江島神社は、江の島のほぼ中央にある千年以上の歴史を持つ神社です。江戸時代までは弁財天をお祀りしており、江島弁天・江島大明神と呼ばれて人々から篤く信仰されていました。現在でも、江の島を訪れる方の多くが神社に参拝します。江島神社となった今でも、境内には八臂弁財天(はっぴべんざいてん)と妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)が祀られ、参拝者が絶えることはありません。
この記事では、江島神社の魅力や見どころをご紹介しましょう。
江島神社の
ご利益
江島神社には海を守る宗像三女神と弁財天が祀られています。ここでは、そんな神社のご利益をご紹介しましょう。
- 金運向上
- 諸芸上達(習い事が上手になること)
- 縁結び
- 悪縁切り
- 厄除け
- 災難よけ
- 安産
- 子宝
- 交通安全
信仰を集め続ける
神社の歴史
江島神社は、533年に欽明天皇(きんめいてんのう)の勅命により江の島の南にある洞窟に宮を建てたのが始まりといわれています。当時は神と仏は一体であるという神仏習合の考え方が一般的だったため、神社ではなく金亀山与願寺という寺院でした。
その後、814年に空海が岩屋に本宮を造り、853年には慈覚大師が上之宮(中津宮)を創建します。1206年には、慈覚上人良真が鎌倉幕府三代将軍の源実朝に願って下之宮(辺津宮)を造りました。
江島神社に弁財天信仰を持ちこんだのは、鎌倉幕府を開いた源頼朝です。頼朝は平家打倒を願って岩屋に参拝し、八臂弁財天と鳥居を奉納しました。戦国時代になると江の島の弁財天は戦いの神として東国の戦国武将に信仰されるようになります。
江戸時代になり戦いが無くなると、弁財天は芸能上達や金運向上の神様として信仰されるようになりました。1600年には徳川家康も弁財天に参拝しています。江戸時代中頃になると庶民の信仰も集めるようになり、東の弁財天信仰の中心地として大いに栄えました。
明治時代に神仏分離令が発布され、金亀山与願寺は宗像三女神(むなかたさんめがみ)を祀神をする江島神社になります。弁財天は辺津宮の奉安殿に移されますが、荒廃したりすることはありませんでした。現在でも、神社は人々の信仰を集め続けています。
広い境内の
見どころ
江島神社は広い境内に多くの見どころが満載です。ここでは、その中でも必見の場所をご紹介します。入り口から順番に見ていきましょう。
神社の入り口 青銅の鳥居
神社の最も外側にある青銅の鳥居は1747年に造営され、1821年にたくさんの人々の寄進によって再建されました。かつてこの鳥居は江の島参道の三ノ鳥居で他に2つの鳥居がありましたが、現存しているのはこの鳥居だけです。
正面に掲げられた「江島大明神」の額は、後宇多天皇(ごうだてんのう)が送った勅額の写しになります。
色鮮やかな朱の鳥居
朱の鳥居は、青銅の鳥居を抜けて数分ほど歩いた場所にあります。この2つの鳥居の間にあるのが江島神社の門前町です。朱の鳥居は江戸時代に造られました。現在の鳥居は、1936年(昭和11年)に山田流筝曲の家元である林敏子の寄進によって再建されたものです。
出世運が上がる福石
福石は、江戸時代初期に活躍した鍼師の杉山検校がつまづいた石といわれています。石につまづいた検校は失神し、夢の中で弁財天から管鍼術を授かりました。その後、検校は五代将軍徳川綱吉の病気を治し、鍼師としての名声を手に入れたと伝えられています。現在では、出世運が上がる石として参拝者に人気です。
杉山検校が建てた江の島弁財天道標
江の島弁財天道標は、江戸時代初期に活躍した鍼師(はりし)の杉山検校が建てたものです。検校は江の島弁財天に管鍼術という針治療の方法を授かったと伝えられています。検校はこの治療法を用いて五代将軍徳川綱吉の病気を治しました。
名声を得た検校は弁財天を篤く信仰し、江島神社に詣でる人が道に迷わないように道標を12基寄進したと伝えられています。
将軍の病気を治した杉山検校の墓
杉山検校の墓は、彼の門人である三浦安一が検校の一周忌に際して建てたものです。杉山検校は鍼師(はりし)として江戸時代初期に活躍しました。
杉山検校は本名を杉山和一といいます。検校とは、盲人が就任できる最高位の役職です。検校は江の島弁財天から授かった管鍼術という針治療を用いて、五代将軍徳川綱吉の病気を治療しました。
墓の前の灯籠は、その功績を顕彰して柳沢吉保室が寄進したものと伝えられています。
竜宮城を模した瑞心門
瑞心門は、江島神社の楼門です。一風変わった造りは竜宮城を模しており、壁や天井には1994年(平成6年)に片岡華陽によって復元されたボタンや唐獅子の絵画が飾られています。
お詣りの前に身を清める手水舎
手水舎(てみずや)は、瑞心門をくぐった先にある身を清める場所です。参拝前に口と手をすすぐことにより、外界からの穢れ(けがれ)を払います。
最も外界に近い位置にある辺津宮
辺津宮(へつみや)は、祀神の一人である田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)を祀る宮です。神社の境内では一番外界に近い場所に位置していることから、下之宮とも呼ばれています。
