革堂(行願寺)

京都 革堂(行願寺)
千手観音と寿老人を祀る
幽霊絵馬が有名な寺院

京都市上京区にある行願寺は、革堂の通称で親しまれている寺院です。近畿一円と岐阜に点在している西国三十三所観音霊場の19番目札所で、京都七福神の一つである寿老人がお祀りされています。また、悲しい伝説で知られる幽霊絵馬を所蔵している寺院としても有名です。

この記事では、革堂(行願寺)の魅力や見どころ・歴史などをご紹介しましょう。

信仰を集め続ける
革堂の歴史

境内(革堂)

境内

行願寺は、1004年に行円上人(ぎょうえんしょうにん)によって創建されました。創建当時は、一条小川(いちじょうおがわ)の一条北辺堂跡に伽藍が建てられていたと伝えられています。

行円上人は元々猟師で、ある日、自分が射抜いたメス鹿がその場で子どもを産み落とす姿を見ました。息絶えるまで世話を続けたメス鹿の姿を見て、上人は殺生の愚かさに気づいて出家したといわれています。上人は常に自分が殺したメス鹿の毛皮を身に着けていたので、人々から皮聖(かわひじり)と呼ばれるようになり、行願寺も革堂という称されるようになりました。

室町時代になると、寺院の本堂は地域の人々が集会に使うなどして、公民館のような役割を担うようになります。安土桃山時代末期の1590年、豊臣秀吉の都市計画によって寺院は一条小川から京都御苑の東側にある寺町荒神口(てらまちこうじんぐち)に移されました。

江戸時代になっても行願寺は人々の信仰を集め続け、708年の大火で伽藍が焼失したのをきっかけに現在地へ移ります。

現在は、近畿一円と岐阜に点在する最古の観音霊場である西国三十三所の一つとして人気です。京都七福神の一つである寿老人を祀っており、毎日多くの参拝者が訪れています。

歴史ある
革堂の魅力

革堂は、千年以上の歴史がある寺院です。この項では、そんな寺院の魅力をご紹介しましょう。

悲しい伝説が残る幽霊絵馬

革堂には、幽霊絵馬と呼ばれる供養絵馬が奉納されています。江戸時代後期、革堂の近くに住んでいた子守の少女が革堂から聞こえる仏教を讃える御詠歌(ごえいか)をいつの間にか覚え、つい口ずさんでしまいました。しかし、少女の雇い主は別の宗教を信じていたため、御詠歌を歌う彼女をとがめ、最後には殺してしまいます。

主人は少女の遺骸を隠し、少女の両親には行方不明になったと説明しました。しかし、少女は両親の枕元に立ち、自分が主人に殺されたことを伝えます。真実を知った両親は、革堂に絵馬を奉納して少女の供養を願いました。

幽霊絵馬は通常の絵馬と違って長方形をしており、少女が愛用していた手鏡をはめこめるように左下にくぼみが付けられています。絵馬は通常非公開ですが、毎年8月22日~24日に行われる幽霊絵馬供養の時にだけ公開されるので、見学したい方はその日に合わせて訪れるといいですね。

都七福神めぐり

革堂には、本尊である千手観音像の他に京都七福神の一つである寿老人(じゅろうじん)が祀られています。寿老人は南極老人星(りゅうこつ座α星)を神格化した神様で、長寿のご利益がある神様です。お正月になると、境内は都七福神めぐりをする参拝客でにぎわいます。

都七福神は京都市から宇治市にかけて点在しているので、1日で周るのはなかなか大変です。京都市のタクシー会社では七福神めぐりに便利なパック料金を用意しているので、七福神が祀られている寺院を1日で周りたい方は、タクシーを利用するのもよいでしょう。

革堂境内の
見どころ

革堂の境内は決して広くはありませんが、複数の見どころがあります。ここでは、一押し見どころをご紹介しましょう。

本堂

本堂(革堂)

本堂

革堂の本堂は、1815年に再建されたものです。内部には、行円上人(ぎょうえんしょうにん)が造ったと伝わる本尊の千手観音像が祀られています。現在、本尊の千手観音像は秘仏扱いで、公開は毎年1月17・18日の初観音の日だけです。京都市の指定文化財にもなっています。

鐘楼

革堂の鐘楼は本堂よりも早い1804年に再建されました。現在は、本堂と同じように京都市の指定文化財になっています。

寿老人神堂

寿老人神堂(革堂)

寿老人神堂

寿老人神堂は、七福神の一つである寿老人が祀られているお堂です。このお堂の近くには、七福神の石像も祀られています。

庫裏

庫裏(革堂)

庫裏

庫裏は本来僧侶の食事を作る場所ですが、現在は事務所として使われています。白壁とこげ茶色の木組みによるコントラストが印象的な堂宇です。

革堂(行願寺)
アクセス情報

住所:京都府京都市中京区寺町通竹屋町上ル行願寺門前町17
電話番号:075-211-2770
拝観時間:8~16時30分
拝観料:無料
駐車場:なし
交通案内:市営地下鉄丸太町駅下車、徒歩10分

革堂(行願寺)

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