鹿王院
?評価について

京都 鹿王院
宿坊体験もできる
紅葉が見事な寺院

京都嵯峨野にある鹿王院(ろくおういん)は、足利義満によって建立されました。かつては同じく義満が建立した宝幢寺(ほうどうじ)の塔頭寺院でしたが、応仁の乱で宝幢寺が廃絶したため現在残っているのは鹿王院のみです。女性だけが利用できる宿坊があり、宿泊すると坐禅体験ができ、精進料理の朝食も味わえます。

この記事では、鹿王院の魅力や見どころをご紹介しましょう。

塔頭寺院だった
鹿王院の歴史

境内(鹿王院)

境内

鹿王院は元々、1387年に足利義満が開基し、春屋妙葩(しゅんおくみょう)が開山した宝幢寺(ほうどうじ)の塔頭寺院でした。一説では、春屋妙葩の寿塔(生前に造る墓)を守るために建立されたといわれています。春屋妙葩は寺院が開山した時にはすでに高齢で、寺院が開基した翌年に亡くなりました。

宝幢寺(ほうどうじ)は禅寺十刹の第5位に任ぜられる大寺院で、その塔頭である鹿王院も大いに栄えます。しかし、応仁の乱で宝幢寺は廃絶し、鹿王院も伽藍の一部が焼失するなどして衰退してしまいました。

江戸時代初期の寛永年間に酒井忠知によって再興され、現在に至っています。

紅葉の名所
鹿王院の魅力

鹿王院は知る人ぞ知る嵯峨野の隠れた紅葉名所です。この項では、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。

紅葉をゆっくり楽しめる鹿王院

秋の鹿王院(鹿王院)

秋の鹿王院

鹿王院の境内には樹木が豊富で、中でもカエデやモミジがたくさん植えられています。秋になると境内のあちこちで色づく木々の美しさは、一見の価値ありです。

嵐山や嵯峨野は京都の中でも紅葉の名所と言われる場所がたくさんありますが、鹿王院はそれらの名所に勝るとも劣らない紅葉スポットとなっています。それでありながらガイドブックなどに紹介されることが少なく、紅葉が見頃を迎えても境内が混み合うことはありません。運がよければ紅葉を独り占めできます。

見どころが多い鹿王院の伽藍

鹿王院の伽藍の多くは一般に公開されており、中に安置されている仏像や寺宝も間近で見学することができます。仏教美術に興味がある方は、時間をかけて境内の隅々まで見て歩けば満足できること間違いなしです。

宿坊体験ができる鹿王院

鹿王院の境内には女性限定で利用できる宿坊があります。プランは1泊朝食付のみで、食事は精進料理です。朝は6時50分から坐禅と法話があり、原則的に全員が参加します。部屋にテレビはなく門限は19時30分です。自然が美しい境内で、少し本格的に修行体験をしてみたいという方は、ぜひ利用してみてください。宿坊は全7室と小さいので、利用したい方は早めに予約をしましょう。

鹿王院境内の
見どころ

鹿王院の境内には見どころが豊富です。この項では、その中でも特に必見の場所をご紹介しましょう。

室町時代建立の総門

総門(鹿王院)

総門

鹿王院の総門は4本の柱で門を支える四脚門という方式です。室町時代初期の建築で、門の前後に控え柱が建っています。柱は棟まで立ち上がる古い禅宗様式です。建仁寺総門に次ぐ古い遺構という説もあります。

参道も魅力的な中門

中門(鹿王院)

中門

総門をくぐると、石畳が敷かれた参道が中門まで続いています。中門は総門よりもこぢんまりとした門で、これをくぐると境内です。二つの門をつなぐ参道の両脇には苔が見事で、秋になるとモミジやカエデなどが紅葉のアーチを作ります。

寺院の玄関口 庫裏

庫裏は元々寺院の台所を指す言葉ですが、禅宗の寺院では玄関の役割を担っています。庫裏の入り口は無人です。小鐘が吊るされており、これを鳴らすと職員の方が出てきて拝観の受付をしてくれます。庫裏の前には見事な枝ぶりのモミジがあり、夏は深緑、秋は紅葉が美しいですよ。

庫裏と続きになっている書院

鹿王院では、拝観の受付を行うと庫裏から内部に入って書院の濡れ縁を進みます。書院の濡れ縁からは舎利殿と庭が臨めるので、足を止めて眺めてみるのもいいですね。

庭を望める客殿

客殿と回廊(鹿王院)

客殿と回廊(左手前)

客殿には、足利義満の筆による鹿王院の扁額が掲げられています。南側には庭園が広がっており、美しい庭が臨める建物として参拝者に人気です。人が少ないときは、縁側に腰を下ろしてゆっくり庭を眺めることもできます。

江戸時代に造られた庭園

庭園(鹿王院)

庭園

鹿王院の庭園は平庭枯山水で、舎利殿を中心に広がっています。作庭時期の記録などはありませんが、江戸時代中期に造られたという説が有力です。枯山水庭園は通常石・樹木・砂などで構成されますが、鹿王院の庭園は舎利殿の建物も庭の一部として使われています。嵐山も借景として使われており、変化にとんだ見応えのある庭です。

本堂(開山堂)

鹿王院の本堂は開山堂を兼ねており、本尊を祀る仏壇の裏側に開山者、春屋妙葩(しゅんおくみょう)をはじめとする鹿王院に深くかかわった人々の像が祀られています。

本尊は釈迦如来坐像です。像本体の塗は剥げていますが、台座の部分には作られた当時の色彩がわずかに残っています。仏壇の裏側に祀られている足利義満などの像はほぼ等身大です。

舎利殿(駄都殿)

舎利殿(鹿王院)

舎利殿(駄都殿)

舎利殿は釈迦の遺骨である舎利を安置する建物で、一般の寺院でいう仏塔にあたります。鹿王院の舎利殿は駄都殿(だとでん)とも呼ばれており、1763年に建立されました。

建物は方形造りで、桟瓦葺の屋根を持ちます。2階建てに見えますが、1階部分の屋根に見えるのは裳という飾りです。中には源実朝より賜ったという仏舎利を込めた多宝塔が安置されています。毎年、10月15日のみ多宝塔の拝観が可能です。

茶室 芥室

鹿王院の茶室は俳優の大河内傳次郎が寄進したもので、芥室(あくたしつ)と呼ばれています。非公開となっており、見学できるのは外側のみです。

唐門

唐門は一間一戸薬医門で、木立の中に埋もれるようにひっそりと建っています。通常は閉ざされており、くぐることはできません。歴史の風格を感じさせる門です。

三社大明神

三社大明神は、鹿王院の鎮守です。神仏分離令が発布される前は鎮守社が境内にあることも珍しくありませんでした。隣に建っている鮮やかな赤い鳥居を持つ社は稲荷社です。

鹿王院
まとめ

いかがでしたか? 今回は鹿王院の魅力や見どころをご紹介しました。紅葉が有名な寺院ですが、他の季節もそれぞれ異なる美しさを見ることができます。京福電気鉄道、鹿王院前駅から徒歩1分と交通のアクセスも良い場所です。宿坊に泊まれば、夜の庭や朝日に照らされる庭や伽藍群を見ることもできます。

鹿王院
アクセス情報

住所:京都府京都市右京区嵯峨北堀町24
電話番号:075-861-1645
拝観時間:9~17時
拝観料:大人400円・小中学生200円
駐車場:あり
交通案内:京福電車嵐山駅から徒歩2分

鹿王院

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