1206年に建立され、1675年に再建されました。その後、1976年(昭和51年)の大改修で現在の社殿が造られます。結婚式や祈祷が行われるのも主にこの宮です。
拝殿前にある巾着の形をした独特のさい銭箱は、1959年(昭和34年)に地元の商店によって奉納されました。おさい銭を入れると音が鳴る仕組みとなっています。
弁財天を祀る奉安殿
辺津宮の左側にある奉安殿(ほうあんでん)には、神奈川県の重要文化財に指定されている八臂弁財天(はっぴべんざいてん)と、日本三大弁財天の一つである妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)が祀られています。
この2体の弁財天は、戦国時代から現在に至るまで江島弁財天として人々の信仰を集め続けてきました。現在でも、弁財天に参拝することが目的で神社を訪れる人はたくさんいます。
朱色の社殿が印象的な中津宮
市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)を祀る中津宮は853年に創建され、1689年に五代将軍の徳川綱吉によって再建されました。社殿は本殿・幣殿・拝殿からなる権現造りです。1996年(平成8年)に行われた社殿の大改修によって再建当時の鮮やかな朱色がよみがえりました。
中津宮は歌舞伎役者から篤く信仰されており、参道には江戸歌舞伎の市村座と中村座が奉献した一対の石燈籠があります。1985年に音羽屋七代目が燈籠奉献二百年を記念し、シダレウメを植樹しました。
2011年には幣殿と拝殿の床板が張り替えられ、御札授与所も再建されています。社殿脇には水琴窟を構えた庭園が開園しました。
山田流琴曲の開祖 山田検校顕彰碑・銅像
山田検校は江戸時代中期に活躍した盲目の音楽家です。山田流箏曲の開祖となり、江の島という名曲を作ったことで知られています。顕彰碑は、検校の業績を讃えるために検校100年忌に合わせて作家の幸田露伴らによって建てられました。
像は一時期撤去され、台座だけになっていましたが、2004年(平成16年)に復元され現在に至ります。
海を守る神様を祀る奥津宮
奥津宮は、海を守る女神である多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)をお祀りしています。昔は、本宮や御旅所(おたびしょ)と呼ばれていました。龍神伝説発祥の地である相模湾を臨む岩屋の近くに建っており、昔は岩屋本宮に海水が入りこんでしまう4月から10月の間は岩屋本宮のご本尊が奥津宮に安置されていました。
本宮の社殿は壮麗を極めていましたが、1841年に焼失してしまい、翌年に再建されたのが現在の社殿です。1979年(昭和54年)に屋根が修理され、2011年(平成23年)に本殿の大改修が行われました。
拝殿の天井には、江戸時代後期の絵師、酒井抱一による八方にらみの亀が残っています。現在見ることができるものはオリジナルのものではなく、1994年(平成6年)に片岡華陽が復元したものです。オリジナルは神奈川県の重要文化財に指定され、社務所で保管されています。
平成に建立された龍宮
龍宮(わだつみのみや)は、1993年(平成5年)に奥津宮隣の岩屋本宮の真上に有志によって建立されました。毎年9月9日に例祭が行われています。
境内の末社
江島神社の境内には、本社以外に複数の末社が鎮座しています。ここでは、末社の種類や特徴をご紹介しましょう。
01. 湘南唯一の夏祭りが行われる八坂神社
辺津宮(へつみや)の奉安殿横にある八坂神社は、江戸時代には天王社と称していました。明治時代に八坂神社と改名されて、今に至ります。昔は江の島の対岸にある腰越に祀られていましたが、大波に流されて海中に沈んでいたご神体を漁師が拾い上げて江の島に祀られました。
毎年7月に行われる例祭の海幸祭は、神輿の海中渡御(かいちゅうとぎょ)で有名です。湘南唯一の夏祭りであり、毎年多くの観光客が訪れます。
02. たくさんの神様を祀る稲荷社・秋葉社
稲荷社と秋葉社に祀られているのは、豊受気毘賣命(とようけひめのみこと)と火之迦具土神(ほのかぐつちのかみ)という神様です。この他、秋葉稲荷・与三郎稲荷・漁護稲荷など江の島中に祀られていた小さな社の神様が合祀されています。
火之迦具土神は火の神様で、江戸時代に火事が多かったために火事除けの為に祀られました。
江島神社
まとめ
いかがでしたか?今回は、江の島を代表する観光スポットでもある江島神社の魅力や見どころについてご紹介しました。長い歴史を持つ神社だけあって、見どころがたくさんあります。弁財天だけ参拝して帰ってしまう方も少なくありませんが、1日かけてゆっくりと見て回るのもおすすめです。
江島神社
アクセス情報
住所: 神奈川県藤沢市江の島2丁目3番8号
電話番号:0466-22-4020
祈祷などの受付時間:8時30分~17時
拝観料:施設により異なる
駐車場:あり
交通案内:江ノ島電鉄江ノ島駅下車徒歩20分
公式サイト:http://enoshimajinja.or.jp/