京都府宇治市にある三室戸寺は、千年以上の歴史を持つ古刹です。1万株のアジサイをはじめ境内には草花がたくさん植えられ、宇治屈指の花寺として知られています。この他、狛犬ならぬ狛ウサギと狛蛇の像があり、特に卯年と巳年の方々に人気です。
この記事では、三室戸寺の魅力や見どころをご紹介しましょう。
霊場でもあった
三室戸寺の歴史
三室戸寺は、770年に光仁天皇(こうじんてんのう)の勅命によって、大安寺の僧であった行表(ぎょうひょう)が創建しました。光仁天皇が幼い頃、毎夜宮中に飛んでくる金の光があり、後年にその原因を探らせたところ宇治川支流である志津川上流の滝つぼで観音像を発見しました。この観音像を祀るために建立されたのが三室戸寺です。
寺院は西国三十三所巡礼の一つでもあり、霊場として人々の信仰を集めてきました。室町時代に火災にあって伽藍を失います。その後再建されましたが、1573年に足利義昭に加勢をしたという理由で織田信長に焼き討ちにされました。
1841年にようやく本堂が再興され、現在に至ります。
三室戸寺の
魅力
花の寺として知られる三室戸寺は、いろいろな魅力があります。ここでは、花を含む寺院の魅力をご紹介しましょう。
四季折々の花々
三室戸寺の境内には、たくさんの花々が植えられています。最も有名なのはアジサイですが、それ以外にもツツジやシャクナゲ・ハス・ハギなどが季節ごとに美しい花を咲かせ、観光客だけでなく地元の方にも好評です。秋は紅葉が見事で、赤く色づいた木々と寺院の建物の組み合わせは一見の価値があります。
珍しい石像
三室戸寺の境内には、体が蛇で顔が老人の姿をした宇賀神の像や可愛らしいウサギの像・口の中に球が入っている牛の像など珍しい石像が安置されています。宇賀神の像は蛇年の守り神といわれ、財運・金運・長寿のご利益があると参拝客に人気です。
ウサギの像は福徳兎と呼ばれ、抱いている玉をなでると願いが叶うといわれています。牛の石像は宝勝牛と呼ばれ、勝運・ガン封じ・病気平癒・金運・健康とご利益が豊富です。願いを叶えたい方は、絵馬の奉納もできます。
秘仏の千手観音像
三室戸寺の本尊は千手観音像ですが、厳重な秘仏で写真も公開されていません。その代り、飛鳥様式の二臂(にひ)観音像が本尊を納めた厨子の前に安置されています。二臂観音像はかつて高さが二丈ある観音像の胎内に納められていましたが、室町時代に起こった火事で観音像が焼けてしまい、二臂観音像だけが残りました。
三室戸寺境内の
見どころ
長い歴史を持つ三室戸寺の境内は、花以外にも見どころが豊富です。ここでは、その中でも代表的なものをご紹介しましょう。
朱塗りの山門
三室戸寺の三門は鮮やかな朱塗りです。形はシンプルで飾り気はありません。周りにはアジサイがたくさん植えられており、花の季節は山門が花に埋まっているように見えます。
本堂へと続く石段
山門をくぐると長い石段が現れます。石段左手には緩やかな坂道もあるので、ベビーカーや車いすの方はそちらを通るとよいですね。石段横には「みむろどう」とひらがなで刻まれた石灯籠が立っています。
京都府文化財指定の本堂
三室戸寺の本堂は江戸時代に再興されたもので、入母屋造りの重厚な建物です。京都府の文化財に指定されており、中には秘仏の本尊である千手観音像が祀られています。2009年(平成21年)に千手観音像が公開された時は、大きな話題を集めました。
かつては墓所だった阿弥陀堂
阿弥陀堂があった場所には、かつて親鸞聖人の父である日野有範の墓所がありました。親鸞の娘である覚信尼が祖父の墓所を整備し、菩提を弔うために阿弥陀堂を建立したと伝えられています。京都府の文化財に指定されており、小さいながらも風雅な建物です。
阿弥陀堂の隣に建つ鐘楼
鐘楼は他の建物に比べるとシンプルな造りをしています。古色蒼然とした歴史の風格が感じられる建物です。
移築された三重塔
朱塗りの三重塔は、1910年(明治34年)に兵庫県佐用郡三日月町の高蔵寺から移築されました。江戸時代中期の建物で、京都府の文化財に指定されています。
五千坪の広さを持つ庭園 与楽苑
与楽苑は、枯山水・池泉・広庭の3つの庭園で構成されています。広さが5千坪もあり、ツツジ・シャクナゲ・アジサイ・ハスなどが千株単位で植えられている花の楽園です。秋には紅葉も楽しめます。ゆっくり歩いて見て回ると1時間以上かかるので、時間を取って見学するのがおすすめです。
鎮守社 十八神社本殿
十八神社本殿は、三室戸寺の守り神、鎮守社として室町時代に創建されました。境内で最も古い建物で、重要文化財に指定されています。
一押しの
行事とイベント
三室戸寺では、1年を通じていろいろな行事やイベントが行なわれます。ここでは、特に一押しのものをご紹介しましょう。
アジサイ園ライトアップ
毎年6月下旬から7月の上旬、アジサイが見ごろを迎える季節になるとライトアップが行われます。夜間のアジサイは昼間とは違った幻想的な雰囲気です。毎年4月から6月までは、JR宇治駅より寺院まで特別バスが運行されています。
ハス酒を楽しむ会
毎年7月上旬に、ハスの葉に酒を注ぎ茎から飲む「ハス酒を楽しむ会」が開かれます。ハスの茎を通った酒は健康と長寿の効果があるといわれ、毎年人気のイベントです。
観音様の足の裏を拝する会
毎年紅葉の見頃に合わせて、普段は見ることができない観音様の足裏を拝観する会が開かれます。三室戸寺の観音様は正座をしているため、像の背後に周るとかわいい足の裏が見えると評判です。
三室戸寺
アクセス情報
住所:京都府宇治市莵道滋賀谷21
電話番号:0774-21-2067
拝観時間:8時30分~16時30分(季節により変動あり)
拝観料:大人500円 子ども300円
駐車場:あり
交通案内:京阪宇治線三室戸駅下車徒歩15分
公式サイト:http://www.mimurotoji.com