経(くどうすけつね)は鎌倉時代の武将、曾我兄弟の父親を殺した人物。曾我兄弟が工藤祐経を討つまでの物語は、曾我者といわれ、歌舞伎や能の人気演目になっています。
祠は地元の方によって大切に管理されており、今でもきれいな状態です。毎年4月には、工藤祐経供養祭が行われます。
曽我の隠れ岩
曾我の隠れ岩は、音止の滝東側にある岩です。曾我兄弟は、この岩陰で仇討ちの相談をしたと伝えられています。現在はしめ縄が張られ御神体のように扱われているので、むやみに触ったりしないように注意してください。
白糸の滝で
イベントを楽しむ
白糸の滝は年間通じていろいろなイベントが行われています。この項では、その中でも代表的なものをご紹介しましょう。
祐経供養祭
祐経供養祭(すけつねくようさい)は、毎年4月に富士宮市で開催される狩宿さくらまつりに合わせて行われます。曾我兄弟によって討たれた工藤祐経(くどうすけつね)の菩提を弔うお祭りです。
工藤祐経之墓所前に祭壇が築かれ、神主による供養の祝詞(のりと)が唱えられます。静かなお祭りですが、歴史に興味がある方はさくらまつりと併せて参加してみるといいですね。
草鹿の巻
草鹿の巻(くさじしのまき)は、鹿狩りの稽古として行われていた草鹿式を再現したものです。源頼朝が鹿狩りを行った際、家来がたびたび鹿を仕損じるのを見て草鹿式を始めたのがはじまりといわれています。現在は、狩宿桜まつりに合わせて白糸ノ滝駐車場東側で行われるイベントです。武将の格好をした人々が古式にならって矢を射る歴史絵巻が再現されます。
白糸の滝で
グルメを楽しむ
白糸の滝周辺には、手軽に食べられるおいしいものを販売しているお店が複数あります。この項では、その中でも一押しをご紹介しましょう。
カフェレストラン美富士屋
カフェレストラン富士宮は、音止滝が望める場所でコーヒーやアイスクリームなどを食べられるカフェです。滝見物をして疲れた体を休めるにはぴったり。冬はホットな飲み物、夏はアイスクリームがおすすめです。
アクセス情報
住所:静岡県富士宮市上井出265-1
電話番号: 0544-54-0232
営業時間:9~17時
定休日:木曜日
交通案内:白糸の滝から徒歩数分
滝元屋
滝元屋は白糸の滝間近に位置する食事処で、食事から甘味まで楽しむことができます。そば・かまど飯・ほうとうなどメニューも豊富。白糸の滝は秋口からぐっと冷え込みますので、暖かいメニューはうれしいものです。甘味は、おしるこや甘酒などを取り揃えています。
アクセス情報
住所:静岡県富士宮市上井出261-1番地
電話番号:0544-54-0007
営業時間:9~18時
定休日:不定休
交通案内:白糸の滝から徒歩数分程度
お好み焼き むめさん
B級グルメの雄、富士宮焼そばやお好み焼きを楽しめるお店です。かなりの人気店ですので、ゆっくりと食事をしたい方は、お昼時をずらして訪れるとよいでしょう。朝7時から営業していますが、お好み焼きや焼きそばは10時30分からですので注意してください。
アクセス情報
住所: 静岡県富士宮市上井出854-50
電話番号:0544-54-1161
営業時間:7~9時・10時30分~19時
定休日:火曜・第三水曜
交通案内:白糸の滝から車で1分程度
公式サイト:http://www002.upp.so-net.ne.jp/MUME-SAN/
白糸の滝
アクセス情報
住所:静岡県富士宮市上井出原
駐車場:あり
交通案内:JR富士宮駅より白糸の滝行バス乗車、白糸の滝下車 徒歩10分ほど
公式サイト:http://fujinomiya.gr.jp/shiraito/