勝林院
?評価について

京都 勝林院
大原問答の舞台で知られる
声明の根本道場

京都大原にある勝林寺は、声明の根本道場として建立された天台宗の寺院です。平安時代末期、浄土宗の開祖である法然上人と天台宗の僧侶達が問答を行ったことから、問答寺という別名でも知られています。

この記事では、勝林院の魅力や見どころをご紹介しましょう。

慈覚大師が創建
勝林院の歴史

本堂(勝林院)

本堂

勝林院は、853年に天台宗の第三代座主であった慈覚大師(じかくだいし)により、声明道場として創建されました。声明とは仏教声楽のことで、お経に旋律をつけて唱えるものです。主に天台宗が法要などに声明を用いていました。創建後、しばらくして寺院は衰退してしまいますが、1013年に寂源(じゃくげん)という僧によって再興されたと伝えられています。

1186年、当時の住職であった顕真(けんしん)の招きで、浄土宗の開祖である法然と明遍(みょうへん)、証真(しょうしん)といった天台宗の高僧との間で問答が行われました。これを大原問答と言います。法然は高僧達の問いかけに明確に返答し続け、ついには本尊の阿弥陀仏がまばゆい光を発して法然の正しさを証明したという逸話は、今でも有名です。

江戸時代になると、寺院は四つの子院を持つほどに栄えました。しかし、明治時代になると廃仏毀釈の影響で子院の半分が無人になり、やがて普賢院と理覚院が実光院に統合されます。その他、宝泉院という子院も廃寺を免れました。

現在、勝林院は歴史の風格を感じさせる寺院として、多くの人々に親しまれています。

歴史ある勝林院の
見どころ

勝林院はこぢんまりとした寺院ですが、千年以上の歴史を持っており、境内には複数の見どころがあります。この項では、観光客に人気の見どころをご紹介しましょう。

京都市有形文化財指定の本堂

本堂(勝林院)

勝林院の本堂は、1777年に建てられてもので杮葺(こけらぶき)の屋根を持つどっしりとした建物です。近世的な特徴が色濃く表れている歴史的に価値の高い建物として、現在は京都市の有形文化財に指定されています。

建物は天井が高く声がよく響く造りになっており、ボタンを押せばいつでも声明が流れる仕掛けが施されているのが特徴です。内部には、本尊の阿弥陀如来像の他、十一面観音菩薩像・普賢菩薩像・法然上人御木像が祀られています。

法然の正しさを証明した阿弥陀如来像

阿弥陀如来像(勝林院)

阿弥陀如来像

阿弥陀如来像は勝林院の本尊で、見上げるほどに大きく本堂に安置されています。大原問答が行われた際、光を放って法然の正しさを証明したという逸話から証拠の阿弥陀という別名が付けられました。

平安時代の梵鐘

鐘楼(勝林院)

鐘楼

勝林寺の梵鐘は無銘ながら平安時代中期(藤原時代)に造られたもので、重要文化財に指定されています。梵鐘がつり下がっている鐘楼も、古色蒼然(こしょくそうぜん)として風情ある建物です。

苔むした石造 宝篋印塔

境内の一角に建つ石造、宝篋印塔(ほうきょういんとう)は、苔むして独特の風情が感じられます。1316年、鎌倉時代後期に作られたことが分かっている歴史的に価値の高いものです。現在は、重要文化財に指定されています。

境内は紅葉の名所

紅葉(勝林院)

本堂前の紅葉

勝林院は紅葉の名所としても知られています。見頃は11月中旬からで、歴史の風格を感じさせる本堂と色鮮やかな紅葉との組み合わせも見事です。参道脇の苔と紅葉のコントラストも楽しめます。

現存する
勝林院の僧房

僧房とは子院の別名です。勝林院は、今でも二つの僧房を持ちます。この項では、僧房寺院の特徴をかいつまんでご紹介しましょう。

三つの庭を持つ宝泉院

宝泉院(勝林院)

宝泉院

宝泉院は、創建から現在まで目立った衰退や荒廃をすることがありませんでした。そのため、境内には樹齢700年を超える松と、樹齢300年以上の沙羅双樹の木があります。

額縁の庭園・鶴亀庭園・宝楽園という三つの庭を持っていることで有名です。建物内には常に声明が流されており、拝観にはお茶とお菓子がつきます。

宝泉院 詳細・アクセス情報

桜と紅葉が同時に楽しめる実光院

実光院(勝林院)

実光院

実光院は明治時代に無人となった普賢院(ふげんいん)と理覚院(りかくいん)を合併し、現在に至ります。寺院は、不断の桜という秋口から春にかけて咲く桜があることで有名です。毎年秋になると、桜と紅葉が同時に楽しめます。

実光院 詳細・アクセス情報

勝林院
アクセス情報

住所:京都府京都市左京区大原勝林院町187
電話番号:075-744-2409
拝観時間:9~17時
拝観料:大人300円・子ども200円
駐車場:なし
交通案内:JR京都駅・京阪電鉄出町柳駅より大原行バス乗車、大原下車、徒歩15分

勝林院

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