鳥居本は、嵯峨野にある小倉山の北ふもとから清滝付近一帯の地域を指します。この辺一帯は愛宕神社への参詣道にもあたり、一ノ鳥居付近には江戸時代に門前町が形成されました。
1979年、京都市は一ノ鳥居付近の家屋約50戸を文化財保護法に基づく「重要伝統建造物保存地区」に指定します。そのため、この地域一帯は今でも江戸時代後期から明治時代に建造された建物が良好な状態で立ち並び、タイムスリップしたような景観が楽しめる場所です。
今回は、鳥居本一帯の魅力や見どころをご紹介しましょう。
古い街並みを
見学する
鳥居本は、室町末期に農業や林業・川漁業を営む人たちの集落として開かれました。その後、江戸時代に物見遊山(観光旅行)として愛宕山神社詣でが盛んになると、農家の集落は門前町へと変化していきます。江戸時代後期になると茶屋なども現れるようになりました。
鳥居本の街並みは化野念仏寺を境に大きく変わります。化野念仏寺から一ノ鳥居に近い場所は茅葺屋根の農家風の家が多く、寺院から市街地に近い場所は瓦屋根の町屋風の家々が大部分です。このように街並みが特定の場所を境に変わる地区というのは珍しく、一見の価値があります。
この地区独特の
町屋風家屋を見る
鳥居本の町屋風家屋は、京都市街に建つ京町屋よりも間口が広く庇(ひさし)が深く造られています。また、内部もうなぎの寝床のように細長く奥深い間取りではありません。農家のように田字型に部屋がくぎられています。
このような町屋の外見と農家の間取りが混ざったような造りは、この地区独特のものです。写真を撮って京都市内の町屋と比べて見ると、その違いがよく分かります。町屋の前の道路もアスファルトではなく石敷きで、街並みとマッチした美しさです。
一ノ鳥居近くの
農家風家屋を見る
愛宕神社の一ノ鳥居に近くなるほど、茅葺屋根の農家風家屋が増えていきます。山々と茅葺屋根の家屋や白壁の土蔵の組み合わせは風情があり、町屋が立ち並ぶ場所より昔の面影を残している地区です。
農家風家屋の一部は茶店にもなっています。散策に疲れたら軒先に腰を下ろして一服してみるのもいいですね。紅葉の時期は、茅葺屋根と紅葉の組み合わせも楽しめます。
鳥居本
アクセス情報
住所:京都府京都市右京区嵯峨鳥居本
駐車場:付近にはあまりないので、公共交通機関の利用がおすすめ
交通案内:京福電鉄嵐山駅から清滝行バス乗車、鳥居本下車徒歩5分