廬山寺
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京都 廬山寺
紫式部の邸宅跡に建つ
桔梗と紅葉が美しい寺院

蘆山寺(ろざんじ)は京都市上京区、京都御所にほど近い場所にある天台宗の寺院です。奈良時代に建立された歴史ある寺院で、幾度か移転を繰り返した後で紫式部邸宅跡と伝わる現在の地に落ち着きました。紫式部ゆかりの場所に建つ寺院ということで、源氏庭と名付けられた庭や、紫式部の歌碑があります。

この記事では、蘆山寺の魅力や見どころ・歴史・アクセス方法などをご紹介しましょう。

移転をくり返した
蘆山寺の歴史

秋の境内(廬山寺)

秋の境内

蘆山寺は、938年に比叡山延暦寺の中興の祖として知られる元三大師良源(げんさんだいしりょうげん)によって開かれました。創建当時は船岡山の南に位置していたと伝えられています。

時代が下るにつれて寺院は衰退していきますが、1243年に浄土宗を開いた法然の弟子である覚愈(かくゆ)が再興しました。蘆山寺と称するようになったのはこの頃からです。

室町時代後期に応仁の乱が起こると、寺院の伽藍は兵火により焼失してしまいました。その後、豊臣秀吉が行った京都の土地整備計画によって、現在の場所に移築されます。この地はかつて紫式部の邸宅があった場所です。紫式部が源氏物語を書き上げた場所ともいわれています。

江戸時代に蘆山寺は何度か火災に遭遇して伽藍が焼失したため、1794年に光格天皇が仙洞御所(せんどうごしょ)の一部を移築して、御仏殿(通称本堂)と御黒戸(通称尊牌殿)が再建されました。蘆山寺はこれがきっかけで宮中の仏事を司るようになり、御黒戸四箇院(おくろどよんかいん)の一つに数えられます。

明治時代になると廃仏毀釈の影響によって一度は廃寺の危機に直面します。しかし、明治天皇の勅命(直接の命令)によって廃寺を免れました。

現在は、紫式部邸宅跡地に建つ寺院として多くの源氏物語ファンが参拝に訪れています。

長い歴史を持つ
蘆山寺の魅力

蘆山寺は平安時代末期から続く由緒ある寺院です。この項では、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。

節分行事・鬼法楽

節分行事(廬山寺)

鬼法楽(鬼踊り)

蘆山寺では、寺院を開いた元三大師良源(げんさんだいしりょうげん)が宮中で修法を妨害した悪鬼を退治した故事にちなみ、2月3日に節分行事の一環として鬼法楽(鬼踊り)という行事を行います。この行事は、護摩法要が行われている堂内に鬼が侵入して修法を邪魔しようとしますが、副豆や福餅と仏の功徳によって退散するというものです。

鬼のユーモラスな踊りと迫力のある邪鬼払いを間近で見ることのできるもので、毎年たくさんの見物客が訪れます。最後は邪鬼を抜かれた鬼に体の邪気を払ってもらい、心身の健康を祈願する行事です。

また、この日は元三大師良源が宮中の鬼を退治した道具と伝わる三鈷杵(さんこしょ)と、良源が宮中で使用した降魔面(ごうまめん)が特別に公開されます。

授与品・角太師護符

蘆山寺を開いた元三大師良源は、数々の逸話を残した高僧です。中でも疫病の神が良源を襲おうとした際、自ら降魔の姿に変じて疫病の神を打ち払ったという逸話は広く知られています

蘆山寺では降魔の姿をした良源の姿が描かれた厄除けの護符を授与してもらえるので、お土産にもおすすめです。ちなみに、この護符に描かれた降魔になった良源の姿はとてもユーモラスで、角太師(つのたいし)護符として親しまれています。

信仰を集めた
蘆山寺の見どころ

蘆山寺は、戦国武将から宮中の貴族まで人々の信仰を集め続けて現在に至っています。この項では、そんな寺院の見どころをご紹介しましょう。

本堂

本堂から源氏庭を望む(廬山寺)

本堂から源氏庭を望む

蘆山寺の本堂は御仏殿(ごぶつでん)と呼ばれています。1788年に起きた天明の大火で元々あった御仏殿が焼失してしまったため、仙洞御所の一部を移築し、女院、閑院宮(かんいんみや)の寄付によって造営されました。本尊の阿弥陀如来と両脇侍(りょうわきじ)坐像は、平安時代の作と伝えられています。

元三大師堂

元三大師堂(廬山寺)

元三大師堂

元三大師堂は、蘆山寺を開いた良源をお祀りしているお堂です。現在のお堂は1835年に再建されたもので、毎月3日には護摩法要が執り行われ、誰でも参加できます。

太師堂の内部には僧形をした良源坐像の他に、宮中で良源が悪鬼を退治する鬼神に変じたという逸話にちなんだ鬼太師像が祀られているので、仏像好きには一見の価値ありです。

尊牌殿

御黒戸と呼ばれる尊牌殿は、明治時代まで皇族の位牌を安置するために使われた建物です。本堂と同じく仙洞御所の一部を移築して再建されました。

源氏庭(本堂庭園)

源氏庭(廬山寺)

源氏庭(本堂庭園)

源氏庭は、白川砂と苔のコントラストが美しい平安朝の庭園です。白砂の海に苔が小島のように点在しており、枯山水庭園とは一風変わった風情を感じさせてくれます。

源氏庭は、紫式部にちなんで紫色の桔梗が豊富です。見頃は6月~9月であり、白い砂と苔の緑に桔梗の紫が加わった庭は静謐な中にも華やかさを感じさせます。桔梗の他に、秋の紅葉も見事です。

紫式部の歌碑

紫式部の歌碑(廬山寺)

紫式部の歌碑

蘆山寺の境内には、紫式部と娘である大弐三位(だいにのさんみ)が詠んだ和歌が刻まれた歌碑が建てられています。『めぐりあひて見しやそれともわかぬ間に雲がくれにし夜半の月影』という歌で、しばらく会っていない幼馴染に向けて詠まれたものです。大弐三位の和歌は、『馬山猪名の笹山風吹けばいでそよ人を忘れやはする』という百人一首にも選ばれたものが刻まれています。

廬山寺
アクセス情報

住所:京都府京都市上京区寺町通広小路上る北之辺町397
電話番号:075-231-0355
拝観時間:9~16時
源氏の庭拝観休止日:12月31日・1月1日・2月1日~9日(寺院自体は開いています)
拝観料:大人500円・小中学生400円
駐車場:なし
交通案内:京阪電車出町柳駅より徒歩15分ほど
公式サイトhttp://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/

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