本能寺は、京都市中京区にある法華宗本門流の大本山です。戦国武将である織田信長が自害した寺院としても広く知られています。現在の本能寺は1928年(昭和3年)に再建されたものです。境内には信長公廊があり、織田木瓜(おだもっこう)や真田家の紋でもある結び雁金紋いりのお守りなども授与してもらえます。
この記事では、本能寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。
再建を重ねた
本能寺の歴史
本能寺は、1415年に日隆上人(にちりゅうしょうにん)によって建立されました。創建当初は本応寺と称していましたが、1433年に六角大宮という場所に移転した際に本能寺と改められます。
1545年に油小路蛸薬師(あぶらのこうじたこやくし)に移転し、広大な敷地を持つ大寺院になりました。織田信長が明智光秀に討たれたのは、この油小路蛸薬師の地にあったときのことです。
1582年に本能寺の変が起こり、寺院の伽藍と周辺の宿坊などはすべて焼失してしまいました。豊臣秀吉の都市計画により現在の地に移転したのは1589年のことです。
江戸時代には法華宗本門流の大本山として寺院は再び栄えましたが、江戸時代後期に起こった天明・元治の大火災によって伽藍は再び焼失してしまいました。
1928年(昭和3年)に本堂が再興され、現在に至ります。戦国武将屈指の人気を誇る織田信長ゆかりの寺院ということで、今でも参拝者が絶えません。
歴史的に有名な
本能寺の魅力
本能寺は、幅広い年代にその名が知られている有名な寺院です。この項では、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。
本能寺に伝わる寺宝
本能寺は戦国時代、貿易港として栄えた堺にたくさんの信徒を抱えていました。また、本能寺の第8代貫主(住職)である日承上人は織田信長と交流があり、信長は本能寺の変の時を併せて4回本能寺を訪問して貫主の教えを受けています。そのため、本能寺には堺在住の信徒や織田信長から寄付された品物が複数現存しており、大賓殿宝物館でその一部が見学可能です。
授与される品々
本能寺では、お守りや御朱印を授与してもらえます。中でも織田家の紋である織田木瓜(おだもっこう)をデザインしたお守りや御朱印帳は、デザインも現代風で、歴史好きな方へのお土産としてもおすすめです。
また、大賓殿宝物館に展示されている三脚の蛙(みつあしのかえる)香炉が描かれたお守りも販売されています。この香炉は本能寺の変前日に鳴きだしたという伝説が残っており、お守りはそれにちなんで「無事帰る」ご利益があるというものです。
見学無料
本能寺の見どころ
本能寺は大賓殿宝物館以外、無料で境内を見学できます。この項では、本能寺境内の見どころをご紹介しましょう。
表門
本能寺の表門は1879年(明治12年)に現在の場所に移築されました。寺町通りに面して建つ大型の薬医門で、ケヤキの良材を使って建てられています。歴史の風格を感じさせる堂々とした門です。現在は登録有形文化財に指定されています。
本堂
本堂は、工学博士天沼俊一氏の設計によって1928年(昭和3年)に再建されました。江戸時代末期に起きた天明・天治の大火災にで焼失した本堂の面影を残しており、室町時代風の建築になっています。朝6時から日々のお勤めが堂内で行われており、誰でも自由に参加可能です。現在は、登録有形文化財に指定されています。
信長公御廟所拝殿
信長公御廟所拝殿は、信長の死後に三男である織田信孝(おだのぶたか)の命によって建立されました。この奥にあるのが信長公の墓所ですが、遺骸は納められていません。その代り、武将の魂である太刀が納められています。現在は登録有形文化財に指定されている建造物です。
火伏のイチョウ
境内にある大イチョウは樹齢千年近い巨木で、本能寺の変が起こった後で現在の場所に移されました。大火の時にイチョウから水が噴き出し、伽藍や人々を守ったという伝承に基づき、火伏せのイチョウと呼ばれています。京都市指定保存樹にも指定されている名木です。
本能寺の
塔頭寺院
本能寺は法華宗本門流の大本山だったので、江戸時代後期までは100近い塔頭寺院を有していました。塔頭寺院とは、大寺院と役割を分担する子院のことで、現在、本能寺には境内に7つの塔頭寺院があります。この項では、それらの見どころや特徴をご紹介しましょう。
恵昇院
恵昇院(えしょういん)は、1571年に隆詠上人によって創立されました。牡丹に縁がある宿坊であり、牡丹坊という別名があります。山門の屋根には牡丹をかたどった瓦が乗っており、玄関には信徒から寄付された牡丹の衝立がかざられた牡丹づくしの寺院です。特に、牡丹の形をした瓦は他ではなかなか見ることができません。
蓮承院
蓮承院(れんじょういん)は、日順上人が開いた寺院です。本法院・慈眼院の歴代をお祀りしている寺院であり、山門には迫力ある鬼瓦があります。
定性院
定性院(じょうしょういん)では、かつて旦那衆との雅楽の会で使われたという鞨鼓(かっこ)・大鼓・鉦鼓(しょうこ)を所蔵しています。今に伝えて玄関先の繰形(くりがた)をした窓が珍しい寺院です。
高俊院
高俊院(こうしゅんいん)は、華道本能寺の開祖である大住院日甫上人(だいじゅういんにっぽんじょうにん)が住職を務めていた寺院です。日甫上人は江戸時代前期、生け花の名手として名を馳せました。その名声は京都から江戸まで届き、大名屋敷でもたびたび生け花を活けたと伝わっています。
寺院は1928年(昭和3年)に再建されたもので、欄間の天女図や特徴的な形の座敷障子などが特徴的な造りの建物です。
本行院
本行院(ほんぎょういん)は、織田信長とも交流があった日承上人が開いた寺院です。塔頭寺院の中では唯一縁側がある造りとなっています。
源妙院
源妙院(げんみょういん)は、本能寺の13世貫主(住職)であった日堯上人が開いた寺院です。本能寺の27世貫主もこの寺院から輩出されています。
龍雲院
龍雲院(りょううんいん)は火伏イチョウのすぐ隣にある寺院で、日政大徳によって開かれました。幕末に蛤御門の変が起きた際、唯一焼失を免れた寺院です。
本能寺
アクセス情報
住所:京都市中京区寺町通御池下ル下本能寺前町522
電話番号:075-231-5335
拝観時間:6~17時
大寶殿宝物館入館料:大人500円・中高生300円・小学生250円・修学旅行生200円
駐車場:なし
交通案内:京阪三条駅より徒歩10分ほど
公式サイト:http://www.kyoto-honnouji.jp/